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【特集】所持金0円のドン底から億り人に這い上がったサバイバル投資術

第26-1回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(ケーススタディ編)

文/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

登場する銘柄
西日本旅客鉄道<9021>、明星電気<6709>、東芝<6502>、オリバー<7959>、アイビー化粧品<4918>、SBIホールディングス<8473>

misoraさん(40代・男性・兼業投資家)
【タイトル】 日本株運用資産 約1億円
累積投資元本 30万円
累積リターン 不明
投資スタイル 主に時代の流れから将来性のある企業に着目し、
底値と思える安値圏で拾う
主な保有期間 2~3年
保有銘柄数 140銘柄前後(別に不動産投資信託を保有)
投資開始年 2000年
他の投資対象 外貨
自身の性格分析 楽観主義で直感型、愚直
好きな言葉 「仁・義・礼・智・信」の五常
misoraさんとは: 再建を頼まれて関わった福祉関係の事業に従事しながら、
投資を行う兼業投資家。
両親の離婚後、家を飛び出し高校2年の時から自活をするも、20歳時には勤め先の人に騙され、
約束した報酬がもらえず路上生活に陥るというシビアな実体験を持つ。
その後、日雇い労働を積み重ね、キラキラの外資系金融機関に就職するという
ドラマティックなリベンジ劇を果たす。
給与にはほとんど手を付けず、30万円を元手に2000年から株式投資を開始。
以降、外貨投資なども交えて、「1カ月100万円ゲット」のノルマを積み重ね
約1億円もの資産形成を成し遂げる。写真は好きな本、オグ・マンディーノの『地上最強の商人』

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今回クローズアップするmisoraさん(ハンドルネーム)は、とてつもない「サバイバル力」を発揮して、資産を築いたすご腕さんだ。

投資家として資産を拡大させた足取りを見ると、アルバイト等で貯めた30万円を元手に、20年ほどの間に株式と為替の取引で運用資産を約1億円にまで膨らませた。

だがmisoraさんのケースで目を見張るのは、元手を300倍にしたことではない。「全くの無一文」というドン底状態から今の地位まで這い上がってきたという壮絶な体験をして歩んできたことだ。

しかも、本人曰く、中学校の時分は不登校児で、進学した高校も県で最も偏差値の低い学校で大学には行けず。学歴が高かったとか、何か特別な後ろ盾があったわけではない。

10日間、渋谷の公園でホームレス生活、口にしたのは水のみ

misoraさんはもともと、両親が離婚した後に父子家庭になり、5年間続いた父親からの虐待に耐えられずに家を飛び出し、高校2年の時から自活を続けていたという苦しい体験の持ち主である。学費や生活費は深夜のアルバイトでやりくりし、空腹でない日はなかったという。

昼食時は10人ほどの同級生から買い物代行のお駄賃をもらい、その日の飲料水を確保するという生活だった。

その後も苦しい環境は続く。不運にも20歳の頃、タチの悪い建設業者に騙され、月に300時間近く働かされたにも関わらず4万円しか報酬がもらえないという信じられない事態に遭遇する。

半年近いガマンにも耐えきれずに親方に訴え出ると、ボコボコに殴られ、着の身着のまま寮を追い出されることに。その時の所持金は500円のみ。その金額で、電車で行けた場所が東京の渋谷だった。

駅近くの公園に身を寄せ、晴れた日にはベンチで寝て、公衆トイレで雨風をしのぐホームレス状態の生活を、10日間も味わされた。

時はバブル経済の真っただ中。同世代の若者が、当時流行りのディスコの『ジュリアナ東京』で踊り狂っているような時代だっただけに、より惨めな気持ちがこみあげてきたのだという。

ホームレスの時に口にしたのは、園内にある水道の水のみだった。「人は、水だけでも10日も生きられるのか」と、misoraさんは当時のことを振り返る。

取材ののっけから強烈な話が飛び出し、目をぱちくりとさせられた取材班。だが渋谷のエピソードは、その後に起きる様々な驚くべき出来事の序章に過ぎなかった。

投資とは、まったく縁遠い青春時代を送ったmisoraさんが、どのようにして投資資金を作り出し、人並み以上の財産を築き上げたのか。そのドラマティックな歩みと具体的な投資手法をここからみていこう。

■misoraさんの18歳頃の写真、暴走族の友人と(本人は右端)
【タイトル】

■misoraさんの投資のあゆみ
2000年 30万円を元手に株式投資を開始、
半年後には資金を300万円まで増やす
01年 9月のニューヨークテロ事件の前に、
偶然にも株の保有分はほとんど現金化していたため、
ほぼ無傷のまま運用の主体を外貨投資に移すことに成功
18年春まで 16年の米国大統領選では、
投票日前後の数日間で200万円の為替差益を獲得するなど、
外貨投資の好調で資産は数千万円に拡大
2018年5月 話題のHEROZ<4382>を購入したくて株取引を再開
(手続き上のトラブルで4月の上場時は取引できず)
21年(現在) 全体資産では約1億円を達成

「貧乏キライ」「コンスタントに」「ドン底からの這い上がり」がポイントに

まず、当記事の本来の趣旨であるmisoraさんの日本株投資のノウハウから触れる。軸としているのは、

将来伸びると思える銘柄を、需給による凹みや相場暴落に巻き込まれて底値と思えるような水準で拾う――ことだ。

端的にいえば割安成長株狙い。特段、奇をてらったものではない。だが実際の銘柄選び、そして売買の仕方には、壮絶な人生を歩んできたmisoraさんならではの哲学が込められている。

取材班はこれまで、強烈な自分色を持つ投資家を何十人も取材してきたが、misoraさんの考え方・やり方はこれまで巡り合うことがなかった独特なものだった。

misoraさんが投資で意識しているのは、次の3つになる。それは

・貧乏キライ
・コンスタントに成果を上げる
・ドン底からの這い上がり

――になる。

この3つは、利益確定などの保有銘柄の出口戦略やポートフォリオ全体の運用資金の伸ばし方に関わるものだ。ではこれから、それぞれについて見ていこう。

貧乏キライ――確実性のない10倍株より確実な100万円を優先

株式投資を始めたからには、一度は手にしたいと夢見るのがテンバガー(10倍株)。だがmisoraさんはテンバガーにはサラサラ興味がない。

なぜなら、ほんとうにそんな大化けをするのかも、するにしてもいつになるか、確実なことは誰にもわからないから。遠い未来にはてない期待を寄せるよりは、いま掴むことのできるリターンを着実に摘み取ることを優先するのがmisoraさん流だ。

遠い未来より現実、不確実なものより確実な事を優先するのは、20歳そこそこで路上生活を経験し、明日死ぬかもしれない恐怖を、身を以て味わったからだ。

貧乏キライ――。misoraさんに否が応でも離れない感情がある。だから投資でも、いつ実現するかもわからない「テンバガー」や「目標株価の達成」より先に、目の前にある利益を確実に手にすることを最優先にする。

そんなmisoraさんがこだわるのが、「1カ月で100万円の利益獲得」だ。保有する個別銘柄は、常に140銘柄程度。この中から「1カ月100万円」を実現する確度が高くなる銘柄を利確していく。

1カ月はおおよそ20営業日なので、1カ月100万円は1日5万円になる。切りをよくするには1日に10万円だが、さすがにこれはハードルが高いと考え、1日5万円×20日を目標額にした。

今年6月はJR西や東芝など、7月はオリバーやアイビー化粧品が

misoraさんは「1日に投資にかける時間は1時間が上限」と決めている。ただし、この時間で1日5万円のリターンを追求するのは無理が生じる。

そのため1日の収支にはこだわらず、1カ月で100万円を目標にして日々の投資に臨んでいる。日々の収支は下に示した投資ノートに記載し、1カ月の帳尻を合わせるようにしている。

■misoraさんの投資ノート
【タイトル】

例えば、今年21年6月は、保有株からの配当金で37万円ほどのインカムゲインの利益を手にする。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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