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【特集】ミロク情報 Research Memo(5):6つの基本戦略を推進し、中期経営計画の達成を目指していく(2)

ミロク情報 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ミロク情報サービス<9928>の「中期経営計画Vision2025」

(4) クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの転換
現在、オンプレミスでの販売が大半を占めているERP製品のクラウド化・サブスク化を段階的に進めていく。サブスク化することによって、一時的に利益はマイナス影響を受けるものの、外部要因に左右されず安定的な売上が見込めるようになるほか、リプレイス(買い替え)の際の営業工数が削減でき、新規顧客開拓へ営業リソースを集中できること、最新システムの継続提供により、旧バージョン製品のメンテナンスコストを最小化できることなどの効果が期待できる。すなわち、クラウド・サブスク化によって継続的な売上成長と収益性向上が見込めることになるわけだ。

顧客側から見ても初期費用が抑えられるほか、運用負荷を軽減できること、常時最新機能の利用が可能となることから、オンプレミスからの移行メリットは大きい。前述したとおり、同社単体ベースのサブスク収入を含むストック型収入の比率は2021年3月期実績の39%から2026年3月期に55%に上昇する見通しとなっている。このストック型収入のなかにはオンプレミス販売の際の保守・サポートサービスの売上も含まれており、現在はこちらの売上比率が高い。今後はサブスクモデルへの移行により、保守・サポートサービスの比率は徐々に低下していくことになる。

(5) グループ連携強化によるグループ会社の独自成長促進
専門分野に特化した高いコンサルティング力と独自のテクノロジーを生かし、グループにおけるシナジーの最大化を図りながら総合的なソリューション力を高めることで、グループ会社の成長を促進していく。また、グループの組織再編と運営体制の最適化を図ることによって収益力も強化していく。

トライベックに関しては、2021年4月に登録会員数300万人を超えるビジネス情報サイト「bizocean」を運営するビズオーシャンを吸収合併しており、強みであるデジタルマーケティングのノウハウと融合することで、ブランド戦略から顧客獲得・育成まで支援する総合型DXコンサルティング企業を目指していく。

また、トランストラクチャについては人事コンサルティングサービスのクラウド化・自動化を進めていくと同時に、同社との共同セミナー開催による新たな顧客開拓を進めていく。従来は、営業エリアが首都圏に限定されていたが、同社が全国に展開する販売網を通じて、企業の人事制度や人材開発などを客観的に診断・評価するツールなどの販売を推進していくことで、売上拡大を図っていく。

そのほか、採用コンサルティング及び広告代理店事業を展開するアド・トップについては、採用に関するBPOサービスを第2の事業領域として早期に立ち上げ、「採用×DX」サービスを統合型DXプラットフォームに乗せることで成長を加速していく方針だ。また、中小企業を対象としたM&Aコンサルティングサービスを展開するMJS M&Aパートナーズについては、事業承継ニーズの増加に対応すべく、外部連携を進めながら競争力の強化を図っていく。

ERP事業を展開する子会社3社については、各社が持つ技術力を生かして特定用途への独自ソリューションによって成長を目指していくほか、子会社間の人材交流なども行いながらクラウド・Web領域を中心とした開発にも注力していく方針となっている。

前述したようにグループ会社の中期業績目標は、2026年3月期に売上高150億円、経常利益25億円となり、2021年3月期実績(売上高57億円、経常利益1億円)から大きく伸ばす意欲的な計画となっている。計画達成に向けて今後、統合型DXプラットフォーム事業でどれだけ顧客基盤を広げていくことができるかが、重要な鍵を握ることになると弊社では見ている。なお、M&Aについては引き続き継続していく方針となっており、対象としては、統合型DXプラットフォームで提供可能なサービスを展開している企業などが候補として挙げられる。

(6) 戦略実現を加速する人材力・経営基盤強化
With/Afterコロナを踏まえて、人材投資を加速させ、働きやすい職場環境を整備していくとともに、新しい働き方に対応した経営・業務基盤の構築に取り組んでいく。

健康で働きがいのある職場づくりとして、テレワーク環境の整備や残業時間の削減、有給休暇取得率の向上、市場競争力のある処遇体系の整備や待遇面の向上、プロフェッショナル人材の育成・確保、全社員の研修体系整備と徹底した人材育成などをテーマとして取り組み、社員満足度の向上と人材確保・育成の強化を推進していく。

また、社内の経営情報システムの刷新により、事業別・製品別の収支管理を可視化していくことで経営の意思決定の迅速化と最適化を実現していくと同時に、管理業務の生産性向上とデジタル化の実現に取り組んでいく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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