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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─日米株価逆行はまだまだ続く

株式評論家 植木靖男

「日米株価逆行はまだまだ続く」

●あふれ出たマネーの受け皿となる日本市場

 日経平均株価は、8月27日の2万7641円(終値ベース)からわずか12日間で3000円強も上昇し、まさに大暴騰となった。これはなぜか? 多くの市場関係者は日本株の割安性とか企業収益の改善期待、新政権への政策期待などを理由としているが、いつも通りの後付けであり、その理由については誰も分からず終いである。

 強いてあげれば、米国株価がすでに上昇の許容範囲を超えていて、これ以上の上昇が難しくなったと悟り、仕方なく日本市場に資金を向けただけのことではないか。要は水槽が満杯となり、あふれ出たマネーがまだ少ししか入っていない日本の水槽に入れられたのである。

 自民党総裁選は岸田氏が新しい総裁に選出された。まだ平穏な世の中、異端児の河野氏の出番は早すぎるという判断だろう。あと数年で世界が激動するとみれば、河野氏にいずれ出番が巡ってくるのかもしれない。

 さて、岸田氏の掲げる経済政策に驚きの声があがっている。“所得再分配政策”、すなわち新自由主義からの転換である。岸田氏は世の中の流れをいち早く察知した。まさに驚くべき慧眼の持ち主といえる。いま世界は米国をはじめ大きな政府を目指しているが、この流れに沿うものである。これでは近く行われる衆院選で野党はお株を奪われた格好となり、敵を見失って惨敗せざるを得ないだろう。

●注目は出遅れ好業績、政策関連
 
 では、今後の株価をどうみるか。前提として8月27日以降、日本株と米国株は連動どころか逆行している。この動きはおそらく半年ぐらいは続くであろう。であれば年末、新春にかけて日本株高が予想されるところだ。まして、衆院選までは、材料として聞き心地の良い話が相次ぐであろうし、海外からの資金流入は続くとみてよいだろう。

 とはいえ、相場のことゆえ、当然のことながらその途次ではアップダウンはある。

 いま日経平均株価は9月22日の2万9639円を下回ったことで、やや乱調子となっている。しかし、これまでの経験からいえば、10月第2週の中でいったん下げ止まり反発することになろう。もっとも、それが底入れとなるかどうかは定かでない。やはり、米国株次第であろう。米国株はすでに天井をつけている可能性が大きいが、今後さらに厳しい下げがあれば、やはり日本株もその影響は免れないであろう。

 とはいえ、先述した水槽の理屈からいえば、なお余剰資金は豊富である。日本株への資金流入は続くとみられ、下値不安は乏しいはず。市場では年末に3万2000円処まで上昇するとみる投資家は多い。であれば、1~2カ月辛抱すれば利食いが可能とみるのであれば、焦って売ってくる投資家は少ないとみるのが理屈だ。

 こうしたなか、物色の流れをどうみるか。不安定な状況下では、心理として高株価の銘柄は敬遠したくなる。具体的には3000円以下で、かつ好業績の出遅れ株というところか。加えて、衆院選までは政策関連株が無難とみる向きが多いのではないか。

 まず、いままで主役になり得なかった業種として、子育て、その支援関連銘柄か。働く女性の支援サービスが目新しいポピンズホールディングス <7358> 。

 トプコン <7732> にも注目だ。住宅市場活況で測量機械が好調なうえ、検眼システムも伸び今期大幅増益予想だ。

 日揮ホールディングス <1963> も水素から製造したアンモニアを用いた発電でユニークだ。

2021年10月1日 記

株探ニュース

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