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【材料】DXの「新本命」が東証一部へ「エル・ティー・エス」樺島 弘明社長インタビュー(後半)


企業のデジタルシフトと働き方改革を促進支援する会社、エル・ティー・エス<6560>。取引先は伊藤忠商事、セブンイレブンジャパン、オリックスグループ、キリングループなど名だたる大企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)をサポートしていている、まさに「DXの新本命」企業です。樺島 弘明社長へのインタビュー前半では主力の「ビジネスプロセスを再デザイン」について詳しく伺いました。後半では、この先の展望についてフィスコの馬渕磨理子がお話を伺いました。

◆DX案件の残りの「10分の7」を取りに行く

メガバンクやコンビニエンスストアなどの大企業のDXの案件の事業・戦略立案し、その後のデジタル・データ活用やビジネスプロセスを構築するところまでサポートしてきました。大枠の整理と初期段階で成果を出すところまでの領域は実は、DXの「10分の3」にしか過ぎません。
残りの「10分の7」に当たる、テクノロジー開発・導入は、今までは我々ではサポートできないため、大手のIT企業等に対応をお願いしてきました。しかし、テクノロジー開発・導入まで当社で包括的にサポートさせていただく体制を整えるべく、エンジニアの採用を進め、また、エンジニアリソースを持っている会社をM&Aによってグループ化することで実現しました。

◆2019年は基盤を固めのM&Aを行った

大手企業のDXのニーズに本格的に対応するために、2019年7月にFPTジャパンホールディングスとの合弁会社、FPTコンサルティングジャパン株式会社を設立しました。大手企業の大規模なDXは数100人単位でのエンジニアが必要です。FPTは3万5000人のエンジニアを有する東南アジア最大手のベトナムのIT企業で、この合弁会社設立によって今までサポートできていなかったDXの「10分の7」の領域での売上拡大が見込めます。
また、2019年9月は株式会社ワクトをM&Aによりグループ化しました。株式会社ワクトは50人の技術者を抱えている企業であることから、エンジニアリソースを内製化したことになります。これによって、中期的な成長目標の数字を描くことができましたので、皆様に当面の業績ターゲットを発表しています。今後は「中期経営計画」の発表を予定しております。

◆大企業の新規事業をサポート
2019年12月にテクノロジーを活用したイノベーションを創出する専門会社「株式会社イオトイジャパン」を子会社化しました。株式会社イオトイジャパンと組んだ領域は事業開発・ビジネスモデルのDXです。業務効率化、省力化といったものではなく、テクノロジーを使って新しいビジネスを創造していく分野で、大企業の新規事業をイメージしていただければと思います。この分野は、従来、戦略コンサル会社、モノを作る部分ではソフトウェア開発の会社、お客様を集客するためにはマーケティング支援会社、広告代理店などが入り乱れて支援してきた分野です。この分野も当社が、一気通貫で構想策定、必要なソフトウェアの開発、サービスの運営、ユーザー集客も全てサポートします。長期的にはサポートしたプロジェクトの一部をM&A支援することも構想にあります。ここまでできるから、エル・ティー・エスへのご依頼をいただけると思っています。

◆競合は存在しない
DXのテーマごとには競合は存在していますが、プロフェッショナルサービス事業のトータルでは競合は存在していません。プロフェッショナルサービス事業は「コンサルティング」「デジタル活用」「ビジネスプロセスマネジメント」の3つのテーマに分かれています、例えば、コンサルティングについては、大手コンサルティング会社と競合する場合があり、デジタル活用についても大手SI会社と競合する場合がありますが、ビジネスプロセスマネジメントを扱っている企業は日本にはほとんど存在していません。当社はこの3つのトータルでのサポートを行っていることを考えると競合は存在していないと考えています。

◆今期は9年連続の増収見込み
2020年12月期第1四半期の売上高は13億7300万円(前年同期比 +59.6%)、営業利益 1億6000万円(前年同期比 +38.2%)となっています。新型コロナウイルスの影響はあるものの、業績見通しは変更せず9年連続の増収見込みの売上高50億円、営業利益4億円の見通しです。DXの支援の事業であるプロフェッショナルサービス事業が引き続き伸びており、プラットフォーム事業ではアサインナビの利活用が伸びています。また4-6月期にあたる第2四半期は業績の伸びが緩やかになりやすいですが、これは、当社の毎年の傾向として捉えていただければと思います。その理由として、毎年4-6月期に新卒採用含めた新規採用を行っており、今年は約30人の採用を行いました。そのため、新規採用に対してのコストが増えることと、3ヵ月間の教育研修には、現場のエース級コンサルタントを講師として一時的に社内に戻して教育を行うことが、売上にも影響します。教育研修が終わる第3四半期以降は、新規採用メンバーが一気に戦力化していくことと、エース級コンサルタントが現場に戻るため、7月以降は、売上高・営業利益ともに正常に戻ります。

◆今期の重点施策は
昨年作ったDXを包括的に支援できる体制を基盤に、攻めの姿勢です。1歩ずつ、実績を積み上げていきます。コロナによりDXせざるを得ない状況になった企業も多く、DXに対する予算も上がってきていますので、当社でサポートさせていただきます。また、東証1部に市場変更したことで、元々引き合いの多かったM&Aを増やしていきます。
我々にとってのM&Aは採用と一緒という考え方です。つまり、「仲間づくり」として採用、協業、M&Aと考えています。機能的に補完できるかとともに、人間的な相性が全てであり肌が合わないところとはM&Aしません。

◆当面の業績ターゲットについて
今までお話してきたように、エンジニア人材の充実により、DXのコンサルティング部分だけではなく、テクノロジー開発・導入まで、自社でサポートさせていただきます。『同じお客様・同じサービス・同じプロジェクトでサポート範囲を広げることで、収益と成長性が劇的に変革』します。さらに、プロフェッショナル人員の採用・育成・定着を進め、プラットフォーム事業も着実な利益成長を見込んでいます。当面の業績ターゲットとしては、23年度の見通しは売上高80億円、営業利益12億円、営業利益率15%、CAGR(年平均成長率)40.5%を見通しています。

また、今後はアジア市場を見据えています。協業、合弁会社を設立したFPTグループの顧客基盤はグローバルで、東南アジア・中国・インドの顧客を抱えています。その顧客基盤を足掛かりに、FPTグループの強みであるエンジニアリングと、当社の強みであるコンサルティングを組み合わせて、海外展開をしていきます。

東証一部への市場変更は、『海外企業との協業』と『国内でのM&Aの展開』を進める上で非常に大きい意味があります。この2点を強化させ、事業をさらに加速させていきます。


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<取材を終えて・馬渕>
ビジネスプロセスを再構築する『俯瞰力』のあるエル・ティー・エスは、エンジニア人材を獲得し、加速のフェーズに入りました。国内では既存顧客のニーズの深掘りを行い、その経験と実績をもってアジア展開を見据えていることを考えると、企業のポテンシャルは計り知れないでしょう。また、今後、「仲間づくり」としてどのような企業をM&Aしグループ化していくのか、引き続き同社の展開から目が離せないです。

(フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議 研究員 馬渕 磨理子)

《ST》

 提供:フィスコ

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