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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 経済正常化の織り込み余地大きい日本株

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

●MSCIリバランス後の需給改善を想定

 5月11日から13日の3日間で2000円を超える急落となった日経平均株価だが、その後は緩やかながらもリバウンドを見せており、足元では2万8000円処での押し目買い意欲が窺える。

 決算発表がピークを通過して1週間が経過したことで、そろそろ好業績銘柄を見直す動きも意識されるところだ。5月末に向けてはMSCIのリバランスに伴う需給が警戒されて慎重姿勢は続きやすいものの、次第にリバランス後の需給改善を想定したポジション取りに向かうとみておきたい。

 また、24日からは5都府県で新型コロナウイルスワクチンの大規模接種が始まり、ワクチン接種の動きが一気に進展することになる。これにより、ようやく海外勢も日本株のロングを積み増す動きに向かわせよう。

 緊急事態宣言の延長が議論されているが、米国や欧州などでは経済正常化の織り込みが相当程度進んでいるとみられ、これらの国々の市場では目先的には上値余地も限られてきているだろう。対して、日本株は経済正常化の織り込み余地が大きく、資金シフトの動機につながりやすい。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆TDCソフト <4687>
企業の業務アプリケーション開発からITインフラの基盤構築などを手掛けるシステムインテグレーター。コロナ禍による案件中断など受注活動への影響はあるものの、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けた戦略策定などITコンサルやサービス分野が好調。また、金融業向けシステムはポイント関連案件が堅調に推移している。公共法人ITソリューションは製造・運輸業向けの開発案件が堅調。アジャイルやセキュリティ関連事業を重点戦略分野として位置づける。株価は年初来高値を更新し、2018年9月以降、上値抵抗として意識されている1200円水準の突破に期待したい。

◆アマダ <6113>
レーザマシンやパンチングマシンなど板金事業を中心に、グループで鋸盤、研削盤、レーザ溶接機、プレス周辺装置などを手掛ける金属加工機メーカー。21年3月期は新型コロナ感染拡大の影響を受けたが、足元では北米・アジアを中心に海外の受注が大きく伸長。自動車産業向けは改善傾向にある。5月12日のMSCIスタンダードインデックスからの除外発表後は弱いトレンドが継続。27日の引け値でリバランスが行われるが、PBRは0.8倍台と1倍を下回る水準にあり、リバランス通過後の見直しを想定した押し目狙いのスタンスか。

◆豊田合成 <7282>
5月14日に自動車用のエアバッグやシートベルトを生産する芦森工業 <3526> との資本業務提携を発表。同社は主にトヨタ自動車 <7203> 向けにエアバックを開発しているが、環境変化への対応力が求められるなか、芦森工業と協業することで開発力や製品競争力を強化させる。同社株もMSCIスタンダードインデックスからの除外が警戒されて12日には2577円まで下落し、年初来安値を更新。27日のリバランスに向けた売りが見込まれるが、ここは押し目拾いのスタンスで。

◆トレックス・セミコンダクター <6616>
車載、産業機器向けに強みを持つアナログ電源ICメーカー。世界的に旺盛な半導体需要を背景に国内外からの引き合いが想定以上で、21年3月期は計画を上振れて着地した。22年3月期は連結営業利益は65.4%増の20億円を見込む。株価は調整が続いていたが、75日移動平均線を支持線としてリバウンドを強めており、年初来高値を更新。17年の高値2150円に迫っており、一段とトレンドを強めてきそうだ。

◆大真空 <6962>
水晶デバイスメーカー。5Gスマホの立ち上がり本格化やテレワーク拡大を背景に、水晶デバイスの旺盛な需要が継続。通信向けや民生向けの販売も好調が続く。21年3月期は期初計画を上振れて着地。22年3月期の連結営業利益は前期比43.6%増の30億円を見込んでいる。株価は足元の上昇で1月14日につけた年初来高値2790円を射程に入れており、08年7月以来の3000円回復も意識されてこよう。

2021年5月21日 記

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