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【特集】人気沸騰のIPO市場、テンバガー出現で物色機運高まる <株探トップ特集>

今春に大波乱となったIPO市場は、夏場に入り完全復活を遂げた。初値の急騰に加え、セカンダリー市場でも急伸している。秋相場に向けても人気沸騰状態は続きそうだ。

―AI関連のニューラルなど大化け、9月登場銘柄にも期待高まる―

 IPO株への注目度が高まっている。今夏登場した銘柄には、公開価格に対して初値で2倍高、3倍高が続出しているほか、初値を付けた後のセカンダリー市場での人気も続きニューラルポケット <4056> [東証M]やティアンドエス <4055> [東証M]などは株価が公開価格から10倍高となるテンバガーに化けた。IPO市場は今春の波乱状態を一気に抜け出し、人気は完全復活している。新規上場銘柄数も、すでに昨年を上回るペースとなり、9月も9銘柄が上場を予定。秋のIPOシーズンに向けて、盛り上がりは続きそうだ。

●6月以降の新規上場は全勝、T&Sなど10倍高銘柄も出現

 IPO銘柄の人気が顕著だ。新型コロナウイルスの影響に揺れた3月は新規上場した24社中、17社の初値は公開価格を割り込んだ。また、4月は14社が上場中止に追い込まれ、新規上場を果たしたのは松屋アールアンドディ <7317> [東証M]の1社にとどまった。しかし、全体相場の急上昇も追い風となり、その後IPO市場は回復。6月以降に17社が上場を果たしたが、このうち全社の初値は公開価格を上回ってスタート。買い殺到で上場初日に値段がつかず2日目あるいは3日目に、ようやく公開価格から2~3倍の水準で初値がつく銘柄が続出している。

 とりわけ、市場の注目を集めたのが、8月IPO銘柄の好調さだ。T&Sとニューラルポケット、それにインターファクトリー <4057> [東証M]といった銘柄は大人気となった。3社ともに東証マザーズに新規上場したが、半導体工場向けシステム開発や人工知能(AI)関連のソフトウェアを開発し7日に新規上場したT&Sは、公開価格の2.5倍上回る水準で初値をつけた後、セカンダリー市場で11連騰し、上場から2週間程度で公開価格から10倍高に急騰した。

 また、20日にマザーズに上場したAIベンチャーのニューラルポケットも、3日目に公開価格から5.7倍高で初値をつけた後も買い人気は止まらず、6日目で株価が10倍に上昇するテンバガーに化けた。同社は、日本のAI研究の第一人者である東大・松尾豊教授が顧問に就任していることも話題となった。

 クラウド型ECプラットフォーム構築事業を手掛け25日にマザーズに新規上場したインターファクトリーも上場3日目で初値をつけた後も人気化。6日目のこの日もストップ高と急騰し、すでに公開価格から8倍近い水準に跳ね上がっている。

●サンアスタやコマースワンなど直近IPO銘柄人気は継続

 市場からは「さすがに公開価格から10倍近い株価水準は買われ過ぎだろう」(アナリスト)とみる声は少なくないが、好需給を背景にIPO銘柄を一気に買い上がる動きは続いている。足もとでは7月上場のSun Asterisk <4053> [東証M]やKIYOラーニング <7353> [東証M]、日本情報クリエイト <4054> [東証M]、それに6月上場のコマースOneホールディングス <4496> [東証M]などへの物色の動きが広がっている。

 そんななか、9月も中旬から下旬にかけ9社のIPOが登場する。昨年は8月が1社、9月は6社が登場した。例年、夏場はIPOのシーズンオフの時期だが、今年は8月に4社が登場している。春の大波乱を乗り越え、IPOの銘柄数は昨年を上回るペースとなっている。

●ヘッドウォータ、トヨクモ、アクシスなど注目

 9月の第1号銘柄となる雪国まいたけ <1375> は、17日に東証1部あるいは同2部に新規上場を予定している。同社は約5年ぶりの再上場となるが、米投資ファンドである米ベインキャピタルによる売り出しがメインであり、上値は重い展開が予想されている。

 そんななか、9月IPOで注目を集めるのが、クラウドやAIなどに絡むIT関連銘柄だ。24日のまぐまぐ <4059> [JQ]や同じく24日のトヨクモ <4058> [東証M]、28日のrakumo <4060> [東証M]、29日のヘッドウォータース <4011> [東証M]、30日のアクシス <4012> [東証M]などが登場する。ジャスダックに上場するまぐまぐ以外はマザーズに上場する。とりわけ、市場で人気のAI関連銘柄であるヘッドウォータースは想定される資金吸収金額も2億円強と小さく、値が飛ぶ展開が期待される。また、クラウド関連のトヨクモやアクシスなども注目される。

 一方、IT関連銘柄以外ではI-ne <4933> [東証M]は、ヘアケア製品や美容家電などを手掛けるが、想定される資金吸収金額は最大で70億円強と大きいことなどが警戒されている。25日に東証2部に上場するSTIフードホールディングス <2932> [東証2]は極洋 <1301> などが出資する水産物の加工メーカーだ。

 また、10月IPOはすでに、タスキ <2987> [東証M]、ダイレクトマーケティングミックス <7354> 、キオクシアホールディングス <6600> の3社が発表されている。なかでも半導体関連のキオクシアは、市場からの資金吸収額が3000億円強と今年最大のIPOとなり、その動向が高い関心を集めている。

■9月以降のIPO銘柄

上場日  コード・市場  銘柄名              主幹事
9月17日  1375・東証  雪国まいたけ           SMBC日興、大和
9月24日  4059・JQ  まぐまぐ             SBI
9月24日  4930・JQ  グラフィコ            SBI
9月24日  4058・東マ  トヨクモ             いちよし
9月25日  4933・東マ  I-ne             SMBC日興
9月25日  2932・東2  STIフードホールディングス   野村
9月28日  4060・東マ  rakumo           みずほ
9月29日  4011・東マ  ヘッドウォータース        みずほ
9月30日  4012・東マ  アクシス             SMBC日興
10月2日  2987・東マ  タスキ              SBI
10月5日  7354・東証  ダイレクトマーケティングミックス みずほ、SMBC日興
10月6日  6600・東証  キオクシアホールディングス    三菱UFJ、野村など

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