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【市況】明後日の株式相場に向けて=連休絡みの個別株攻略作戦

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が62円高の2万9053円と反発。FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見を日本時間のあす未明に控え、この結果を見極めたいというニーズが強く、加えて国内では大型連休を控え様子見ムードとなりやすい。とはいえ、これは一般論としての解釈であり、きょうの東証1部売買代金は2兆7000億円に達した。今月9日以来の商い水準で、決して閑散相場という雰囲気ではなかった。持ち株を手仕舞いするなら、ディスカウントした値段でそれを引き受けますよ、という買い手が多いことを物語る。ちなみにきょうは日経平均とTOPIXは高かったが、値下がり銘柄数が全体の68%、つまり3銘柄のうち2銘柄は安いという状況だった。

 カレンダー的にはあすは休場となり、明後日は場が立つが、今週土曜日から5連休となる。機関投資家でなくても買いポジションを軽くしておきたいのが投資家心理というものだ。3月本決算でも決算発表までまだ日数がある銘柄や、今回の発表に絡まない決算月の銘柄は焦って売却したりつないだりする必要はないが、今のような時期に持ち株をある程度整理しておくのは有効だ。新たな視点で広く相場を俯瞰する際に待機資金が潤沢にあれば、おのずと銘柄選別にあたっても集中力が高まる。

 ここ最近は好決算発表でも理不尽に売られる銘柄が目立ったが、相場はいったん合理から離れるとそれが加速する傾向がある。これは株価上昇時にも言えることで、この株がこの材料でなぜこれほど上がるのか、と首をかしげることは日常茶飯事だ。しかし、行き過ぎた振り子は必ず戻る。合理から離れた株価は再び合理にサヤ寄せする。理不尽な急落に見舞われたと思っても、その後も戻る気配なしということも少なからずあるが、それは元々が合理的なポジションにいなかったからということになる。

 安川電機<6506>は今2月期営業55%増益予想でも売り込まれたが、同社株の6000円近辺は3年前の18年1月につけた天井とほぼ同水準で因縁場といえる。もし仮に今回もこの6000円ラインが天井となった場合は、今期業績下方修正の暗示、もしくは23年2月期の減益を予見している可能性が高い。成長路線が続くのであれば気にならないが、そのネガティブシナリオに沿った場合は40倍台のPERはネックとなる。

 きょうはファナック<6954>とアドバンテスト<6857>の前日の決算を受けた株価の反応が注目された。両銘柄とも好決算といえるが、今一つ市場の期待に届かないという内容だった。しかし、大きく売り込まれることはなく、ファナックは上昇し一時2万6000円台を回復する場面もあった、アドバンテストも上値指向とはならなかったものの底堅く推移し、前日終値近辺でしっかりと売り物を吸収した。大型連休前で売りプログラムも作動しなかったということがあるかもしれないが、とりあえずこの2銘柄の動きは安心材料だ。

 個別では、前日取り上げた三井ハイテック<6966>が売り一巡から75日移動平均線をサポートラインに切り返しの動きをみせ、引き続きマークしたい。半導体リードフレーム大手で5Gや次世代通信規格の6Gでも恩恵を享受する。更にEV向けモーターコアも手掛け、中長期的にみて成長の伸びしろは大きいと判断される。半導体周辺ではMipox<5381>も500円台後半のもみ合いは狙いやすい位置だ。また、半導体搬送装置を製造するほか、太陽光や風力などハイブリッド発電を手掛け再生可能エネルギー関連の側面も持つシンフォニア テクノロジー<6507>。更に、レーザー関連の一角である神島化学工業<4026>は4月下旬から商いに厚みが加わっており、陽線が多くチャートの形も良い。

 業態を変えたところでは、設計施工マネジメントを手掛ける明豊ファシリティワークス<1717>のこの位置での陰線は怖いところだが、買い向かってそれなりに妙味がありそうだ。店舗情報サイトを展開するデザインワン・ジャパン<6048>のきょうの陰線も拾い場提供となっている可能性がある。このほかバイオ株では新型コロナ関連で再び出番到来の気配を漂わせるトランスジェニック<2342>に注目してみたい。

 あすは、東京株式市場は「昭和の日」の祝日に伴い休場となる。海外のスケジュールでは1~3月の米GDP速報値のほか3月の米中古住宅販売仮契約など。欧州では4月の独消費者物価指数(CPI)速報値が発表される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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