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【特集】米決算シーズンに本格突入、「セル・イン・メイ」は避けられるか <株探トップ特集>

米国は決算発表シーズンを迎える。前年の落ち込みもあり増益基調を強める見通しだが、市場では4~6月以降のガイダンスに注目している。特に半導体やIT企業への関心が高い。

―NYダウは最高値圏を邁進、経済再開でBEACH関連銘柄に注目も―

 世界の株式マーケットの牽引役である米国市場は順調な上昇基調にある。NYダウは最高値を更新し、ナスダックも2月高値に迫っている。バイデン政権の大規模な経済対策や新型コロナウイルスワクチンの接種拡大が株価の押し上げ要因に働く。ただ、米長期金利の上昇に加え新型コロナの変異種への懸念もくすぶる。今週から決算発表シーズンに入るが、米国では翌5月は要警戒の月となる。米株式市場の春相場の行方を探った。

●リオープニング期待でNYダウ最高値に上昇

 週明け12日のNYダウは4日ぶりに反落したものの、先週末9日には終値で3万3800ドルと最高値を更新。ナスダック指数も2月に1万4095の最高値をつけた後はいったん調整に入ったが、足もとでは反騰色を鮮明にして再び最高値を視野に入れる状況にある。春先にかけ、米株式市場が波乱状態となったのは、米10年債利回りが上昇したことを受け、ハイテク株に利益確定売りが膨らんだことが大きい。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はハト派姿勢を堅持したこともあり、市場には安心感が台頭。米株式市場が落ち着きを取り戻すとともに、最高値圏に浮上している。

 更に、米国市場が堅調に推移する要因として、第一には新型コロナワクチンの接種拡大に伴う経済活動再開(リオープニング)への期待が膨らんだこと、第二には米バイデン政権による積極的な経済対策で景気回復が見込めること――などが挙げられる。

●銀行、エネルギー、航空など「BEACH銘柄」に関心

 なかでも、新型コロナワクチンが株式市場にもたらした影響は大きく、「リオープニング・トレード」とも呼ばれる経済活動再開に関連した取引が活発化した。この経済再開に絡みその恩恵を享受する関連銘柄を「BEACH(ビーチ)銘柄」と呼ぶ見方も市場には出ている。Bank(銀行)、Energy(エネルギー)、Airline(航空)、Casino/Cruising(カジノ・クルージング)、Hotel(ホテル)の頭文字を取ったもので、銀行ならJPモルガン・チェース、航空ならデルタ・エアライン、カジノならラスベガス・サンズといった具合だ。ただ、3月にかけリオープニングに絡むBEACH関連などの景気敏感株が盛り上がったのに対して、足もとではIT関連などグロース株を見直す動きも強まっている。

 フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は「米国でも新型コロナの変異種感染拡大への懸念はある。もし変異種による感染が広がるようなら、再びIT関連株が物色される地合いになるだろう」とみている。

●JPモルガン・チェースやTSMCの決算など注目

 また、4月も中盤に差し掛かると「セル・イン・メイ(5月に売れ)」の格言が気になる時期に入る。特に、注目されるのはFRBの金融政策などを背景にした米長期金利の行方だ。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは、来月初旬に発表される米雇用統計は強い結果が予想されることなどから、「5月にかけ市場にはテーパリング(量的緩和縮小)観測が再び台頭する可能性も」とみる。前出の笹木氏は「基本的に上昇基調は続くとみているが、買い疲れもあり年央はいったん調整局面となることもあり得る。ただ、米経済は好調であり深押しはないだろう」と予想している。

 そんななか、今後の相場を左右するのが、今週から本格化する米国の1~3月期決算発表だ。例年通り金融企業の決算からスタートし14日にJPモルガン・チェース、15日にバンク・オブ・アメリカ、16日にモルガン・スタンレーが決算発表を予定している。また、ハイテク企業では15日に半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)、21日にオランダの半導体製造装置大手ASMLが決算を行う。その内容は半導体関連株などに大きな影響を与えそうだ。

●米国での「気候変動サミット」開催で環境関連に見直しも

 更に電気自動車大手、テスラは26日、米IT大手ではアルファベット(グーグル)は27日、アップルとフェイスブックはともに28日に決算を発表する。米主要500社の1~3月期決算は前年同期比20%強の増益との予想が出ている。その実績の数字はもとより市場では4~6月期以降のガイダンスが注視されている。加えて米国は22~23日に「気候変動サミット」の開催を予定している。これを機に市場では環境関連株が見直される可能性もある。


■米主要企業の決算スケジュール

4月14日 JPモルガン・チェース
  15日 バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、TSMC
  16日 モルガン・スタンレー
  19日 コカ・コーラ、IBM
  20日 ネットフリックス、プロクター&ギャンブル
  21日 ASML、ラム・リサーチ
  22日 インテル、バイオジェン
  23日 アメリカン・エキスプレス
  26日 テスラ
  27日 アルファベット(グーグル)、テキサスインスツルメンツ
  28日 アップル、フェイスブック、ボーイング
  29日 ツイッター、メルク
  30日 エクソン・モービル
(注)予定は変更されることがあります。


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