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【特集】注目の米IPO登場も追い風、人気復活「フィンテック」で高騰期待の6銘柄 <株探トップ特集>

ビットコイン急騰でフィンテック関連株が再び注目されている。デジタル決済、オンライン資産運用など新市場の開拓でフィンテック市場は「爆発的」に拡大することが見込まれている。

―21年は「当たり年」の声、ビットコイン急騰やデジタル決済で見直し機運浮上―

  フィンテック関連株の人気に復活機運が膨らんでいる。市場の関心を一気に高めたのが、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格急騰だ。ビットコイン価格は、昨年秋から急伸し史上最高値を更新した。また、民間企業などが発行するデジタル通貨を巡る動きも活発化し、オンライン決済などに絡むフィンテック企業に注目が集まっている。加えて、米国では注目の大手フィンテック企業が新規株式公開(IPO)する見通しだ。今年はフィンテックの「当たり年」になるとの期待が膨らんでいる。

●デジタル決済、オンライン資産運用などの市場は急成長

 足もとでフィンテック関連株が堅調な値動きとなっている。昨年12月に鳴り物入りで上場したウェルスナビ <7342> [東証M]は上場来高値圏にある。スモールビジネス向けクラウド型会計ソフトを展開するフリー <4478> [東証M]も、2月に上場来高値をつけた後の調整から戻りを探っている。

 この背景には、新型コロナウイルスの感染拡大によって、フィンテックに関わる中心テーマである暗号資産のほか、デジタル決済、オンライン上での資産運用、資金調達などの市場が大きく成長した経緯がある。クラウドやブロックチェーンを活用した技術が普及することによってシステム構築コストが劇的に低下し金融サービス提供の参入障壁を下げ、「フィンテック」を武器に異業種から金融事業への参入が続々と現れるなど市場が活況だ。

●米国でコインベースやロビンフッドなどIPOも

 2017~18年にかけての仮想通貨ブーム時に大きな人気を集めたフィンテック関連株だが、その後は調整局面が続いた。人気の火付け役となったビットコイン価格が低迷したことが大きな要因だ。しかし、足もとでは1ビットコイン=630万円近辺と17年12月高値の230万円台を大きく上回る最高値圏で推移している。

 更に、今年は米国でフィンテックの注目IPOが登場する見込みだ。米暗号資産交換業大手のコインベース・グローバルは14日にもナスダックに上場する予定。フィンテック業界のユニコーンと呼ばれる同社の上場は話題を集めそうだ。日本では連想でマネックスグループ <8698> などが再び注目される可能性がある。また、スマートフォン証券を傘下に持つ米ロビンフッド・マーケッツも年内のIPOの可能性が出ている。

●給与デジタル払いで新市場の誕生に期待

 日本では「給与のデジタル払い」の実現可能に向けた議論も活発化している。これが実現すれば、給与をそのままキャッシュレス決済サービスで使えることになり、外国人労働者の報酬受け取りや、不定期な給与支払いを受けるギグワーカーなどの資金ニーズにも柔軟に応えることができる。今後、金融サービス産業の成長を担うものとしてフィンテック市場は「爆発的」に拡大することが見込まれるだけに、ますます関連株から目が離せない。以下、注目の6銘柄を取り上げた。

◎マネフォ~クラウド会計や家計簿アプリで高評価

 マネーフォワード <3994> [東証M]は、スマートフォン向け家計簿アプリや法人向けクラウド会計ソフトなどを手掛ける。クラウド会計ソフトは、導入コストが低いうえ、効率面やコスト面で20年10月に改正電子帳簿保存法が施行されたことも追い風となっており、グループ全体の課金顧客数は42万に達している。

◎メタップス~給与デジタル払いで活躍も

 フィンテックを語るうえでは「決済サービス」は切り離せないが、メタップス <6172> [東証M]は、給与即時払いサービス「CRIA(クリア)」や会員制ビジネスに必要な機能をワンシステムで提供する「会費ペイ」など幅広く展開。デジタル給与が解禁されれば、同社への業績面での恩恵が期待できる。

◎SBI~「第4のメガバンク構想」を掲げる

 SBIホールディングス <8473> は、日本の金融機関としてフィンテックにいち早く着目して成長を共にしてきた経緯から、フィンテック関連銘柄の中核的な存在として挙げられる。銀行としてのインフラを銀行以外の事業者に提供するBaaS(Banking as a Service)事業を進めており、国内外のフィンテックを活用することにより、地域金融機関と「第4のメガバンク構想」の実現を目指すとしている。

◎フリー~確定申告の電子化が追い風に

 フリーは、個人事業主を含む中小事業者向けのクラウド型会計サービスの専業企業で、確定申告の電子化シフトが進むなど同社の事業環境には追い風が吹く。収益構造が完全な課金型のため収益は累積的に拡大している。株価は2月の上場来高値1万2910円をピークに調整が続くが、先行き高値更新からの一段高が狙える。

◎ウェルスナビ~預かり資産急拡大で注目

 ウェルスナビは、資産運用を全自動化したロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を運営。誰でも世界水準の資産運用ができるというビジョンを掲げる。20年10月に3000億円だった預かり資産は、21年3月時点で4000億円を突破。今後は住宅ローンや株取引、生命保険などのニーズも取り込み、個人金融サービスのプラットフォームを目指す。

◎セレス~ポイントサービスの運営を手掛ける

 セレス <3696> は国内最大級のポイントサイト「moppy(モッピー)」を運営するほか、関連会社に暗号資産取引所大手「ビットバンク」を擁する。また、ビットコインを使って海外の携帯電話用SIMに入金可能なサービス「Sobit(ソビット)」も手掛けている。21年12月期の連結業績は、営業利益20億円(前期比33.6%増)と大幅な増益を見込むほか、年間配当も同12円増の30円を計画している。

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