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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「好悪材料内包、流れに従う」

株式評論家 富田隆弥

◆日本でも高齢者へのワクチン接種が始まった。何だかんだと騒がれながらも、接種率は時間とともに高まっていく。そして、失われた日常生活を取り戻して、経済が正常化に向かう時がやってこよう。ワクチン接種率が10%になると株価は上昇に弾みをつけるとの大手証券のレポートもあり、アフターコロナに向けて市場の株高期待は膨らんでいる。

◆だが、その一方で株式同様にこれまで余剰マネーが流れ込んでいたビットコインなど暗号資産(仮想通貨)が波乱を呈している。2月にイーロン・マスク率いるテスラがビットコインを15億ドル(約1600億円)購入していたことが明らかになったほか、4月14日に大手交換取引所のコインベースが鳴り物入りでナスダックに上場したこともあり、ビットコインは同日に6万4000ドル超の最高値をつけていた。だが、その後は調整含みとなり、5月12日にイーロン・マスク氏が「ビットコインでのテスラ車購入の支払い停止」を発表したことで下げに拍車が掛かり、19日に一時3万ドル近辺で安値をつけた。最高値からの下落率はなんと5割超、ほぼ半値以下まで叩き売られた。

◆その後は少し戻しているが、ビットコイン急落で懸念されるのは、ヘッジファンドなどに巨額損失を被ったところがあるのではないかということ。少し前に騒がれた投資会社「アルケゴス」はレバレッジを効かせていたことで、たった1銘柄の株価下落で巨額損失を出している。同様のことが今回のビットコイン(暗号資産)急落で起こりかねず、そうした懸念があることを頭に入れておきたい。

◆いまの株式市場は、期待と懸念要因がせめぎ合う、難しい局面にあると言える。ただ、どのような時でもチャートの流れに従うのが相場の基本である。日経平均株価は5月13日の安値2万7385円から戻り歩調にあるが、日足チャートはデッドクロスした25日移動平均線(20日時点2万8903円)と75日移動平均線(同2万9216円)の下に位置し「陰転、下げ基調」にある。「好転」を示すには、少なくとも75日移動平均線を突破しなければならず、それを確認するまでスタンスは慎重、様子見が望まれる。

(5月20日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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