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【市況】米国株式市場見通し:短期的に強い相場が継続


第3四半期、下半期入りで新たな買いが期待できそうだ。下半期は、後半にかけて年内の利益確定売りなども予想されるため、高値警戒感が強まる可能性もあるが、例年のように季節的に7月いっぱいは、短期的に強い相場が続きそうだ。投資家の恐怖心をあらわすVIX指数もパンデミック前の水準まで低下している。また、引き続きバイデン政権が提示しているインフラ計画の行方にも注目したい。バイデン大統領は5790億ドル規模のインフラ法案の成立を目指し上院超党派グループとの会合を重ねているが、財源確保の方法を巡る意見の相違が引き続き協議の障害となっているようだ。

インフレ高進への脅威が後退しつつあるほか、新型コロナのデルタ変異種の拡大は懸念となるが、同時にワクチンのさらなる普及で、世界経済の回復が一段と明確となったことが買い材料になる。国際通貨基金(IMF)は米国の2021年の見通しを2月時点のほぼ倍となる7%まで引き上げ、22年度も5%前後の強い成長を見込んでいる。さらに、連邦準備制度理事会(FRB)も当面、超緩和策を修正する気配が見られず、引き続き相場を支える要因になりそうだ。FRBによるストレステスト(健全性審査)で「合格」し、株主還元の制限が解除されることに伴い金融機関の増配や自社株買い計画が発表されたが、投資家間では金融関連株が最も人気があるようだ。

最大の懸念は、予想を上回るインフレや新型コロナウイルスの再拡大、FRBによる金融緩和の解除などが挙げられている。さらに、中国の習近平党総書記(国家主席)が北京で開催された創建100年の記念式典での演説で、人権問題などを巡る欧米諸国の批判に屈しない姿勢を強調したほか、台湾統一が歴史的任務とするタカ派姿勢を強調。このため、米中間の関係悪化などが挙げられる。

なお、5日は独立記念日の振替祭日で休場となる。

経済指標では、6月ISM非製造業景況指数、6月サービス業PMI(6日)、5月JOLT求人件数(7日)、週次新規失業保険申請件数(8日)、5月卸売売上高(9日)、が予定されている。そのほか、FRBは7日に連邦公開市場委員会(FOMC)(6月開催分)議事録を公表する。FRBはこの会合で、金融政策を据置いたが、四半期に一度公表するスタッフ予測(SEP)の中で、インフレ、成長見通しが引き上げられ、利上げの時期の予想も前倒しされたため一時金利先高感が強まった。パウエル議長はこの結果が今後の金融政策の計画ではないと、市場にあまり重きを置かないように訴えた。この議事要旨で、見通しを巡る詳細に注目したい。また、9日から10日にかけて先進20カ国(G20)財務相・中銀総裁会合がイタリア、ベニスで開催される。主な議題は世界規模での税制改革。バイデン政権が提案した法人税の最低税率15%以上で経済協力開発機構(OECD)130カ国が大枠合意しており、成立に向けてG20でもさらに協議される見込み。イエレン財務長官が参加を予定しているが、世界の税制の足並みをそろえることでバイデン政権は国内の法人税引上げの環境を整えるという目論見がある。

企業決算では、衣料品メーカーのリーバイ・ストラウス(8日)などが予定されている。経済活動の再開に伴い、小売りが好調で、同社の決算も良好な内容を期待したい。

6日からアイダホ州サンバレーでアレン&カンパニー主催の年次会合が開催される。昨年はパンデミックで中止されたが、メディアやIT企業の幹部が参加し、さまざまな買収案件が協議されるため、注目だ。2日付で、最高経営責任者(CEO)の座を退いたオンライン小売、アマゾンのベーゾス氏やフェイスブックのザッカーバーグCEO、携帯端末のアップルのクックCEO、バークシャー・ハサウェイを率いる著名投資家のバフェット氏が参加する予定だという。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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