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【特集】藤代宏一氏【日経平均3万円の壁、気迷いムードの相場を占う】(2) <相場観特集>

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

―世界株高の流れに乗り切れない相場、ここからの展望―

 週明け12日の東京株式市場は日経平均株価が朝方高く始まったものの、すぐに値を消す展開となり、アジア株市場や米株先物の動きを横にらみに下値を探る展開となった。3万円台近辺では戻り売り圧力の強さが確認され、2万9000円台後半で買いポジションを高めることに投資家サイドとしても気迷いムードが漂う。欧米株高の流れに乗り切れない今の相場をどうみるか。先読みに定評のある市場関係者2人に今後の相場展望を聞いた。

●「5月にかけ再びテーパリング意識も」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

 市場関係者が、いま一番警戒しているのは米連邦準備理事会(FRB)による「テーパリング(量的緩和縮小)」の懸念が浮上することだろう。3月に米長期金利が上昇したが、米連邦準備理事会(FRB)の慎重な姿勢もありテーパリング観測はいったん引っ込んだ。ただ、5月初旬に公表される米4月雇用統計は相当強い結果が出ることも予想される。場合によっては、同雇用統計の予想が出そろう4月下旬時点でテーパリング観測が少しずつ高まることもあり得ると思う。

 また、4月下旬に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)ではパウエルFRB議長が、かなりマイルドな表現でテーパリングを示唆するかもしれない。実際は、示唆を示唆するというところだろうが、5月に公表される同FOMCの議事録で、テーパリングを意識させるような何人かのメンバーの発言が明らかになるようなこともあり得るだろう。

 一方で、日本も米国も製造業を中心にファンメンタルズは良好だ。米国のISM製造業景況感指数は60を超えている。過去の例では、ピークアウトが警戒されるレベルだが、今回は生産にまだ増加の余地があり、同指数は高止まりすることも予想される。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは2万9000~3万500円前後を見込む。ファンダメンタルズの良好さとテーパリング懸念の綱引きで3万円を前後する一進一退が続きそうだ。物色対象で「グロース」と「バリュー」のどちらが有望かとなると、足もとは「金利上昇局面の入り口」とみているだけに、長い目でみればバリュー株が優勢の展開を見込んでいる。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

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