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【特集】脱炭素化で普及加速、「省エネ住宅」関連株をマークせよ <株探トップ特集>

政府は脱炭素社会の実現に向け、住宅分野でも取り組みを強化する構え。そのひとつとして検討されているのが、新築住宅などへの省エネ基準適合の義務化だ。

―断熱材メーカーなどに商機、規制措置は一段と強化の可能性も―

 政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標に向け、住宅分野での取り組みを強化する構えだ。カーボンニュートラルを実現するためには、再生可能エネルギーの導入や電気自動車(EV)の普及などに加え、最終エネルギー消費の約30%を占める民生部門(業務・家庭部門)の活動が展開される住宅・建築物の更なる省エネルギー化が不可欠。今年4月に施行された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律(改正建築物省エネ法)」の規制措置が一段と強化される可能性があり、追い風となりそうな関連銘柄に注目したい。

●有識者らによる検討会発足

 国土交通省と経済産業省、環境省は有識者らによる「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」を設置し、4月19日に初会合を開いた。検討会では50年に向けてハード・ソフト両面の政策を議論し、それをもとに3省が施策の立案の方向性を6月にもまとめる予定となっている。

 論点のひとつが、既存ストックに対する省エネ改修の進め方だ。国交省の資料によれば、新築戸建住宅のうち、省エネ基準に適合している住宅は19年時点で80%超となっているが、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス=住宅の高断熱化と高効率設備によって省エネを実現したうえで、 太陽光発電などを導入することで、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロ以下となる住宅)レベルでは約25%。一方、約5000万戸ある住宅ストックのうち、省エネ基準に適合している割合は18年度時点で約11%にとどまり、無断熱の住宅は約30%となっている。

 もうひとつの論点は、住宅・建築物における省エネ性能を確保するための規制的措置のあり方。改正建築物省エネ法により、省エネ基準適合義務化は従来の2000平方メートル以上に加え、新たに300平方メートル以上も対象となったが、300平方メートル未満の小規模建物や住宅は依然として努力義務のまま。検討会では、すべての住宅について基準適合を義務とすることや新築住宅などへの太陽光パネル設置義務化といった省エネ性能向上に向けた対策強化が話し合われる見通しだ。

●ZEHは普及拡大局面に

 政府は30年度の家庭部門からの二酸化炭素(CO2)排出量40%削減(13年度比)を達成するためZEHの普及に注力しているが、19年度の新築注文戸建住宅(約28万戸)に対するZEH供給戸数実績は5万8000戸にとどまっているのが実情。こうしたなか、国交省と経産省は連携事業で、21年度予算額として「戸建住宅ZEH化等支援事業」に65億5000万円を計上している。また、最近の光熱費高騰とコロナ禍における在宅ワークで、家庭での電力使用量が家計を圧迫していることもあり、ZEHへの関心は今後更に高まることが予想される。

 ZEHを手掛けるメーカーでは、積水ハウス <1928> が高い実績を誇っている。同社は賃貸住宅のZEHをシャーメゾンブランドで展開しており、20年度の年間受注戸数は2976戸と、第5次中期経営計画(20~22年)で掲げた年間受注戸数2500戸を前倒しで達成。21年1月時点の累計受注戸数は3806戸で、国内の賃貸ZEH建設棟数の約40%を占めている。

 また、積水化学工業 <4204> の住宅カンパニー、セキスイハイムでは20年度の新築戸建住宅のZEH比率が85%(北海道は57%)となり、前年度から5ポイント伸長。業界に先駆けて大容量の太陽光発電システムを積極的に提案したことなどが功を奏した。21年度はセキスイハイム誕生50周年にあたることから記念プロジェクトの展開が計画されており、同社はZEH比率を90%まで高めたい考えだ。

 このほかにも、住友林業 <1911> や大和ハウス工業 <1925> など各社が展開している。

●断熱材メーカーに注目

 政府が新築住宅を対象に断熱材の導入などで省エネ基準の適合を義務づける制度について検討を始めていることから、発泡断熱材「アクアフォーム」の販売・施工を行う日本アクア <1429> 、断熱などの性能を備えるPC(プレキャストコンクリート)カーテンウォール大手の高橋カーテンウォール工業 <1994> [JQ]、グラスウール断熱材「EARTHWOOL(アースウール)」を販売するチヨダウーテ <5387> [JQ]、断熱パネルなどを扱うジェイ エス ピー <7942> 、屋根から侵入する日射熱をガードする「遮断ルーフGr」を手掛けるニチハ <7943> 、断熱ソリューション事業を展開する高島 <8007> などに注目したい。

 フクビ化学工業 <7871> [東証2]は建設資材を中心とした合成樹脂製造加工の大手で、高性能断熱材「フェノバボード」や省エネ基準対応床下断熱材「フクフォームEco」などを手掛けている。また、直近ではAmazon内に反射防止コーティングパネル「ハーツラスAR」のオンラインストアを開設したことから、新型コロナウイルスの感染防止関連としても要マークだ。

●太陽光、蓄電池にも商機

 住宅の省エネ化では太陽光発電や 蓄電池の導入が欠かせないことから、グループ会社が太陽光モジュールを手掛けるAbalance <3856> [東証2]、太陽光発電システムを販売するフジプレアム <4237> [JQ]、太陽光発電機器の販売・施工を行うサニックス <4651> 、太陽電池の製造装置大手のエヌ・ピー・シー <6255> [東証M]、家庭用蓄電システムを取り扱うエヌエフホールディングス <6864> [JQ]やニチコン <6996> などのビジネス機会拡大が見込まれる。

 これ以外では、北恵 <9872> が太陽光発電システムや蓄電池などの住宅設備機器の拡販に注力しており、4月6日に発表した21年11月期第1四半期(20年11月21日~21年2月20日)の連結営業利益は前年同期比5.6%増の1億9400万円で着地。上半期計画3億3000万円に対する進捗率は58.8%となっている。

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