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【材料】TKP---コロナ影響は底を打ち22年2月期は増収・営業黒字回復へ、『第2創業期』として収益基盤を拡大

TKP <日足> 「株探」多機能チャートより

ティーケーピー<3479>は14日、2021年2月期連結決算を発表した。売上高が前期比20.6%減の431.38億円、EBITDAが同69.7%減の30.73億円、営業損失が24.97億円(前期は63.17億円の利益)、経常損失が23.21億円(同47.52億円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が35.03億円(同17.39億円の利益)で着地。経営方針として掲げた、1)十分な運転資金の確保・固定費の圧縮、2)事業の『選択と集中』、3)需要の変化への対応等において成果を獲得したものの、通年で新型コロナの影響を受け、創業以来初の減収および営業赤字となった。

TKP本体の売上高は前期比40.0%減の247.21億円、営業損失は22.26億円(前期は57.93億円の利益)。2021年2月末時点で251施設を運営している貸会議室・宴会場の需要は第2四半期以降、緩やかな回復基調を見せたものの、新型コロナ第3波や緊急事態宣言再発令の影響を受け、特に宿泊・料飲サービスの需要が大きく減少した。一方で試験会場としての需要が拡大した他、コロナ禍で臨時オフィスとしての利用増加により、「期間貸し(2日以上の利用)」が「時間貸し」の割合を逆転し5割超となった。
2022年2月期においては、既存の貸会議室を転換し、貸オフィス「Work X Office(ワークエックスオフィス)」として2021年3月から販売を開始。物件の仕入れコストゼロで、すでに5億円以上の受注額となっており、今後の収益向上に寄与する見込みという。新規出店については市況に応じて適切な判断を行いつつ、既存スペースの有効活用(転換・復元が可能なフレキシブルな対応)を強みに更なる成長を描いていくとしている。

日本リージャス社の売上高は172.98億円、営業利益は1.60億円と黒字を確保した。レンタルオフィス事業は、コロナ禍においても需要が増加していることから新規出店を継続しており、2021年2月末時点で162施設を運営している。今後の出店方針としては、これまでの新築・築浅ビルに加え、優良中古ビルの仕入れも行い、また、他社施設を仕入れ・リブランドを行うことで、損益分岐点を下げ、収益性を高めていくとしている。

台湾リージャス社の売上高は11.18億円、営業損失は4.31億円となった。子会社後の初出店を第4四半期に実施し、2021年2月末時点でレンタルオフィスを14施設運営している。台湾において新型コロナの感染拡大は比較的軽微であり稼働率が維持されたものの、営業損失となった要因は買収に係るのれん償却費及び顧客関連資産等の無形資産償却費の計上等による。なお、コロナ禍における海外展開は凍結しており、新規出店は抑制の方向性となっている。

今後のグループ戦略としては、今期2022年2月期を『第2創業期』と位置づけ、TKP・リージャスに加え、アパホテル (FC)を3本目の柱として成長させることにより、収益基盤を拡大していく方針。コロナ禍で需要が拡大しているフレキシブルオフィス事業に加え、コロナの落ち着きと共に需要の回復(高い利益率への回復)が予想されるビジネスホテル分野にも注力するという。

コロナ禍で様々な企業がフレキシブルオフィス市場に参入しているが、弊社では、同社グループは拠点数・面積・グローバルネットワークにおいての先発優位性があると見ている。また、施設規模・グレードに関してもフルラインナップ体制のため幅広い需要の網羅が可能。今後は、既存スペースの有効活用に加え、不動産相場が下落したタイミングに好条件で物件を賃借契約していく『逆張り仕入れ戦略』、他社施設を好条件でM&A・リブランドする戦略も新たに掲げ、更なるシェア拡大・収益性の向上を目指すとしている。
首都圏の住宅から都心部へのハブとなる駅・エリア、全国の主要都市を中心に出店するドミナント戦略を軸に、出店コストをかけない他社とのアライアンスによるスペース拡張についても引き続き検討していくという。

2022年2月期通期の連結業績予想は、売上高で前期比11.3%増の480.00億円、EBITDAで同88.7%増の58.00億円、営業利益で7.00億円、経常利益で1.00億円を見込んでいる。親会社株主に帰属する当期純利益は未定(子会社の再編を検討しており税金費用に与える影響の合理的な算定を行った後に公表予定)とした。
なお、当面の運転資金および新規物件の仕入れ資金として、総額500億円超の資金(手許現預金・新株予約権による資金調達・借入可能額の合計)を確保しており、弊社ではコロナ禍が長期化した場合においても柔軟な経営判断が可能な状態にあると見ている。

弊社では、TKPグループの持たざる経営、不動産の小口販売というビジネスモデルは2017年の上場以降、市場から好評価を受けてきたと見ている。新型コロナによって前期はいったん逆風が吹いたわけだが、『第2創業期』としている今期2022年2月期は、慎重かつ大胆にアクセルを踏む構え。弊社では、コロナ影響は底を打ち、フレキシブルな経営判断を武器に新たな成長シナリオを歩んでいく同社の今後に注目していく。

《ST》

 提供:フィスコ

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