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【特集】高価な「値がさ株」狙いに戦略転換したら資産6倍になった技

第30-1回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(ケーススタディ編)

登場する銘柄
ファーストリテイリング<9983>、任天堂<7974>、ニトリホールディングス<9843>、神戸物産<3038>

取材/真弓重孝・高山英聖、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

湘南トレーダーさん(ハンドルネーム・60代・男性・専業投資家)
【タイトル】日本株運用資産5800万円
累積投資元本1000万円
累積リターン5000万円
投資スタイルファンダメンタルズ、需給を重視
主な保有期間中期(1カ月~1年)
保有銘柄数40~60銘柄
投資開始年2013年7月
他の投資対象賃貸不動産
自身の性格分析自らの創意工夫・判断が好き
好きな言葉「臥薪嘗胆」「大胆かつ繊細」
湘南トレーダーさんとは:
2011年にシステム系の上場企業を退職し、13年7月に元手300万円から株式投資を始めた。
最初はバイオ株やIPOで失敗が重なったが、「売買日記」を活用してノウハウを積み上げてきた。
結果、勝ちパターンとなったのが、ファンダメンタルズ分析を軸にした値がさ株投資。
あらゆる視点で下値リスクを軽減するのが特徴で、1カ月以上の中期で安定的にリターンを
稼げるようになった。累計リターンは5000万円。
今後はテンバガーを狙える銘柄への長期投資にもチャレンジしたいという。

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売っている商品はお手頃&お値打ち価格なのに、株式の購入額となると高嶺の花。そんな銘柄の代表格がファーストリテイリング<9983>や任天堂<7974>だ。

足元ではファストリ株の最低投資金額は700万円以上、そして任天堂株では500万円を超える。ちょっとした高級車が買える金額なので、投資金額が限られている個人投資家にとっては、おいそれと手を出しにくい。

ファストリ株や任天堂株のように、最低投資金額が50万円もしくは100万円を超える株は、一般に「値がさ株」と呼ばれる。

この値がさ株に狙いを絞ってリターンを積み上げてきたのが、現在は専業投資家の湘南トレーダーさん(ハンドルネーム・60代・男性)だ。

2013年に投資を本格的に始めてから1000万円の累積元本を5800万円に膨らましてきた。『株探』では投資元本を2倍以上に増やした人をバガーさんと呼んでいる。湘南トレーダーさんも、その1人だ。

最近の成功例としてはニトリホールディングス<9843>(以下、ニトリHD)がある。ここ数年の最低投資金額は100万~200万円超で推移している。

下のチャートのように、直近5年で4回の売買で計80万円超のリターンをさらった。5回目の購入以降は保有中で、足元では20万円の含み益が生じている。

■ニトリホールディングスの週足チャート(16年6月~)
【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同



■ニトリHDの取引履歴
回数購入時期購入時の
株価
売却時期売却時の
株価
リターン
1回目2016年11月11日1万1900円2016年12月末1万3360円14万6000円
2回目2017年7月18日1万4700円2017年8月23日1万6800円21万円
3回目2017年10月6日1万6000円2017年11月28日1万8800円28万円
4回目2018年6月28日1万7800円2020年6月1日1万9850円20万5000円
5回目2021年2月24日2万300円保有中--

なぜ、個人投資家には簡単に手を出しにくい値がさ株で、湘南トレーダーさんは資産を6倍に増やすことができたのか。そのポイントを3回にわけて見ていく。

キーワードは「下値リスクの抑制」「レバを利用した銘柄分散」「同じ失敗を繰り返さない」になる。初回は、下値リスクを抑えるノウハウについて見ていく。

値がさ株のリスクは、こう対処する

本題に入る前に値がさ株投資の妙味とリスクについて簡単に触れると、まず妙味は効率よく稼げること。

例えば300万円の最低投資金額で手にした銘柄は、株価が1%上昇しただけで3万円とちょっとしたお小遣いの額を稼ぐことができる。上昇率が10%なら30万円と、2人でプチ贅沢な国内旅行ができるような額になる。

これが最低投資金額30万円の銘柄になると、3万円を稼ぐには10%の株価上昇が必要。そして30万円を稼ぐには株価が2倍にならないと手にできない。このように値がさ株はわずかな株価上昇で大きな利益を手にできる。

が、リスクとリターンは裏表。上昇トレンドにうまく乗れれば効率よくリターンを稼げるのだが、下押し圧力に飲み込まれたら、1%の下落が万円単位の損失を生んでしまう。

もちろん最低投資金額が30万円の株でも10単元の1000株を購入したら1銘柄あたりの投資額は300万円になる。

ただし、10単元なら、打診買いして様子見するといった時間分散や、300万円のうち150万円はA社株を5単元、残りをB社株で10単元といった銘柄分散で、リスク対策を施せる。

このように値がさ株への投資は、大きな利益を手に入れられる可能性がある一方で、損失も大きくなり、リスク分散も図りにくい特性がある。

こうした中で、湘南トレーダーさんが値がさ株でリターンを積み上げたのには、2つの要素がある。

1つは、微妙にそっぽを向かれた好業績株を狙う
もう1つは、無期限の信用取引の活用


――になる。1つ目は今回、そして2つ目は次回に詳しく触れる。
塩漬けリスクを減らすため「チャート」「業績」「需給」の3つを精査

湘南トレーダーさんの銘柄選びは、リスクの最小化に軸を置いている。そもそも値がさ株を好むのも、塩漬けのリスクを抑えやすいと考えたことが背景にある。

本人の経験則では、値がさ株はちょっとした理由で株価が下がっても、業績が堅調ならいずれ元に戻りやすい傾向があるという。うまく押し目を拾い「なるべく安全にリターンを稼げないか」と考えたのが始まりだ。

だが株式投資に絶対はないので、業績が伸びても株価が必ず連動するとは限らない。そんな下値リスクを出来るだけ軽減するため、銘柄選び~購入では次のようにふるいにかけていく。

それが以下の3つのステップだ。

① チャート ~ 直近の安値付近で購入
② 業績 ~ 業績が安定し、成長期待も高い
③ 需給 ~ 安値になった理由が一過性かどうか


この3ステップで、好業績なのに一過性の理由で株価を下げている銘柄、いわば「微妙にそっぽを向かれた好業績株」を狙う戦略だ。

購入後、業績に根ざした株価水準に修正されるのを期待して、銘柄選択しているのだ。この①~③のポイントを順番に見ていく。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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