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【市況】ワクチン普及に向けた動きを好感/後場の投資戦略

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

日経平均 : 26767.74 (+79.90)
TOPIX  : 1787.26 (+5.21)


[後場の投資戦略]

 「怒涛のIPOラッシュ」が始まった。一昨日14日の当欄では、IPOラッシュとなるこの機会に、TOPIXグロース指数とTOPIXバリュー指数の今年の上昇率を比較し、「少し長いタイムスパンでは、グロース株のパフォーマンスがバリュー株より優位となるのかもしれない」と書いた。さらに長いタイムスパンではどうだろう。

 2010年末から昨日までのほぼ10年間の上昇率は、TOPIXが98.2%、TOPIXグロースが146.4%(2.4倍)、TOPIXバリューが57.7%。パフォーマンスの差は歴然だ。毎年の年間上昇率の平均は、TOPIXが8.7%、TOPIXグロースが11.1%、TOPIXバリューが6.3%。年間で下落したのはこの10年でTOPIXが3回、TOPIXグロースが3回、TOPIXバリューが今年を含め4回。TOPIXグロースが年間パフォーマンスでTOPIXバリューを下回ったのは2016年(TOPIXグロースは2.7%下落、TOPIXバリューは1.1%下落)の1回のみとなっている。期間をより長くとれば、TOPIXグロースのパフォーマンスがTOPIXバリューよりも優位になりそうだということは言えそうだ。

 なお、TOPIXグロース指数とTOPIXバリュー指数は連結PBRは定期的に銘柄入れ替えが行われ、TOPIXグロースはPBR(株価純資産倍率)上位銘柄、TOPIXバリューはPBR下位銘柄で構成される。TOPIXバリューは「割安株」の集合体と言うことはできそうだが、TOPIXグロースは必ずしも「成長株」とは言いにくい銘柄が多く含まれる可能性もある。また、銘柄の時価総額は考慮されており、「TOPIXバリュー=小型株」ということではない。最後に、長期間ではグロース株のパフォーマンスが良いと言っても、上記のように、TOPIXグロースの年間パフォーマンスはこの10年間で3度マイナスとなっている。決まりきった結論になるが、IPO銘柄への投資に際しては、銘柄選択と投資タイミングが最も重要だということだろう。前向きかつ慎重に臨みたい。

 後場の東京市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。新型コロナワクチン普及による経済活動正常化への期待の一方で、米ニューヨークで都市封鎖の可能性が伝えられるなど感染拡大による足元景気悪化が懸念され、強弱感が対立しており、ポジションを一方に傾けにくいムードとなっている。また、今晩米国で11月の小売売上高、12月のPMI速報値が発表され、日本時間の明朝4時にFOMCの結果発表、同4時30分にパウエルFRB議長の記者会見が予定されており、これらの結果、内容を見極めたいとする向きも多く、見送りムードが広がる可能性もありそうだ。(小山 眞一)
《AK》

 提供:フィスコ

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