【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 決算手掛かりの日替わり物色が中心か、NTTドコモに替わる銘柄探しも
RAKAN RICERACA 代表取締役 会長 村瀬智一
「決算手掛かりの日替わり物色が中心か、NTTドコモに替わる銘柄探しも」
●海外勢の買い戻しが強まる可能性も
未だ結果は判明していないものの、米大統領選についてはバイデン氏勝利が見込まれるが、同時に行われた連邦議会の上下両院選で民主党(バイデン氏が所属)が上院を制する確率が低下。ブルーウェーブポジションのアンワインド(巻き戻し)により大型テック株の見直しが強まり、米国市場は大幅に上昇。ナスダックは10月高値水準に接近し、9月の最高値が視野に入った。この流れを受けて 日経平均株価も連日の大幅上昇をみせ、これまでの保ち合いレンジの上限であった2万3700円を突破すると、一気に節目の2万4000円を回復している。先週の2万3000円割れから一気に切り返したことにより、売り方のショートカバーの流れが強まったようだ。
急ピッチの上昇に対する過熱警戒は意識されやすいが、そもそも決算発表が本格化する中で積極的にロングポジションを積み上げる流れは考えづらく、相場上昇の中心にあるのは売り越し基調にある海外勢の買い戻しであろう。2万4000円処での底堅さが意識されてくるようだと、より買い戻しの勢いが増してくる可能性がありそうだ。
需給面では11月16日にNTT <9432> によるNTTドコモ <9437>のTOB期間が終了する。翌日には結果判明後、速やかに日経平均株価の臨時銘柄入れ替えが発表されることになるだろう。そのため来週あたりは、新規組み入れが予想される技術セクター銘柄に思惑的な資金が向かいやすいほか、情報通信セクターでは調整買いの動きが出てくる可能性がありそうだ。また、決算発表は来週末がピークとなるが、実態としては週明けのソフトバンクグループ <9984>で概ね一巡し、中小型の決算がメインとなる。そのため、個人主体による決算を手掛かりとした日替わり物色が中心になりそうだ。
●今週の活躍期待「注目5銘柄」
◆サイバーセキュリティクラウド <4493> [東証M]
Webサイト・Webサーバーへのサイバー攻撃を可視化・遮断するWebセキュリティーサービス「攻撃遮断くん」をサブスクリプションで提供しており、日本有数のサービス継続率を実現している。最近ではAIソリューション事業を手掛けるヘッドウォータース <4011> [東証M]と連携してDX(デジタルトランスフォーメーション)サービスを展開。8月に発表した20年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結営業利益は1億円となり、通期計画に対する進捗率は58%。13日には第3四半期決算の発表が予定されている。株価は3月上場後、4月下旬にかけて急騰をみせたが、その後の調整で5000円を挟む展開から直近はボトム圏で推移しており、決算を受けた見直しの流れに期待したいところ。
◆ローム <6963>
21年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比28.6%減の126億円で着地したが、コンセンサスを上回る進捗であった。自動車向けなどでは新型コロナウイルス感染症の拡大による影響がみられたが、産業機器向けはFA市場向けを中心に下げ止まり感が見られたほか、民生機器市場ではPC向けが好調だった。経済活動再開から足もとで自動車向けは回復傾向にある。株価は10月23日の高値8860円をピークに足もとで調整がみられるが、75日移動平均線レベルを支持線としたリバウンドから25日移動平均線突破をきっかけとした再動意に期待。
◆インターネットイニシアティブ <3774>
IT環境をクラウド上に集約し、アウトソーシングサービス、WANサービス、システムインテグレーションなど高品質なトータルソリューションを提供している。9日に21年3月期第2四半期決算の発表を予定している。第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比48%増の20億円となり、コンセンサスを上回っていた。法人向けICT関連はネット接続サービスの安定成長やセキュリティー需要の高まり、クラウド化の加速により先行きの成長期待は大きい。株価は10月14日の高値5310円をピークに足もとで調整がみられるが、75日移動平均線近辺が支持線として意識され、直近のリバウンドから25日移動平均線を捉えてきている。
◆島津製作所 <7701>
医薬、環境、ライフサイエンス向けに分析機器、製品検査や品質管理における計測機器などを手掛けている。X線TVシステム、放射線治療関係システムなどの医療システムを提供。最近では東北大学との共同研究により、自然に吐く息(呼気)をサンプルとする「呼気オミックス」による新型コロナウイルス検査法の開発に成功している。9日に21年3月期第2四半期決算の発表を予定している。第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比36%増の60億円であり、通期計画に対する進捗率は27.6%だった。自動車向け試験機は足元で回復してきていると考えられ、通期の減益幅の縮小が期待される。
◆アイシン精機 <7259>
パワートレイン領域をはじめ走行安全領域、車体領域に関連する幅広い自動車部品を中核にエネルギー、住生活関連などを手掛ける。21年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業損益は385億円の赤字に転落。コンセンサスを上回る赤字が嫌気され株価は低迷しているが、トヨタ<7203>の決算を受けて下期以降の回復期待も高まりやすく、6月以降の保ち合いレンジのボトム水準からのリバウンドに期待したいところ。
2020年11月6日 記
株探ニュース