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【特集】迫る新型コロナ「第4波」の脅威、東京市場は2万9000円の攻防に <株探トップ特集>

新型コロナ感染拡大を受け、大阪府や東京都への「緊急事態宣言」発令が現実味を帯びてきた。これを受け株式市場は下落したが、一部投資家には底打ちの機会を探る動きがある。(写真は昨年4月の緊急事態宣言で臨時休業を伝える店舗)

―大阪・東京は緊急事態宣言を要請の方向、オリンピックの行方が焦点に急浮上も―

 東京市場が新型コロナウイルス感染「第4波」への警戒感を強めている。新型コロナ感染拡大に歯止めがかからないなか、大阪府は緊急事態宣言を国に要請すると決定。東京都も週内にも要請する方向で検討しているという。こうしたなか20日の東京市場で日経平均株価は大幅安となり一時2万9000円ライン割れ目前まで売られた。緊急事態宣言が発令されれば、個別企業の業績悪化要因となり、株価の下落に結び付く懸念が強まる。新型コロナに揺れる東京市場の行方を探った。

●ワクチン接種率の低さが海外市場に劣後の要因

 20日の日経平均株価は前日比584円安の2万9100円で取引を終えた。一時は600円を超える下落となり、2万9000円割れを意識する水準にまで売られた。市場関係者は、日経平均3万円回復を期待していたが、現実は逆方向に突っ込んだ格好だ。マーケットが警戒するのは、変異種の影響も懸念される新型コロナ「第4波」の感染拡大だ。この日は、大阪府が緊急事態宣言を国に要請することを決定した。また、東京都も3度目となる緊急事態宣言の発令を要請する方向で検討している、と伝わった。

 市場関係者からは「足もとで東京市場は、ニューヨークなど海外市場にパフォーマンス面で明らかに劣後している。これは、新型コロナワクチンの接種率の差がもたらしているともいえる。ワクチン接種が進まないと、新型コロナ感染が拡大し、結果として経済にも悪影響が出てしまう」(アナリスト)との見方が出ている。

●緊急事態宣言の発令なら企業決算に悪影響も

 今週からは決算発表が本格化するが、緊急事態宣言が発令された場合、22年3月期業績予想を下振れさせる要因となる。この点が、相場の上値を抑えることにつながりかねない。目先では22日に予定されている日本電産 <6594> の決算に対する市場の反応が注目されているものの、内藤証券の田部井美彦リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジストは「緊急事態宣言が出れば、特に小売りや外食などを中心にマイナスの影響が出てくることが予想される」と警戒する。

 また同氏は、「昨年4月も緊急事態宣言の発令が相場のポイントとなり底打ちから反発に転じた。今回も似た結果となる可能性がある」と今後の展開を予想する。その場合、大阪府に続き同宣言の発令を要請する方向とみられる東京都の動向が焦点となる。

 しかし、今回は飲食店への休業要請などより厳しい措置を取ることも可能だ。その意味で「どこまで踏み込んだ措置が取られることになるかを確かめる必要がある」(田部井氏)という。より厳しい措置が取られた場合、緊急事態宣言の発令後にもう一度売り直されることも起こり得るかもしれない。

●巣ごもりや非対面ネット銘柄には強弱感

 大幅安となったこの日の日経平均株価だが、今後の下値のメドはどこか。終値では75日移動平均線(2万9104円)前後で止まっただけに、この水準で踏みとどまることができるか、どうかだ。続くのは心理的抵抗線の2万9000円、更にその下の水準である3月24日の終値2万8405円となる。このため、下げ基調が強まれば、2万8500円前後を意識する展開も予想される。

 個別銘柄の物色について、いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は「しばらくはジャスダックやマザーズのような中小型株の一部の銘柄が買われるような、個別株物色が続く可能性もある」という。足もとでは、昨年人気となった神戸物産 <3038> やエムスリー <2413> 、BASE <4477> [東証M]のような、巣ごもり銘柄や非対面のネット関連銘柄が底堅い値動きとなっているが、「月次の売上高などは昨年4月の水準が高く、再び買っても上値は限定的では」(市場関係者)との声もある。前出の田部井氏は「米国や中国の外需は堅調とみられ、結局は半導体を含むハイテク株が買われるだろう」とみる。安川電機 <6506> や日電産のような銘柄が中長期では上昇するという。

●東京五輪はどうなるかが最大のポイントに

 更に、全体相場をみるうえで気になるのは東京オリンピックの行方だ。昨春は東京五輪の1年延期が決まった後に、緊急事態宣言が発令されたが、今回は、五輪がどうなるかは、より切迫した課題となっている。ある市場関係者は「相場が本当の底を打つのは、東京五輪の中止が発表された時ではないか」という。「少なからぬ投資家は五輪の開催は難しいとみている。問題は発表の時期だ。ゴールデンウイークの前あるいはその後が大きなポイントとなると思う」と予想している。そんななか、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日が5月17~18日で調整されているとも伝わっている。今後は東京五輪の行方が相場全体を左右することも予想される。

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