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【特集】ウィズコロナで収益改善、「イベント関連」株が復活ロードを走り出す <株探トップ特集>

新型コロナ感染拡大で苦汁をなめてきたイベント関連株。ここにきて、ウィズコロナに舵を切るなか復活への期待が高まっている。入場規制緩和に舵を切り始めたいま、元の姿に戻る日も近づいている。

-感染第6波警戒も人数制限緩和に向け実証実験開始、ライブ・エンタメなど注目-

 新型コロナウイルスの感染者数が急速に減少し緊急事態宣言が解除され、 ウィズコロナに向けての動きが活発化している。6日には、愛知県の豊田スタジアムで行われたJリーグの試合で、新型コロナウイルスワクチンの接種証明などを利用した「ワクチン・検査パッケージ」の実証実験が行われるなど、大規模イベントの人数制限緩和を見据えたさまざまな取り組みがスタート。こうした動きを受けて、「イベント関連株」には業績回復を先取りした思惑買いを誘う銘柄も散見され始めている。ただ、“第6波”への懸念は深く、そうたやすく日常が戻ってこないのも事実だ。期待と不安が入り交じるなか、イベント関連株の動向を追った。

●行動制限緩和へ舵を切る

 緊急事態宣言が9月30日をもって解除されたことを受けて、行動制限緩和への期待感が高まっている。背景には、新規陽性者数の急激な減少や、ワクチンの2回接種完了者の割合が先行する欧州に迫る勢いであることなどが挙げられる。加えて、新型コロナ軽症者向け飲み薬の年内供給を目指す動きも後押しする。冬を目前に感染再拡大への懸念は拭えないものの、低迷する経済への配慮もありウィズコロナへ向けて政府は舵を切った格好だ。

 行動制限緩和への動きが加速する状況で、観光、外食をはじめ新型コロナの感染拡大で長らく苦汁をなめてきた多くの銘柄に、収益環境が大きく改善するとの思惑から物色の矛先が向かった。イベント関連株もその一角だが、思惑買いに株価が上昇する銘柄がある一方、いまだ厳しい事業環境を背景にいまひとつ冴えない株価のものも少なくはない。いずれにせよ、五輪需要を背景に株価の居所を大きく変えたコロナ前の水準と比較して、現在の株価は雲泥の差があるのも事実だ。ウィズコロナに向けて動き出したいま、中・長期的視点で見れば底値買いの好機であることは忘れてはならない。

●ライブ・エンタメ市場「22年から急速に再起」

 とは言え、イベント業界を巡る事業環境はいまだ楽観視できない状況が続いているのも現実だ。あるイベントに絡む業界関係者に取材すると、「一般論として、コロナの収束とともに、いずれ業績は回復してくるとは思う。ただ、それがいつになるのか、正直なところ答えようがないというのが答えだろうか」と、先行き不透明な状況を語る。それでも「新たな領域を事業の視野に入れることで、業績回復に努めたい」と言う。

 こうしたなか、ぴあ <4337> グループ会社のぴあ総合研究所は9月27日にライブ・エンタテインメント市場についてのレポートを公表した。そのなか「感染拡大防止対策を徹底した上で徐々に活動が再開されてきたとはいえ、2021年も低空飛行が続いている」と厳しい現状を伝えている。ただ、さまざまなプラス要因が働くことを前提にして、「ライブ・エンタテインメント市場は、22年から急速に再起し、23年には、一気にコロナ前の水準にまで回復し、23年以降、with/afterコロナ下での新たなビジネスモデルを描きながら、年平均成長率2.4%の安定した成長を実現する」と推測している。

●有観客で「ドバイ万博」開幕

 また、25年には「大阪・関西万博(以下、大阪万博)」が開催される。東京五輪を通過したいま、次の焦点は 大阪万博に移ることになる。今月1日には、アラブ首長国連邦(UAE)で「ドバイ万博」が有観客で開幕した。東京五輪同様に約1年の延期を経てのスタートとなったが、さまざまな感染対策を徹底しての開催となり、大阪万博開催に向けての試金石ともなる。

 大阪万博については、会場建設費1850億円、会期184日間(25年4月13日~10月13日)、想定来場者数は約2820万人を見込むだけに、イベント関連企業の期待も大きい。イベント関連株は、新型コロナの感染拡大により、五輪に関連するイベントが相次ぎ中止に見舞われ業績も悪化、厳しい状況が続いてきた。そういう意味でも、25年の大阪万博はリベンジに向けて大きな舞台となりそうだ。

●博展は“ハイブリッド”で商機

 ここ株式市場では、行動制限緩和を好感し電鉄、旅行などに絡む銘柄の株価を刺激。足もとは米国の債務上限問題や中国恒大集団の資金繰り懸念で弱含む銘柄も少なくないが、こうしたなか高値圏で頑強展開をみせているイベント展示大手の博展 <2173> [JQG]に注目が集まっている。8月中旬には407円まで売られ直近安値をつけたが、ここを起点に切り返し今月4日には598円まで上値を伸ばし年初来高値を更新した。イベント関連需要の回復を先取りした買いを呼び込んでいる格好だ。同社は、オフラインとオンラインを組み合わせたハイブリッド型のコミュニケーションサービスにも注力しており、新たな商機を取り込むことでウィズコロナ環境での活躍領域を広げている。きょうの株価は小幅安も高値圏で底堅さ発揮、ここからの展開に注目が集まる。

●乃村工芸社、万博実績豊富で受注獲得期待

 乃村工藝社 <9716> は7日取引終了後、22年2月期第2四半期累計決算を発表。連結営業利益は前年同期比61.9%減の9億2000万円に大きく落ち込んだ。ただ反応は限定的で、翌日の株価はいったん27円安に売られたものの押し目買いに大引けはプラスで終了。乃村工芸社の株価も博展同様に8月中旬から反転攻勢に出ており、きょうも上げ足を強め年初来高値を更新した。同社は、展示・商業施設向けディスプレー最大手だが、厳しい業績については既に織り込み、今後の事業環境の好転を期待した買いが勝った格好だ。ここにきては大阪万博での大型受注獲得への期待も膨らんでいる。同社は、1970年の大阪万博ではテーマ館、政府館ほか主要パビリオンの展示施工に関わっているうえ、その後国内で開催されたつくば万博、愛知万博でも多くの展示施工を手がけており実績が豊富だ。行動制限緩和が進み、さまざまなイベントの復活が予想されるが、加えて徐々に万博ムードが盛り上がるにつれ存在感を発揮しそうだ。

●改革スピード加速するTOW

 イベント制作最大手のテー・オー・ダブリュー <4767> にも注目してみたい。同社の21年6月期の連結営業利益は前の期比71.7%減の6億5500万円に落ち込んだが、従来予想の5億5800万円を上回って着地。続く22年6月期は前期比47.6%増の9億6700万円に回復する見通しだ。同社は、従来からデジタル領域に力を入れてきたが、コロナ禍を契機に改革のスピードを更に加速し、さまざまなアライアンスやソリューション開発に着手している。同社は、2005年開催の愛知万博で各種パビリオンの企画・演出・運営を受託しており、大阪万博での活躍期待も高まる可能性がある。

●急速人気で注目集めるFインタ

 ここ急速に上げ足を速め注目を集めているのが、総合プロモーション事業大手のフロンティアインターナショナル <7050> [東証M]だ。9月13日の取引終了後に発表した22年4月期第1四半期連結決算が、売上高35億2000万円(前年同期比78.7%増)、営業利益2億5700万円(前年同期1億9400万円の赤字)と黒字転換したことをキッカケに、株価は急速人気化した。自社配信スタジオのFスタジオ渋谷を5G化したことなどで、デジタルによるイベント配信やオンライン案件が大幅に伸長したことに加え、人材領域の販促キャンペーンなどの受注体制を整備・推進し、収益の確保に努めたことが奏功。また、国際的スポーツイベント案件などの受注の獲得も寄与した。1800円手前だった株価が、ストップ高を交え急上昇し、同月16日には上ヒゲで3420円まで買われている。現在は、上昇一服も2800円台後半で頑強展開となっている。

●三精テクノロ、セレスポにも復活の風

 舞台装置と遊戯機械などを手掛ける三精テクノロジーズ <6357> [東証2]も大阪万博関連として忘れてはいけない存在だ。地元大阪企業という点も思惑を助長するが、1970年の大阪万博では舞台機構や各種遊戯機械などを提供。更に、モントリオール万博や、つくば万博、愛知万博における実績も豊富だ。主要な取引先である国内外の遊園地・テーマパーク、劇場といったエンターテインメント業界は、営業時間短縮や入場者数制限といった感染防止策の継続を余儀なくされてきたが、行動制限緩和の動きが進むことで同社の事業環境も明るさを取り戻すことになる。22年3月期の営業利益は前期比5.4%増の15億円を計画している。

 また、セレスポ <9625> [JQ]は、イベントの企画・運営を手掛け、スポーツ分野で特に強みを持つが、東京五輪開催を追い風に株価が大変貌をみせたことは記憶に新しい。しかし、新型コロナの感染拡大が強い逆風となり、東京五輪が延期となる過程で株価は急落することになった。現在は800円台半ばで推移するが、今後多くのスポーツイベントの復活が予想されるだけに、活躍のスタートラインに再び立つことが期待される。

●ぴあ、制限緩和見据え活躍期待高まる

 イベント収容人数の更なる制限緩和も視野に入るなか、当然コンサートなどのエンターテインメント分野の事業環境にも好影響を与えることになる。感染第6波が懸念される状況で慎重な見方が多いのも事実だが、ウィズコロナをにらんだ動きが加速するなか、関連する銘柄の動向には注視が必要だ。

 ぴあは、8月12日に発表した22年3月期1四半期の連結最終損益は11億7900万円の赤字(前年同期27億6000万円の赤字)と赤字幅が縮小した。通期予想については、新型コロナの影響で合理的に算定することが困難なことから、現時点では未定としているが、回復の兆しは見え始めている。株価は、イベントの制限緩和への期待感からチケット販売最大手の同社にも買いが入っている。ここ調整局面にあったが、25日移動平均線を足場に切り返し、きょうは年初来高値を更新している。

 そのほかでは、コンサートの映像・音響設備提供サービスを展開するヒビノ <2469> [JQ]、サザンオールスターズや福山雅治などが所属する芸能プロダクションのアミューズ <4301> 、音楽アーティストなどのファンクラブ・ファンサイト制作・運用やチケット・グッズ販売を手掛けるSKIYAKI <3995> [東証M]などの動向にも目を配っておきたい。

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