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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「スピードの出し過ぎに注意」

株式評論家 富田隆弥

日経平均株価は10月30日に354円安の2万2977円と下落し、75日移動平均線を割り込んで2万3000円台からの「下放れ」懸念を募らせた。だが、11月になると5日現在3日続伸で2万4105円引けとなり、年初来高値(終値ベース:1月20日の2万4083円)を一気に更新。チャートは一転して2万3000円台から「上放れ」となり、バブル崩壊後の最高値2万4448円(18年10月、ザラバ)を目指す構えに入った。

◆世界の耳目を集めた11月3日の米国大統領選挙は、予想されていた如く「大混戦」となり、トランプ大統領が法廷闘争に持ち込む可能性が出てきた。決着が長引くシナリオをマーケットは懸念していたはずだが、NYダウ、ナスダック、そして欧州株も含めて株式市場は急伸している。これは先物やデリバティブで急落に備えていた向きが選挙を終えたことで買い戻し(ショートカバーなど)を急いでいるものと思われる。そうであるなら、11月に入ってからの急騰はあまり長くは続かないことも想定される。

NYダウ平均は10月下旬に75日移動平均線を割り込み、10月30日には2万6143ドルの安値を付けたが、そこから5日のザラバ高値2万8495ドルまでわずか4日間で9%(2352ドル)の急上昇だ。10月の高値(2万8957ドル)、9月の高値(2万9199ドル)奪回をこれから意識することになる。

◆日経平均も10月30日の安値2万2948円から5日の高値2万4112円まで3日間で5%(1164円)上げている。2年前の高値2万4448円の奪回を目指すものの、先物主導の上昇であることは否めずスピードの出し過ぎには注意が必要だ。

◆世界同時株高の様相を強める11月の株式市場だが、米国の大統領選や上下両院の結果を踏まえて一旦冷静に吟味に動く場面も想定される。103円台半ばに円高が進行していることを日本株はいつまでも無視はできまい。勢いよく上昇する株式市場だが、落ち着いたあとにはスピード調整、もしくは反動安が訪れることも予想され、個別株は小まめに「押し目買い、吹き値売り」で対応することも一策であろう。

(11月5日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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