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【市況】明日の株式相場に向けて=“確変モード”の急騰株候補を探す

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 週明け12日の東京株式市場は、前週末の米株高の流れを引き継ぐことができず、日経平均株価が229円安の2万9538円と反落した。米国ではNYダウが最高値を更新したほか、ナスダック総合指数も、長期金利上昇局面でハイテク系グロース相場終了との思惑を覆す戻り足で最高値更新まであと200ポイント弱に迫っている。

 それに比べると日経平均の動きははっきりしない。新型コロナワクチンの普及率があまりにも低いことが外国人の日本株買いを躊躇させているという見方のほか、市場では「アジア地域の地政学リスクも意識され始めている」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘がある。きょうは上海株や香港株の動きも弱かったが、米中摩擦先鋭化が人権問題を絡め、きな臭さを伴うレベルまで高まったとみる向きも少なくないようだ。トランプ前大統領は対中強硬路線を前面に押し出したが、基本的に平和主義者であった。しかし、ディープステートは何があっても覇権を中国に奪われることだけは阻止したいという意向で、それを前提にバイデン政権が誕生したという説もまことしやかに伝わる。

 有事と言っても今の時代はお互いグローブをつけて殴り合うレベルにとどまるはずだが、きょうあたりは石川製作所<6208>、細谷火工<4274>、豊和工業<6203>などが何気に動意づいているのも、そうした思惑が底流している。

 これから企業の決算発表が本格化するが、昨年とは異なり新型コロナの存在が免罪符となる時期を通過したことも市場のセンチメントを微妙に変えている。何といっても安川電機<6506>が21年2月期の営業2ケタ増益に続き、22年2月期も55%増益という強い見通しを示したにも関わらず、一時500円安に売られるという現実をみせられては、買い気が削がれるのも致し方ない。コンセンサス未達とはいえ、この業績予想で売り叩かれるのであれば、総論として決算前に買いポジションを高めるという選択肢は取りにくい。

 個別では、全体指数の値運びに左右される形で、中小型株についても動意後に上ヒゲをつける銘柄が多かった。しかし、売り物がこなれた状態で動意した銘柄は、仮に長い上ヒゲをつけたとしても単発では終わらない。いわば“確変モード”のスイッチが入った形で波状的に資金が流れ込みやすくなり、うまく歯車がかみ合えば上昇トレンド形成に結びつく。

 例えば、超小型株ながら土壌調査などで強みをもつ環境総合コンサルタントの環境管理センター<4657>などは目を配っておく価値がある。19年4月中旬から5月にかけての急騰劇は圧巻で、短期間で300円ソコソコの株価を1300円台まで変貌させた経緯がある。連日の長い上ヒゲだが、直近2年の週足で見ると全く違った風景が見えてくる。また、助川電気工業<7711>は1月にストップ高を連発し、瞬間風速で4ケタ大台乗せを果たしたものの、その後に反落。これまで700円近辺を軸とするもみ合いを続けてきたが、きょうは満を持して急動意した。全体地合い悪もあって戻り売りを浴び上ヒゲを形成したが、700円台後半で売り物をこなす足腰の強さは今後に余韻を残す。熱制御分野に特化した研究開発型メーカーだが、半導体関連分野の受注拡大が会社側想定を上回っている。

 ソフト系統の銘柄にも業績面で刮目に値する銘柄は少なくない。アイティメディア<2148>が2000円近辺で動意気配。ネット上でBtoBの「見込み顧客」を発掘して企業の営業活動を支援するリードジェン事業が絶好調に推移し、21年3月期は営業7割増益が見込まれる。株価は1月下旬と2月初旬に戻り高値を形成、2400円台でダブルトップをつける形だが、売り物もこなれ再騰の機をうかがう。チャートの強さで言えばアートスパークホールディングス<3663>が、4月5日につけた戻り高値2282円を上回り上値指向の強さを暗示している。AI・IoT分野を深耕し、画像や動画処理分野での業容拡大が期待される。「株式需給面では貸株調達によるカラ売り買い戻しなどに思惑がある」(中堅証券ストラテジスト)という声もある。このほかAI周辺株では高値圏で売り物を吸収しているメンバーズ<2130>の目先の押し目や、上場来高値奪回が視野に入ってきた日鉄ソリューションズ<2327>などがマークされる。

 あすのスケジュールでは、3月のマネーストックが朝方取引開始前に発表される。また、IPOが1社予定されており、東証1部に紀文食品<2933>が新規上場する。海外では3月の中国貿易収支、4月の独ZEW景況感指数、3月の米消費者物価指数など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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