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【特集】得意のファンダ分析にチャートを加えたら、1年で資産が2.5倍に
第28-1回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(ケーススタディ編)
登場する銘柄
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今回登場するのは化学系技術者出身のimacyu(ハンドルネーム)さん。会社役員を退職後、2020年3月から専業投資家となった。
運用資産は300万円から、元本追加も含めて15年ほどで6500万円まで増加させている。累積元本から計算した累積リターンは4.5倍のバガーさんになる(参考)。中でもリターン増に貢献したのが、コロナ騒動が襲った2020年だ。1年で約2.5倍に増やしている。
昨年はコロナ反動相場の勢いが追い風になった面はあるが、躍進の原動力は
会社員時代に身に付けた事業分析力を基にしたファンダメンタルズ分析、
そして専業投資家に転じた後に身に付けたテクニカル分析
――を加えたハイブリッド分析にある。
ファンダメンタルズ分析では、「自分アナリストリポート」と呼ぶ、事業モデルや収益・収支構造、目標株価などをまとめている。ここまでするのは、自身がIR(投資家向け広報)部門に在籍した経験があるためだ。
もう1つのテクニカル分析では、売買のタイミングを計るのに主に利用している。
では、ファンダメンタルズ分析×テクニカル分析の両輪で、資産を大きく伸ばしているimacyuさんの投資スタイルについて見ていこう。
■imacyuさんの資産推移
銘柄選択の手順は、新高値→ビッグチェンジ探索→傾向分析→目標株価
imacyuさんは以下に挙げた5つのステップを軸に銘柄選びをする。以下の表がその手順だ。
■imacyuさんの銘柄選びの手順
注:ケースによって順序が異なる。IRは投資家向け広報
まずは①の新高値を更新した銘柄など日々チェック。上昇要因を確認し、
②の企業にとって大きな変化(ビッグチェンジ)が起きていると感じたら分析のスタートとなる。
③は、②のビッグチェンジを確認する上で、過去の決算数値を並べて比較する。
④の自分アナリストリポートの作成は、③で見た決算短信や有価証券報告書、決算説明資料の決算数値以外の情報も参考にしてまとめる。定量面と定性面で得られた情報を基に将来の営業利益を予測し、目標株価の算出に活用する。
⑤のIR(投資家向け広報)に「電話」で問い合わせるのは、最初に手掛ける銘柄では必ず行っている。理由の1つは、IR担当者の姿勢は投資に値する会社かどうかの大きな判断材料になると考えていることがある。自身がIR部門に在籍した経験から、痛感していることだ。
電話での問い合わせにこだわるのは、担当者が答えづらい情報も聞き出しやすくなるとみているため。メールでは返答内容が形に残ることから、企業によっては慎重な対応をされてしまうこともあるためだ。
なお、④で行う目標株価の算出では企業ごとに、以下に示した4つの方法を組み合わせている。
■imacyuさんが目標株価を算出する4つの方法
②の予想EPS(1株当たり利益)に過去の平均的なPER(株価収益率)を掛ける方法では、同業他社の平均ヒストリカルPERを使っているのが特徴だ。
これは、imacyuさんがグロース銘柄を狙うことが多いため。こうした銘柄は、すでに数年先の利益成長を株価に織り込まれて、割高に見える水準になっていることもある。
そのため、株価への織り込みが落ち着いたと判断できる同業他社を探し、その企業の平均ヒストリカルPERを用いて、注目するグロース銘柄での妥当な目標株価を算出する。
また②の予想EPS×平均ヒストリカルPER以外の算出法も併用するのは、このやり方が向かないケースがあるためだ。
その1つが、業績が悪い会社に大きな変化が起きている場合だ。このやり方では業績が悪い時のPERも加味されることになり、妥当な目標株価を算出しにくくなるためだ。
こうした①~⑤の手順で分析を終えると、チャートの形状などテクニカル面を意識して売買を行う。買いと売りの基準を示したのが以下の表になる。
■imacyuさんの売買基準
注:▲はマイナス
売買基準としては、直近高値やボックス圏から出来高を伴って大きく上抜けたタイミングが買いポイントとなる。米国人の著名投資家、ウィリアム・オニール氏が提唱する「カップウィズハンドル」と呼ばれるチャートの形状もimacyuさんが買い基準として重要視しているサインの一つ。
一方、保有株を売却する際には平均取得単価から▲10%という最低の損切りラインは厳守。さらに長期的にはボックス圏の下限、短期的には上昇後のもみ合いなどの下限を下値抵抗線として設定し、基準の使い分けを行っている(▲はマイナス)。
長期的な売り基準に加え、短期的な売り基準も設定することで、▲10%という損切りラインに当てはまらない場合でも売却するタイミングを計ることができるため、リスクを抑えつつ銘柄を保有することができる。
また、これに加え、相場の状況が不安定な時には現金比率を上げることを意識している。コロナショックでも資産の減少を防ぐことができたのは、このルールを順守したことが大きい。
ではここからは、具体的な銘柄と共に、imacyuさんの取引を振り返ろう。今回は主に、imacyuさんが業績予想の上方修正や決算の上振れに注目して取引をした銘柄を紹介する。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
...
登場する銘柄
取材/富田祥平・真弓重孝、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)
imacyuさん(ハンドルネーム・50代・男性・専業投資家) | ||
---|---|---|
日本株運用資産 | 6500万円 | |
累積投資元本 | 1270万円 | |
累積リターン | 5270万円 | |
投資スタイル | グロース(成長)重視 | |
主な保有期間 | 1カ月~1年未満 | |
保有銘柄数 | 6~10銘柄前後 | |
投資開始年 | 2005年 | |
他の投資対象 | なし | |
自身の性格分析 | 好奇心旺盛・やり出したら極める | |
好きな言葉 | 努力は必ず報われる | |
imacyuさんとは:化学系の技術者から転職し、役員としてIRを担当。 2020年3月に退職し、専業投資家となる。 投資開始時はビギナーズラックで運用資産が約4倍まで増加したが、 数々のショックを受けて30万円まで大幅ドローダウン。 その後は本業も忙しく、片手間での投資となってしまったが、 2019年8月に投資塾に入ったことで才能を開花させた。 1年前から始めた自作のアナリストリポートが持ち味。 趣味はマラソンとパン作り。 |
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今回登場するのは化学系技術者出身のimacyu(ハンドルネーム)さん。会社役員を退職後、2020年3月から専業投資家となった。
運用資産は300万円から、元本追加も含めて15年ほどで6500万円まで増加させている。累積元本から計算した累積リターンは4.5倍のバガーさんになる(参考)。中でもリターン増に貢献したのが、コロナ騒動が襲った2020年だ。1年で約2.5倍に増やしている。
昨年はコロナ反動相場の勢いが追い風になった面はあるが、躍進の原動力は
会社員時代に身に付けた事業分析力を基にしたファンダメンタルズ分析、
そして専業投資家に転じた後に身に付けたテクニカル分析
――を加えたハイブリッド分析にある。
ファンダメンタルズ分析では、「自分アナリストリポート」と呼ぶ、事業モデルや収益・収支構造、目標株価などをまとめている。ここまでするのは、自身がIR(投資家向け広報)部門に在籍した経験があるためだ。
もう1つのテクニカル分析では、売買のタイミングを計るのに主に利用している。
では、ファンダメンタルズ分析×テクニカル分析の両輪で、資産を大きく伸ばしているimacyuさんの投資スタイルについて見ていこう。
■imacyuさんの資産推移
銘柄選択の手順は、新高値→ビッグチェンジ探索→傾向分析→目標株価
imacyuさんは以下に挙げた5つのステップを軸に銘柄選びをする。以下の表がその手順だ。
■imacyuさんの銘柄選びの手順
①新高値を更新した銘柄など日々チェック |
---|
②業績の大きな変化があるかを確認 |
③3年分の決算から傾向を確認 |
④「自分流アナリストリポート」を作成し目標株価を設定 |
⑤IR部門に電話で問い合わせ |
まずは①の新高値を更新した銘柄など日々チェック。上昇要因を確認し、
②の企業にとって大きな変化(ビッグチェンジ)が起きていると感じたら分析のスタートとなる。
③は、②のビッグチェンジを確認する上で、過去の決算数値を並べて比較する。
④の自分アナリストリポートの作成は、③で見た決算短信や有価証券報告書、決算説明資料の決算数値以外の情報も参考にしてまとめる。定量面と定性面で得られた情報を基に将来の営業利益を予測し、目標株価の算出に活用する。
⑤のIR(投資家向け広報)に「電話」で問い合わせるのは、最初に手掛ける銘柄では必ず行っている。理由の1つは、IR担当者の姿勢は投資に値する会社かどうかの大きな判断材料になると考えていることがある。自身がIR部門に在籍した経験から、痛感していることだ。
電話での問い合わせにこだわるのは、担当者が答えづらい情報も聞き出しやすくなるとみているため。メールでは返答内容が形に残ることから、企業によっては慎重な対応をされてしまうこともあるためだ。
なお、④で行う目標株価の算出では企業ごとに、以下に示した4つの方法を組み合わせている。
■imacyuさんが目標株価を算出する4つの方法
① 同業他社との株価水準を比較 |
---|
② 予想EPS × 同業他社のヒストリカルPER |
③ 利益成長を考慮するPEGレシオを利用 |
④ 最高益を更新した銘柄は直近の高値 |
注:EPSは1株当たり利益、PERは株価収益率
PEGレシオはPERを予想利益成長率で割った値
②の予想EPS(1株当たり利益)に過去の平均的なPER(株価収益率)を掛ける方法では、同業他社の平均ヒストリカルPERを使っているのが特徴だ。
これは、imacyuさんがグロース銘柄を狙うことが多いため。こうした銘柄は、すでに数年先の利益成長を株価に織り込まれて、割高に見える水準になっていることもある。
そのため、株価への織り込みが落ち着いたと判断できる同業他社を探し、その企業の平均ヒストリカルPERを用いて、注目するグロース銘柄での妥当な目標株価を算出する。
また②の予想EPS×平均ヒストリカルPER以外の算出法も併用するのは、このやり方が向かないケースがあるためだ。
その1つが、業績が悪い会社に大きな変化が起きている場合だ。このやり方では業績が悪い時のPERも加味されることになり、妥当な目標株価を算出しにくくなるためだ。
こうした①~⑤の手順で分析を終えると、チャートの形状などテクニカル面を意識して売買を行う。買いと売りの基準を示したのが以下の表になる。
■imacyuさんの売買基準
買い基準 | 売り基準 |
---|---|
直近高値の更新 | 長期のボックス割れ 短期の下値抵抗線割れ |
レンジブレイク | 買値(平均取得単価)から▲10% |
チャートの形状 | 大きな出来高を伴った 陰線の形成 |
売買基準としては、直近高値やボックス圏から出来高を伴って大きく上抜けたタイミングが買いポイントとなる。米国人の著名投資家、ウィリアム・オニール氏が提唱する「カップウィズハンドル」と呼ばれるチャートの形状もimacyuさんが買い基準として重要視しているサインの一つ。
一方、保有株を売却する際には平均取得単価から▲10%という最低の損切りラインは厳守。さらに長期的にはボックス圏の下限、短期的には上昇後のもみ合いなどの下限を下値抵抗線として設定し、基準の使い分けを行っている(▲はマイナス)。
長期的な売り基準に加え、短期的な売り基準も設定することで、▲10%という損切りラインに当てはまらない場合でも売却するタイミングを計ることができるため、リスクを抑えつつ銘柄を保有することができる。
また、これに加え、相場の状況が不安定な時には現金比率を上げることを意識している。コロナショックでも資産の減少を防ぐことができたのは、このルールを順守したことが大きい。
ではここからは、具体的な銘柄と共に、imacyuさんの取引を振り返ろう。今回は主に、imacyuさんが業績予想の上方修正や決算の上振れに注目して取引をした銘柄を紹介する。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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