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【特集】感染を阻止せよ、ニーズ拡大「職場のウイルス対策」で脚光浴びる関連株 <株探トップ特集>

待望の新型コロナワクチンの接種開始が近づくが、いまだ収束への道程は見通せない。経済活動再開の本格化に向けて、職場の抗ウイルス化、抗菌化へのニーズは更に高まりそうだ。

―ワクチン接種へ、ここから始まる経済復活ロードに活躍のステージ―

 オフィスをはじめとする職場の抗ウイルス化、 抗菌化に注目が集まっている。今年に入り、新型コロナウイルス感染対策として緊急事態宣言が再び発令されたが、こうしたなかにおいても業務のために職場へと向かう人の数は依然として多い。政府は、テレワークを推奨し出勤者7割減という目標を掲げたものの、実際に出勤し業務に当たらなければならない業種も多い。早ければ17日にも待望の新型コロナワクチン接種が開始される見通しだが、これもまた全国民に接種が完了するまでは時間を要しそうだ。加えて、少なくとも今後しばらくは感染対策が強く求められることになり、社員の安全・安心を守るべく職場の抗ウイルス化、抗菌化サービスへのニーズが高まっている。関連株の動向を追った。

●安全・安心へのニーズ

 厚生労働省は14日、ファイザー社製の 新型コロナワクチンについて正式に承認した。新型コロナワクチンの承認は国内初となる。まずは医療従事者から接種が始まるが、その後に高齢者、基礎疾患のある人や高齢者施設の従事者の順で接種を進めていく。厚労省によると、高齢者への接種開始は早くても4月1日以降になる見込みで、これを考えるとそれ以外の人への接種はまだまだ先のことになりそうだ。

 ここにきては飲食店などの営業時間短縮などの効果もあり、新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあるものの、医療現場ひっ迫を懸念する状況に変わりはない。ただ、停滞する経済活動を目の当たりにして3月7日とする緊急事態宣言の解除への期待が高いのも事実だ。とはいえ、解除以降も職場におけるクラスター発生の危険性は高く、社員の安全を守ることに加え、事業環境への不安も大きいといえる。

 こうしたなか関心が高まっているのが、オフィスや商業施設など職場の抗ウイルス化だ。新型コロナ感染の収束がいまだ不透明な状況下、社員のみならず顧客の安全・安心を確保することは、いまや経営者の重要な責務ともいえそうだ。

●イオンディライト、オフィス向け提案強化

 施設管理大手のイオンディライト <9787> は、商業施設を対象に提供している防疫対策を組み入れた清掃サービス「ニュースタンダードクリーニング」について、昨年12月にオフィス向けの提案を強化すると発表。23年度までにオフィス向けサービスの売り上げを19年度比で1.5倍に拡大させることを目指す。商業施設に比べ、オフィスでは一般的に限られたスペースの中で長時間過ごす上、設置される什器・備品が多く、それらを複数の人々が繰り返し触れることで、感染が広がりやすいという。同社では「ニーズは増加している。安全・安心の基準も高くなり、防疫が生活の一部となるなか、清掃新基準ニュースタンダードクリーニングが、地域の安全・安心に貢献できるものと考えている」(広報)と話す。同サービスは、医療施設で提供してきた独自の衛生清掃のノウハウを生かした清掃手法で、1100人を超える防疫対策清掃の専門家を育成するまでに拡大(昨年12月時点)している。株価は、昨年12月につけた2497円を底に切り返しており、現在は5日移動平均線を足場に3100円近辺で上値を慕う状況にある。

●ダスキンは「室内抗菌加工サービス」

 ダスキン <4665> は、昨年12月から介護・教育施設や飲食店などの事業所、衛生意識の高い一般家庭に向けて、室内の手が触れる箇所に抗菌加工を行うサービス「室内抗菌加工サービス」の提供を開始。同サービスは、ドアノブ・手すり・取っ手・テーブルなど頻繁に手の触れる箇所を中心に抗菌効果のある薬剤を塗布することで、コーティング被膜を形成し抗菌効果を発揮する。同社は今月8日に決算を発表し、21年3月期第3四半期累計(4~12月)の連結経常利益は前年同期比5.9%増の77億2400万円となった。あわせて通期の同利益を、従来予想の35億円から37億円(前期比53.3%減)に上方修正している。株価は2700~3000円手前でのボックス相場が続くが、直近は2900円水準に位置しており、3000円台に乗せられるかの注目場面にある。

 建物の修繕・改修を主力とするキャンディル <1446> だが、ここ抗ウイルス・抗菌サービスにも注力。抗ウイルス抗菌コーティング作業「レコナエアリフレッシュ」、抗ウイルス抗菌材「CAシリーズ」、ハイブリッド空気清浄機「Kirala Air」などを提供している。レコナエアリフレッシュは、光触媒の力でウイルスや菌を分解・除去し、壁や天井にコーティングすることでウイルスや菌の増殖を抑制するという。同社では「現在、全国のさまざまな業種から引き合いを受けている。顧客や従業員が安心して過ごせる“衛生的な環境づくり”をしたい、しなければいけないと考えている事業者は、まだまだ多いのではないかとみている。今後も抗ウイルス抗菌サービス・商品を通して、事業を止めないための支援を行っていきたい」(経営企画室)という。

●相次ぐ異業種参入

 抗ウイルス・抗菌サービスにスポットライトが当たるなか、異業種からの参入も相次いでいる。鴻池運輸 <9025> は昨年11月9日に抗菌・抗ウイルス施工サービス事業を10月にスタートさせたと発表。これを受けて株価が動意したことで、抗ウイルス・抗菌サービスへの関心の高さをうかがわせるものとなった。同事業は、消臭・抗菌・防カビ・抗ウイルスなどに効果を発揮する触媒機能を持つ「空気触媒セルフィール」を製造し、抗菌・抗ウイルス施工などを行うニチリンケミカル(大阪市北区)と施工代理店契約を締結して手掛けるもので、抗菌・抗ウイルス施工ニーズの高まりに対応する。まずはグループ内の各種社内施設への抗菌・抗ウイルス施工から展開しており、今年に入り顧客現場や一般企業などに向けたサービスの提供を開始している。

 外食チェーンを展開するきちりホールディングス <3082> は、グループのサニタイズ(東京都渋谷区)が新型コロナウイルス感染拡大を受け、除菌・消毒サービス事業を展開。また、シャープ <6753> もグループのシャープマーケティングジャパン(大阪府八尾市)が、法人を対象とした「光触媒オフィス抗菌サービス」の提供を行っている。

●「アイカウイルテクト」で攻勢かけるアイカ工

 抗ウイルス化では、当然のことながら建材などの分野にも活躍素地が広がっている。メラミン化粧板の国内大手のアイカ工業 <4206> は抗ウイルス剤練込メラミン化粧板「アイカウイルテクト」で攻勢をかけている。同製品は、昨年12月に新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果があるとの試験結果を公表。加えて、テレビなどでのCM効果もあり好調だ。業績は大都市圏での工事減少、店舗需要の低迷などが響き厳しいものの、1月29日には21年3月期通期の経常利益を147億円から170億円(前期比20.3%減)へ上方修正した。株価は、1月29日につけた直近安値3390円を起点として急速に出直り、4000円ライン突破をうかがう。

●日機装、エアロピュア供給体制を強化

 日機装 <6376> にも目を配っておきたい。同社は1月8日、空間除菌消臭装置「Aeropure(エアロピュア)」の生産体制をこれまでの約2.5倍となる年産25万台まで増強し、供給体制を強化すると発表した。新型コロナ感染拡大防止の取り組みにより空間除菌消臭装置の需要が国内外で高まっていることが背景にある。需要の高まりに対して生産が追い付かず、商品供給の納期が長期化していた。Aeropureは深紫外線LEDの技術を活用した、菌やウイルス、においなどを低減し、空間の除菌・消臭に特化した装置で、中国や欧米などの海外展開を見据えた生産体制を構築するとしている。株価は、いまひとつ上値の重い展開が続くが、更なる職場での安全・安心意識の高まりが再評価機運を促す可能性もありそうだ。

株探ニュース

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