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【特集】山内俊哉氏【GW目前で上値重い、全体相場の流れは変わるか】(2) <相場観特集>

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

―新型コロナ感染拡大で市場のセンチメントは悪化傾向―

 週明け26日の東京株式市場は日経平均が反発に転じたが3万円大台を前に上値の重い展開は拭えなかった。企業の決算発表が本格化するなか買いポジションを高める動きは期待しにくく、新型コロナウイルスの感染拡大も警戒されている。一方、外国為替市場では1ドル=107円台後半の推移と円高方向にあるのも気になるところだ。ここからの株式市場と為替の見通しについて、それぞれ専門家に意見を聞いた。

●「ドル安継続で106円割れも、FOMCに注目」

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

 今後1ヵ月程度の為替相場は、ドル安・円高の進行をメインシナリオとしてみている。想定レンジは1ドル=105円70~110円00銭前後を予想する。

 バイデン米大統領が、追加経済対策を打ち出した頃から流れは変わり、ドルは調整から下落へと移った。米国と中国、あるいはロシアの関係は悪化している。米国では新型コロナウイルスワクチンの接種は進んでいるが、世界的な感染の拡大は続いており、世界景気などを考慮すればドルは買いづらくなっている。また、米国の長期金利も上がりにくくなっている。米連邦準備理事会(FRB)などが「物価や長期金利が上がっても一時的」、「23年末まで利上げはしない」といった姿勢を強調したことも効いている。

 当面の焦点は今月27~28日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)だろう。基本的には金融政策は現状維持が予想されるが、米短期国債(Tビル)などの金利は低下基調にある。このなか、FRBは資金吸収などのオペレーションに踏み切る可能性もあり、それをテーパリング(量的緩和の縮小)と捉えられる可能性もないとは言えない。その場合、ドル高要因となる。しかし、市場関係者との細かい説明は行われるだろう。むしろ、結局はFOMCで大きな金融政策の変更がないことから、ズルズルとドル安が進む可能性の方が高いと思う。

 日銀も26日から27日にかけ金融政策決定会合を開くが、今回は現状維持だろう。

 ユーロは対ドルで相対的に強含む展開を見込んでいる。予想レンジは1ユーロ=1.1890~1.2240ドルをみている。対円では1ユーロ=128円10~132円30銭で、トレンドはユーロ高・円安だろう。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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