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【特集】CACHD Research Memo(4):国内IT事業、海外IT事業、CRO事業を展開


■事業内容

CAC Holdings<4725>は時代のニーズに応じて事業ポートフォリオを変化させるなかで、報告セグメントを従来の「システム構築サービス事業」「システム運用管理サービス事業」「BPO/BTOサービス事業」から改め、2018年12月期以降は「国内IT事業」「海外IT事業」「CRO事業」としている。2014年12月期以降のM&A戦略もあって、海外IT事業の売上高が全社売上の20%程度を占めるに至ったことが報告セグメント見直しの直接的な理由である。

また、2019年12月期には意思決定を迅速化し機動的な事業遂行を実現するため、既存事業を4つに区分(コアICT領域・中国領域・インド領域・ヘルスケア領域)し、新規事業1つ(未来領域)を加えた合計5つの事業ドメインを設置している。


プライム契約比率90%を誇る国内IT事業
1. 国内IT事業
国内IT事業は、全社売上の66%(2020年12月期)を占める同社の主力事業であり、国内子会社を通じてシステム構築サービス・システム運用管理サービス・人事BPOサービスなどを展開している。

同社は独立系SIerの中立な立場で、プライムコントラクタとしてユーザ・ニーズを的確かつ直接くみ取り、顧客に最適なサービスを提供することにこだわってきた。実際、国内IT事業の中核を担うシーエーシーは、350社程度の顧客数を抱えるなかでプライム契約比率は約90%の水準をキープしており、受注時粗利率は25%程度を確保しているもようである。

(1) 銀行・信託向けに強みを有するシステム構築サービス
システム構築サービスは、情報システムの企画から設計・開発・テスト・導入・保守まで、企業情報システムの構築をトータルに実施するものである。売上高上位の顧客には、複数の金融機関や大手信託銀行が名を連ねている。半世紀超にわたりプライムコントラクタとして専門性の高い業務知識と経験を培ってきた結果、メガバンク向けの市場系や海外系システム、信託銀行向けの年金関連システムに強みを有している。

(2) クラウド対応を進めるシステム運用管理サービス
システム運用管理サービスは、1971年のアウトソーシング・サービス専門会社(SSK)への出資を起源としている。現在は運用プロセス管理・業務運用・ユーザー支援・クライアント機器管理・アプリケーション運用・インフラ運用など、システムの運用に必要な機能をトータルに提供している。そのなかで、大手製薬企業への総合的サービス提供を通じて蓄積した運用ノウハウやM&Aにより様々な業種(製造業や商社、水産・食品)のニーズをダイレクトに取り込んだことが強みとなっている。

また、AWS(Amazon Web Services)でのシステムインテグレーションやアプリケーション開発などに注力し、その実績が非常に豊富であるとして「APNアドバンストコンサルティングパートナー」に認定されるなど、2012年からクラウド対応についても急ピッチで強化してきた。現在は大手金融機関や製薬企業など30社以上をサポートしている。なお、クラウド化の加速についてはITベンダーにとって既存ビジネスの縮小につながる面も持つが、同社はそのマイナス影響は小さいとしている。

(3) 人事BPOサービス
人事BPOサービスは、ITを活用して人事業務などのビジネスプロセスを企業の担当者に代わって遂行するものである。一般的な給与計算などにとどまらず、人事制度の運用や労務管理、福利厚生管理、そのほか人事業務全般で業務受託を行っている。2019年7月には長崎市に「長崎BPOセンター」を開設しており、事業拡大を図っている。人事業務全般に限らず総務・経理業務なども視野に入れ、バックオフィス業務の包括的な受託を目指している。

なお、この長崎拠点では2020年4月から医薬系ITサービスの提供を、2020年9月からは金融機関向けシステム開発サービスの提供を開始しており、単なるBPOセンターを超えた国内IT事業の重要なニアショア拠点へと発展しはじめている。

(4) デジタルトランスフォーメーションへの取り組み
同社は、急速に進化するICT技術が社会全般を変革するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)について、既存SIerにとってチャンスでもありピンチでもあると認識している。DXは、新たな事業を創出するだけでなく既存ビジネスのデザインをも変革していく。つまり、仮想世界と物理的世界が融合された新世界で、ヒト・モノ・カネ・ビジネスが相互作用をもたらすことに対応したデジタルビジネスへの移行が求められることになる。

同社は顧客のDX推進を支援するため、既にAIやブロックチェーン、IoTといった最新のICT技術を活用したサービスメニューを用意している。具体的な一例として「人を察し、人を活かし、人を健やかにするIT活用、HCTech(Human Centered Technology)」をコンセプトとする領域への注力が挙げられる。HCTechは、AIを活用した画像解析技術をベースとしており、膨大な時間と専門知識を必要とする人や物の画像や生体データの分析・識別をAIが行うことで様々な産業・分野で活用しようとするものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

《EY》

 提供:フィスコ

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