【特集】コロナ禍の陰で受診控え急増、出動本番の「医療ICT関連」特選7銘柄 <株探トップ特集>
がん検診の受検者数は新型コロナ感染を恐れ昨年春から夏にかけて急減した。これは将来的ながん患者の増加をもたらし、高度医療を必要とする事態を引き起こす懸念がある。
―病気の発見遅れ高度医療の需要高まる懸念、効率化を推進する好機にも―
新型コロナウイルスを巡る状況は、ワクチンの普及拡大で新ステージに突入した。変異株への懸念は残るものの、ワクチン接種の拡大が進んだ米国や英国では感染者数が急減し、経済活動の正常化を目指す局面に入った。ただ、新型コロナがもたらす負の影響は予想がつかないほど広範囲にわたる。その一つに感染を恐れた病院の受診控えがある。この受診控えは今後のがん患者の増加などによる高度医療に対する需要増をもたらし、「医療ICT(情報通信技術)関連株」への注目度を高めさせる可能性がある。
●新型コロナの影響で高度医療が必要な患者が今後数年で増加
新型コロナという、今まさに我々の目前にある緊急事態。感染力や致死率の高い変異株も世界のいたるところで生まれており、その恐ろしさは誰の目にも明らかだ。しかし、その裏で着々と進行している将来に関わる危機については、あまり大々的に取り上げられてはいない。
米国勢調査局が過去に行った推計によると、米国の人口における65歳超の割合は2030年までに20.5%に上昇するとされ、その数は6700万~6800万人にのぼる。直近で米国のバイデン大統領が提出した2022会計年度の予算教書で、前提となる経済成長予測が控えめである背景には、こうした高齢化問題も影響を与えている。実際、高齢化の進行に伴って、医療費支出が増し、政府や企業の重荷となっていく図式は一般化されたもので、特段の驚きはないだろう。しかし、この流れに更なる拍車をかける可能性があると一部で懸念されているのが、新型コロナの流行による外出自粛と受診控えだ。これによって、運動習慣が失われる、病気の発見が遅れるといった事態が生じてしまうことで、さまざまな病状悪化が進行。高度医療を必要とする患者が今後数年で増加するというシナリオが囁(ささや)かれている。
●がん検診の受診者数は昨年半ばに急減
実はこのシナリオが杞憂だとは言い切れない報告が出てきている。3月11日に開催されたがん対策推進協議会で、報告されたがん検診受診者数の動向がそれだ。日本総合検診医学会、全国労働衛生団体連合会に加入する180機関からの回答によると、20年4月及び5月の検診受診者数が対前年比で急減しているのだ。更に、日本対がん協会29支部からの資料を見ると4月と5月に限らず、6月と7月も急減状態になっている。また、減っているのは検診だけでなく、「(大腸がんと胃がんについて)検診レベルで見つかるがんの手術が顕著に減った」という大阪大学医学部の土岐祐一郎氏の発言が報じられている。
ここまで触れたのは、がんに関連するデータのみだが、言うまでもなく病気はがんに限られない。増大する医療費、医師不足(その対応としての遠隔医療など)、医師の過酷な長時間労働問題なども含めて、従来から医療ICTの導入を促進し効率化を図ることは非常に重要性の高い課題とされてきた。更に、コロナ禍によってその注目度と必要性は一段と高まっていると言えよう。そこで今後の活躍が期待できる医療ICT関連の特選7銘柄を紹介する。
●ソフトマックスやネクシィーズ、Ubicomなど
ソフトマックス <3671> [東証M]~Web型電子カルテ ・医療会計などの自社開発のPlusUsシリーズを中核に、医療向けソリューションを展開している。統合型電子カルテシステムは、電子カルテ、オーダリング、看護支援が一体となったパッケージシステムであり、情報を1つのデータベースに合理的に一元管理する。
MRT <6034> [東証M]~医師・看護師を中心とした人材紹介サービスなどを展開。スマートフォンでできる遠隔診療・健康相談アプリ「オンライン診療ポケットドクター」は、電話再診をビデオ通話で行える。ヘルスケア機器から取得したバイタルデータと連携させることや医療機関の予約のほかオンライン決済も可能。
オプティム <3694> ~IoTプラットフォームサービスやリモートマネジメントサービスを展開。オンライン診療 ・服薬指導システムをOEMにて提供している。オンライン診療に限らず、在宅医療や保健指導、健診、人間ドック、検査機関などさまざまな医療サービスに活用可能。訪問介護看護サービス向け「ほのぼのTV通話システム(NDソフトウェアが提供)」、「オンライン診療ポケットドクター(MRTが提供)」などで導入された実績がある。
ネクシィーズグループ <4346> ~湘南美容クリニックのグループ代表と共同で設立したアイメッド社において、医療アプリ「アイメッド」を提供。同アプリは、人工知能(AI)機能による病名予測、それに適した近隣の病院情報、処方せんの配送、医師と話せるオンライン診療まで完結した医療機関総合サービスとなっている。
ケアネット<2150>~医師・医療従事者向け医療専門サイト「CareNet.com(ケアネット・ドットコム)」を運営。医師と製薬企業をつなぐITソリューション「MRPlus」やKey Opinion Leaderと呼ばれる、当該分野で影響力を持つ医師によるレクチャーを全国にライブ配信する「Web講演会」など医薬デジタルトランスフォーメーション(DX)事業にて医療の革新に資するサービスを展開。
メドピア <6095> ~医師専用コミュニティーサイト「MedPeer(メドピア)」を基盤として、各種医師向けサービスなどを展開。薬剤師/薬局向けサービスとして、かかりつけ薬局化を支援する「kakari」も提供。処方せん送信・チャット相談・お薬手帳も備えたAll in Oneアプリとなっており、オンライン服薬指導も対応可能。個人向けにチャットやテレビ電話で専門医が実名回答してくれる健康相談サービス「first call」も。
Ubicomホールディングス <3937> ~メディカル事業において、医療機関向け経営支援ソリューションを展開しており、全国の病院・クリニックにレセプト点検、医療安全支援、データ分析、クラウドサービス、開発支援、コンサルティングなどの医療ITソリューションを提供している。
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