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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 半導体、xEV、脱炭素関連の特選株は?

経済評論家 杉村富生

「半導体、xEV、脱炭素関連の特選株は?」

●「ゴルディロックス」下の株式市場!

 アメリカ景気は急浮上を示している。すでに、コロナショックを克服したようだ。製造業、非製造業の景況感、雇用情勢は改善が著しい。イエレン財務長官の発言(景気が回復すれば金利が上昇するのは当然だ)にもかかわらず、10年物国債利回りは1.57%前後と落ち着いている。この好環境を好感し、NYダウ平均は連日の史上最高値更新である。

 各国中央銀行、政府の流動性供給、財政出動(コロナショックに対応、その総額は1530兆円)によって、世界的に過剰貯蓄が生まれた。その金額はアメリカの200兆円をはじめ、ユーロ圏、日本の各100兆円、その他地域100兆円など合計500兆円に達する。

 過剰貯蓄は誰が持っているのか。それは高齢の富裕層である。彼らは外出制限下、お金の使い道に困っている。「とりあえず、預金」。こんな人が多いと思う。景気回復→金利上昇とみるか、この資金が外洋クルージング、自動車、住宅投資などに向かうか、判断に迷う。

 筆者は当面、金利上昇、インフレは起こり得ないと考えている。株式投資には絶好の状況である。まさに、「ゴルディロックス」(適温経済)だ。足もとはNYダウ、日経平均株価の快調な動き(先物主導に加え、売り方の買い戻し)に対し、ナスダック総合指数マザーズ指数は勢いに欠ける。国際マネーが、ポートフォリオの核に主軸株を据えていることがあろう。

 しかし、ポストコロナにおいて、世界経済を支えるのは引き続いてイノベーション(技術革新)だろう。半導体、xEV(電気自動車、燃料電池車、ハイブリッドカー)、5G(第5世代移動通信システム)、DX(デジタルトランスフォーメーション)自動運転カーボンニュートラル(脱炭素)関連などがメーンとなる。

●日本初の水素発電のイーレックス!

 さて、個別銘柄はどうか。ロングランに狙える特選株を紹介する。まず、半導体セクターではテスター、ハンドラ(半導体の最終チェックを行う)のテセック <6337> [JQ]、半導体製造装置向けソリッドステートマイクロ波電源の東京計器 <7721> に注目できる。22年3月期はともに、V字型の回復に転じる。

 xEV、自動運転関連ではリチウムイオン電池用電極コーティング製造装置を手掛けるテクノスマート <6246> [東証2]、カメラモジュール、画像処理システムをデンソー <6902> に納入しているシキノハイテック <6614> [JQ]、トヨタ自動車 <7203> の燃料電池車「MIRAI」に部材を供給する大豊工業 <6470> が面白い。

 脱炭素(再生可能エネルギー)関連ではバイオマス、水力、水素専焼発電などの切り口に加え、業績絶好調のイーレックス <9517> はどうか。チャートはもみ合いゾーンを上放れそうな気配だ。ここは動き(放れた方向)につきたいと思う。これがセオリーである。

 国内初の水素発電についてはHydrogen Technology(東京都中央区)と組み、山梨県の東京電力パワーグリッド管内に300キロワット級の水素発電所の建設を進めている。水素は水と岩石由来の触媒で安価に作る。さらに、燃料電池車への水素供給事業も検討しているという。

2021年5月7日 記

株探ニュース

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