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【特集】大塚竜太氏【不透明な相場環境、年末年始に視界は変わるか】(2) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―オミクロン株、インフレ懸念など不安材料をどう見る―

 週明け6日の東京株式市場は日経平均株価が2万8000円台を下回り不安定な動きに終始した。寄り付きは小幅プラスでスタートしたが、その後はすぐにマイナス圏に沈み、一時は300円以上安い場面もあったが、売り一巡後は下げ渋った。依然として新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大に対する警戒など先行き不透明感が強い。年末から年始にかけて全体相場はどう動くのか、第一線で活躍する市場関係者2人に見通しを聞いた。

●「売り仕掛け横行も押し目買いで対処」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 前週末の米国株市場でナスダック総合指数が大幅な下げをみせるなど市場のセンチメントが弱気に傾くなか、東京市場でも日経平均が反落した。世界的に感染拡大を続ける新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の実態把握がまだできていない状況で、米国ではインフレに対する警戒感からテーパリング加速の可能性なども取り沙汰されており、今が最も売り仕掛けを入れやすいタイミングにある。

 空売り筋が暗躍するなか現在の東京市場は、依然として先行き不透明感が強い。場合によってはこの先、日経平均が2万7000円ラインを割り込む可能性がないとは言い切れないが、騰落レシオなどの各指標を見ても分かる通り今はイレギュラーの下げ局面であり、2万7000円台は押し目があれば基本的に買い下がっておくのが正解と考えている。

 オミクロン株が経済活動に与える影響は一時的なものとの認識でよい。また、米国の金利上昇を怖がるのは間違いで、経済が正常化する一環として債券市場の健全な動きと理解しておくところだ。短期的にみると日経平均は3万円大台回復という分かりやすい目標達成のハードルが以前より上がってしまったことは確かだが、年明けには2万9500円前後に水準を戻している可能性がある。目先的には今週末のメジャーSQ算出を控え乱調相場が続きそうだが、SQ明け後は上値指向に戻る公算が大きい。したがってここは悲観するのではなく、どのタイミングで買いを入れるのか前向きな姿勢で相場と対峙したい。

 物色対象としては東京エレクトロン <8035> やレーザーテック <6920> など半導体製造装置関連の押し目が有力。足もとDRAM価格の下落など需給の緩みも指摘されるが、長い目で見て 半導体は構造的な需要増加が見込まれ、株価的にもまだまだ上値余地が大きいとみている。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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