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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─コロナ&政治の季節の投資戦術!

経済評論家 杉村富生

「コロナ&政治の季節の投資戦術!」

●欧米諸国はコロナとの“共存”を選択!

 ここ数日はジャクソンホール会議(8月27日)を控え、リスクオフ(現金比率を高め、様子見)の姿勢を強めているが、基本的に欧米市場は堅調である。特に、NYダウS&P500指数ナスダック指数は揃って史上最高値圏にいる。抜群に強い。アメリカ市場は国際マネーを一手に吸収している。

 なにしろ、アメリカ市場の時価総額は50兆ドル(5500兆円)を超え、世界の株式市場の時価総額の43.9%を占める巨大マーケットだ。機関投資家、個人富裕層の資産運用はアメリカ市場抜きには考えられない。アフガニスタンではミソをつけたが、頼りになる。したがって、みんな“視線”はアメリカに向かう。

 新型コロナウイルス「デルタ型」のパンデミックに関しては欧米ともに、あまり気にしていない。8月26日までの累計感染者数はアメリカが3822万人、フランスが676万人、イギリスが662万人、ドイツが391万人などと相変わらず高水準だ。危機的状況に変化はない。しかし、市民生活はほぼ正常の姿に戻りつつある。

 欧米諸国はコロナとの「共存」の道を選択したのだろう。もちろん、ワクチン接種は進んでいる。一方、日本の累計感染者数は139万人と、欧米と比べると圧倒的に少ない。にもかかわらず、緊急事態宣言の乱発、繰り返しなどマスコミ中心に「大変だ、大変だッ」と大騒ぎだ。この背景には医療設備の逼迫があろう。

 とはいえ、日本の株式市場は弱い。弱すぎる。日経平均株価は2月16日の3万0714円(ザラバベース)を高値に、6カ月にわたって調整を続けている。欧米市場とは明らかに違う。8月20日には瞬間、2万6954円の安値をつけた。年初来の新安値だ。この株価低迷は何に起因するのだろうか。

●元気なMipox、ビジョナルを攻める!

 政治の迷走? それはある。菅政権の支持率は危険水域の30%割れ寸前だ。国民の多くが政府のコロナ対応に不満を募らせている。ただ、2012年のアベノミクス以降、政権支持率と株価は逆相関のパターンを描いてきた。まあ、ほとんどが安倍政権の時代だが…。支持率低下→景気対策発動の効果だろう。

 すなわち、安倍政権は株価と為替を強く意識していた。菅政権に求められているのはコロナ対応と同時に、景気刺激策の推進だろう。2020年度一般会計予算のうち、30兆円が消化できず、繰り越されているが、これは3次補正予算の成立が今年1月だったため、年度内に執行できなかっただけのこと。

 「余っているのに、新たに予算を組む必要はない」と主張する人がいるが、これは違う。とりあえず、9月は総裁選(29日投開票)だ。常識的には景気対策は10月になろう。FRBはテーパリング(資産買い入れ額の縮小)に道筋をつけ、バイデン政権は9月初旬に、FRBの正副議長の人事案を発表する。

 秋の政治の季節である。物色面では引き続いて、個別物色の展開だろう。日本市場は好調な企業業績以外には不安材料が多すぎる。中国リスクもある。ここは元気なMipox <5381> [JQ]、ビジョナル <4194> [東証M]、松田産業 <7456> 、商船三井 <9104> 、双信電機 <6938> などを攻める作戦が有効と思う。

 双信電機は日本ガイシ <5333> に代わって釜屋電機(非上場)が筆頭株主になった。ノイズフィルター、フィルムコンデンサーなどEV(電気自動車)関連だ。釜屋電機は神奈川県に本社を置くが、親会社は台湾の電子部品メーカーである。テラプローブ <6627> [東証2]と“境遇”が似ている。

2021年8月27日 記

株探ニュース

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