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【通貨】為替週間見通し:下げ渋りか、量的緩和策の早期縮小の可能性残る

米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【今週の概況】
■ドル伸び悩み、米インフレ加速の懸念和らぐ

今週のドル・円は伸び悩み。週初に109円50銭まで買われたが、5月19日にビットコイン、イーサリアムなどの暗号資産の価格が大幅に下落したことや、米国のインフレ率が大幅に上昇する可能性は低いとの見方が増えたことがドル売り材料となった。米長期金利の低下を意識したドル売り・円買いも観測されており、ドル・円は一時108円57銭まで下落した。

21日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時109円00銭まで反発する場面があった。IHSマークイットが発表した5月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は、指標改訂後の最高値を記録したことや、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が金融緩和策の早期縮小の必要性に言及したことがドル買い材料となった。ただ、米長期金利は伸び悩んでいることや、暗号資産のビットコインの価格が再び下落したことから、リスク回避的な円買いが観測されており、ドルは上げ渋り。108円96銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:108円57銭-109円50銭。

【来週の見通し】
■下げ渋りか、量的緩和策の早期縮小の可能性残る

来週のドル・円は下げ渋りか。直近で発表された製造業関連などの経済指標は予想を上回っており、米国経済の正常化を期待したドル買いがただちに縮小する可能性は低い。米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和政策縮小への思惑も消えていないため、リスク回避的なドル売りが大きく広がる状況ではないとみられる。

FRBが5月19日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月27-28日開催分)によると、経済の急速な回復が進むなか、複数のメンバーは資産買入れ規模の段階的縮小(テーパリング)の議論をある時点で開始することについて言及していたことが明らかになっており、金融緩和縮小の早期実施の可能性を巡って投機的なドル売り・円買いはある程度抑制されるとみられる。

なお、すでに緩和縮小の可能性を打ち出しているカナダ中央銀行、豪準備銀行、NZ準備銀行の政策方針も注視される。市場関係者の多くは、これらの中央銀行は現行の金融緩和策を当面継続すると予想しているが、金融緩和策の早期見直しについて言及した場合、ドル売り材料となるため、注意が必要か。

【米・CB5月消費者信頼感指数】(25日発表予定)
25日時発表の米5月消費者信頼感指数は120.0と、4月の121.7を下回る見通し。ただ、信頼感指数の水準自体はまずまず高いと予想されており、市場予想と一致した場合、米国経済の早期回復を意識したドル買いの手がかりとなりそうだ。

【米1-3月期国内総生産(GDP)改定値】(27日発表予定)
27日発表の米1-3月期国内総生産(GDP)改定値は、速報値の前期比年率+6.4%を維持できるか注目される。市場予想を下回った場合、早期の景気回復期待はやや後退するが、ドル売り材料となるかどうかは、長期金利の動向次第か。

予想レンジ:107円50銭-110円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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