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【特集】植木靖男氏【日経平均3万円の壁、気迷いムードの相場を占う】(1) <相場観特集>

植木靖男氏(株式評論家)

―世界株高の流れに乗り切れない相場、ここからの展望―

 週明け12日の東京株式市場は日経平均株価が朝方高く始まったものの、すぐに値を消す展開となり、アジア株市場や米株先物の動きを横にらみに下値を探る展開となった。3万円台近辺では戻り売り圧力の強さが確認され、2万9000円台後半で買いポジションを高めることに投資家サイドとしても気迷いムードが漂う。欧米株高の流れに乗り切れない今の相場をどうみるか。先読みに定評のある市場関係者2人に今後の相場展望を聞いた。

●「ボックス圏で煮詰まり、変動の予兆」

植木靖男氏(株式評論家)

 株式市場は足もと方向感が見えにくい状況にある。海外では米国株が見ての通りの強調展開でNYダウが最高値圏を舞うほか、欧州株市場もこれに負けず独DAXが史上最高値を更新するなど力強い動きを続けている。新型コロナウイルスの経済への影響は拭えないものの、ワクチン普及に対する期待感がアフターコロナを見込んだ買いを引き寄せている。これに対し東京市場は、国内のワクチン普及の遅れに加え、政府がコロナ封じ込めに中途半端な政策スタンスを取っていることで、海外投資家などに嫌気されている印象もある。

 日経平均が3万円大台に定着せず再び2万9000円台に押し戻されているのは、海外投資家の売り崩し的な動きがあったと思われる。これは「日本株売り」というレベルではなく心配するほどではないと考えているが、注意は必要かもしれない。チャート的に高値を形成した2月16日以降3万円トビ台を上限とするボックス圏往来が続いており、目先三角もち合いに煮詰まり感が生じていることで、変動の予兆を感じる。全体指数がそろそろ上下どちらかに放れる展開を想定しておきたい。

 日経平均の昨年3月からの長期上昇トレンドが壊れていないことを前提に考えれば、下値は2万9000円台前半でとどまる公算が大きく、早晩3万円台復帰が見込まれよう。更に2月16日の年初来高値3万467円(終値)を上抜くことができれば、3万2000円前後までの上昇余地が生まれるとみている。物色対象は半導体周辺株がやはり主軸だろう。SUMCO <3436> やキヤノン <7751> の押し目は強気に対処して報われそうだ。また、米国の旺盛な住宅需要を背景に建築向け電動工具を手掛けるマキタ <6586> や、米国でも実績が高い住宅大手の住友林業 <1911> などに注目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌更に講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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