【特集】利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第3弾 32社選出 <成長株特集>
ジェイリース <日足> 「株探」多機能チャートより
本特集では、7月下旬から8月中旬までの決算発表集中期間に配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。「第1弾」(9月16日)、「第2弾」(9月20日)に続き、今回は時価総額50億円以上800億円未満の東証1部銘柄を対象に、21年4-6月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ今期も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。
下表では、本決算月にかかわらず、4-6月期に経常利益が全四半期ベースの過去最高益を更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している32社を選び出し、4-6月期の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップとなったのは、自動車ディーラーのVTホールディングス <7593> 。21年4-6月期(第1四半期)の経常利益は過去最高益を2.5倍も上回る97.2億円に急拡大して着地。新車、中古車ともに販売台数が新型コロナ感染拡大の影響で落ち込んだ前年同期から回復した。また、保有する持ち分法適用会社KeePer技研 <6036> 株式の一部売却に伴い、売却益70億円を計上したことも利益を大きく押し上げた。
2位の国際紙パルプ商事 <9274> は昨年7月に買収した仏紙製品卸大手アンタリスの業績が加わったことに加え、中国事業の再構築が順調に進み販売数量が大幅に回復したことなどで、海外部門の収益が急改善した。また、製紙原料の価格上昇も追い風となり、4-6月期(第1四半期)の経常利益は10四半期ぶりに過去最高益を達成した。
3位のイーグランド <3294> はコロナ禍における中古住宅需要の高まりを背景に、主力の中古住宅再生事業で居住用物件の販売件数が大幅に増加し、4-6月期(第1四半期)は売上高、経常利益ともに過去最高を更新した。決算と同時に発行済み株数の5.5%を上限とする自社株買いの実施を発表したほか、今月10日には中間配当を大幅増額修正するなど、積極的な株主還元姿勢も評価され、株価は青空圏を走っている。
4位のTOWA <6315> は中国や台湾を中心に半導体関連の設備投資が活発化するなか、主力のモールディング装置や半導体製造用精密金型の販売が大きく伸びた。また、工場稼働率の改善に加え、コンプレッション装置などの付加価値の高い製品が好調だったことも追い風となり、4-6月期(第1四半期)は43四半期ぶりに最高益を更新した。半導体関連では、電子部品・製造装置商社のダイトロン <7609> が11位、半導体製造装置向けピラフロン製品を手掛ける日本ピラー工業 <6490> が12位、半導体・液晶製造装置向けを主力とする非鉄金属商社の白銅 <7637> が16位にそれぞれリスト入りしている。
5位に入ったジェイリース <7187> の4-6月期(第1四半期)は、主力の家賃債務保証業務で新規顧客の獲得や既存契約からの継続保証料収入が増加したほか、成長領域として注力する事業用保証が大きく伸びた。また、与信審査・債権管理業務の強化による貸倒コストの抑制や債権管理業務コストの削減も利益拡大に貢献した。15日には早くも今期2回目となる22年3月期通期業績の上方修正に踏み切り、株価は上場来高値を更新中だ。
続く6位にリスト入りしたアルコニックス <3036> の4-6月期(第1四半期)は、IT・半導体関連向けの電池・電子材料が好調だった。また、自動車需要の急速な回復を背景にレアメタル・レアアースや銅スクラップの販売も大きく伸び、経常利益は34.8億円(前年同期比2.8倍)と10年ぶりに過去最高益を塗り替えた。
7位の資源リサイクル大手エンビプロ・ホールディングス <5698> は鉄スクラップ価格が急上昇したことに加え、産廃物処理受託の値上げ効果や生産工程の効率化なども寄与し、4-6月期(第4四半期)は2四半期連続の最高益更新を遂げた。併せて発表した22年6月期の経常利益は前期比13.6%増の28.5億円と2期連続で最高益を更新する見通しだ。
10位にリストアップされた藤倉コンポジット <5121> の4-6月期(第1四半期)は、産業用資材事業で自動車部品の受注が回復したほか、半導体や医療関連向け制御機器が大きく伸びた。また、スポーツ用品事業では自社ブランドのゴルフ用カーボンシャフトが国内や北米で好調が継続し、経常利益は実に14年ぶりの最高益と大復活を遂げた。併せて22年3月期通期の同利益を16期ぶりの最高益見通しに大幅上方修正したことも好感され、株価は約3年4ヵ月ぶりの高値圏に急浮上している。
13位の再生アルミ地金大手である大紀アルミニウム工業所 <5702> の4-6月期(第1四半期)は、主要顧客である自動車メーカーの生産回復で需要が増加したことに加え、アルミ製品と原料の価格差が拡大したことも利益を押し上げた。好調な業績を踏まえ、17日に22年3月期配当予想を大幅増額修正したことも評価材料となり、株価は上場来高値1910円まで上値を伸ばしている。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 4-6月期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<7593> VTHD 153 9726 3844 61.4 16100 9976 6.0
<9274> 国際紙パルプ 80.6 1797 995 62.0 5000 3086 5.8
<3294> イーグランド 68.1 765 455 7.9 1440 1335 10.3
<6315> TOWA 66.4 2716 1632 120 9100 4131 10.8
<7187> ジェイリース 43.4 443 309 78.9 1630 911 16.9
<3036> アルコニクス 40.7 3487 2478 10.8 8800 7939 6.8
<5698> エンビプロ 38.1 1041 754 13.6 2850 2508 13.3
<4251> 恵和 30.7 604 462 115 2141 996 30.5
<7905> 大建工 30.6 4703 3601 25.3 13900 11089 8.1
<5121> 藤コンポ 26.5 1221 965 11.0 3000 2703 7.5
<7609> ダイトロン 23.4 1478 1198 7.2 3850 3592 9.9
<6490> ピラー 22.9 2380 1937 52.2 8000 5255 11.7
<5702> 大紀ア 20.2 5578 4640 60.3 14500 9046 6.8
<4671> ファルコHD 17.9 1335 1132 5.2 3000 2853 10.4
<6050> イーガーディ 16.9 532 455 30.1 1795 1380 28.6
<7637> 白銅 15.6 1030 891 9.8 3500 3188 15.9
<2475> WDB 13.8 1727 1517 0.3 5260 5243 22.0
<4687> TDCソフト 13.2 847 748 0.2 2570 2564 20.1
<8014> 蝶理 13.1 2876 2543 15.1 10000 8685 7.0
<4362> 日精化 12.3 1426 1270 8.3 4500 4154 18.8
<9384> 内外トランス 11.6 914 819 97.5 3270 1656 10.8
<3179> シュッピン 11.4 702 630 15.6 2005 1735 19.1
<3457> ハウスドゥ 10.8 1339 1209 4.9 3150 3003 9.2
<3925> ダブスタ 5.9 452 427 53.6 1710 1113 45.6
<3666> テクノスJ 5.1 373 355 10.1 1055 958 17.0
<5757> CKサンエツ 4.9 2575 2455 10.2 6500 5897 6.7
<4743> ITFOR 4.8 987 942 12.2 2600 2317 12.9
<3319> GDO 3.7 731 705 17.6 1440 1225 31.0
<9304> 渋沢倉 2.8 1307 1271 0.4 4200 4182 13.1
<4462> 石原ケミ 2.1 691 677 27.3 2400 1885 12.2
<3939> カナミックN 0.9 219 217 18.3 800 676 53.4
<7173> 東京きらぼし 0.4 4417 4400 3.8 15000 14453 4.8
※ 2020年1月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
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