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【市況】国内株式市場見通し:日経平均はバブル後最高値24448.07円更新を意識

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■米大統領選を通過で、日経平均は29年ぶり高値

今週の日経平均は米国の大統領選挙というイベント通過に伴うあく抜け感から24000円台を回復するとともに29年ぶりとなる高値を更新した。欧米での新型コロナウイルス感染拡大が嫌気され10月30日のNYダウは反落したものの、週初2日の日経平均は前週末に下げ幅を広げていたこともあり、買い戻しが先行して6日ぶりに反発スタートとなった。翌3日は祝日よる休場のため後場は模様眺めとなったものの、前週末比318.35円高で大引けた。中国やユーロ圏のPMIの改善に続き米国の10月ISM製造業景況指数も2年ぶり高水準となったことを好感して2日のNYダウは前週末比423.45ドル高と反発、大統領選挙日を迎えた3日のNYダウも、追加経済対策の協議再開への期待から554.98ドル高と連騰した。この流れを受けて4日の東京市場も朝方から買い戻しの動きが先行した。米大統領選は、現職トランプ大統領が事前の予想以上に健闘し激戦との報道が相次いだが、時間外の米株価指数先物を含めて全体の株高基調は崩れず、日経平均は前日比399.75円高と続伸した。個別では、ソニー<6758>が8月高値更新、TDK<6762>が1月高値更新に買われた。4日のNYダウは上院選挙で共和党が過半数を維持する可能性が高いことが報じられて3日続伸した。民主党主導の増税や規制強化といった政策が進みにくくなることが好感されたようだ。この米国株高を受けて5日の日経平均も小幅高からスタートした後に上げ幅を拡げ、1月22日以来およそ9カ月半ぶりに大引けで24000円台を回復した。一時、前日比417.19円高の24112.42円と1月17日の取引時間中の年初来高値に肉薄した。個別では、アルツハイマー型認知症治療薬がFDA(米食品医薬品局)から高評価と伝わったエーザイ<4523>がストップ高比例配分となった。5日のNYダウは542.52ドル高、ナスダック総合指数も300.15ポイント高と4連騰をみた。大統領選で民主党のバイデン候補が獲得選挙人数を増やし早期の結果判明への期待が膨らんだほか、FOMC(連邦公開市場委員会)でも従来政策が据え置かれ、パウエルFRB議長がハト派姿勢を強めたことが好感された。6日の日経平均は為替の円高を警戒して小幅安で寄り付いたものの、米国株高を受けた売り方の買い戻しなどからすかさず切り返し、1月17日の年初来高値24115.95円を更新した。日経平均は前日比219.95円高の24325.23円と4日続騰で大引けた。終値ベースでは、29年ぶりとなる高値を更新する展開となった。個別では前日の決算発表で通期計画を上方修正した任天堂<7974>が一時一段高となったほか、後場の決算発表で通期予想を増額したトヨタ<7203>が4日続伸した。

■スピード調整を交えながらも日経平均は大台固めへ

来週の日経平均は、24000円の大台を固めつつ、2018年10月2日の取引時間中にマークしたバブル後最高値である24448.07円の更新を意識する展開となってきそうだ。日経平均上昇の道筋を作ったのは米国株高であるところも大きく、引き続き大統領選の結果を見据えた米国株の動向に影響を受けることになりそうだ。正式な結果判明が遅れている大統領選と法廷闘争に持ち込まれた場合の混乱度合いなど、米国政局は短期的には不透明感と不安定さが残る。しかし、米国議会選挙において、共和党が上院過半数を維持すれば、バイデン大統領誕生の場合でも民主党が提示している大型増税や規制強化は大きく進展しないとの見方が株式市場にプラスに働いている。また、4-5日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では事前の予想通り政策金利が据え置かれたほか、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が会見において状況次第で量的緩和を拡充する可能性を示唆したことが相場の支援材料として働いている。6日には為替相場が3月以来およそ8カ月ぶりに1ドル=103円台に突入する円高となりながらも日経平均が連騰を維持した背景には、このFOMC効果もあったとみられる。また、ソニー<6758>、任天堂<7974>、トヨタ<7203>と、市場心理への影響が大きい企業の決算は総じて堅調で、発表後の株価も好反応を示している。ここまでの主要企業の企業業績は事前予想に比べてポジティブだったことも、日経平均がリスクオンにシフトチェンジすることに寄与したといえよう。ただし、欧米での新型コロナウイルス感染拡大の警戒材料は継続しているほか、日経平均は4連騰の期間で値幅にして1348円強の上昇となっており、スピード調整も出やすいタイミングにある。底堅さを試すなかでの強調展開が予想される。

■NT倍率は歴史的な高値圏、出遅れ株を物色する動きが強まるか

物色的には指数が高値を更新するなかで出遅れ株を物色する動きが強まりそうだ。日経平均をTOPIX(東証株価指数)で割ったNT倍率は歴史的な高値圏にあり、全体が買われる中でも相対的にグロース株の方が強いことが窺える。しかし、経済指標の改善、この先に控えるワクチン実用化に基づくコロナ禍からの緩やかな景気回復期待、そして、世界的な大規模金融緩和による低金利というマーケットにとって居心地の良いいわゆるゴルディロクス相場が続くことを考えれば、グロースやハイテクだけでなく景気敏感株を含めた全面高の年末ラリーも可能性としては十分考えられるだろう。実際、トヨタ<7203>などの輸出系のグローバル景気敏感株には業績予想の上方修正など好材料が多く確認されている。今後、決算内容を確認しつつ、好業績の中で出遅れ株を物色する投資家意欲が表面化してくるだろう。そうした中、国内主要企業の決算発表もいよいよ佳境に入ってくる。米国の大統領選という外部材料を注視しつつも、企業決算の見極めが重要な局面に入ってくるといえよう。

■10月工作機械受注、決算発表一巡、中国消費者物価

来週の主な国内経済関連スケジュールは、9日に9月景気動向指数、10月28、29日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、10日に10月景気ウォッチャー調査、9月の国際収支、11日に10月マネーストック、10月工作機械受注、12日に10月国内企業物価、9月機械受注、10月都心オフィス空室率、13日にオプションSQ、決算発表一巡が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールは、10日に中国10月生産者・消費者物価、米アップルが新作発表イベント開催、11日に中国で大規模ネット通販セール「独身の日」、ベテランズデー(退役軍人の日で株式、商品市場は通常取引、外為、債券市場が休場)、12日に米10月消費者物価、米10月財政収支、13日に米10月生産者物価、米11月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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