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【特集】ブイキューブ Research Memo(7):2020年12月期の業績は大幅増収増益となる見通し(1)

ブイキューブ <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通し

1. テレワーク市場が本格的に拡大
2020年はテレワークの本格普及元年となりそうだ。テレワークが普及するために必要なポイントとして、ブイキューブ<3681>は「文化」「制度」「ツール」「場所」の4つが重要であり、このうち「ツール」に関しては比較的揃っていたものの、残り3つの環境が醸成されてこなかったことが、国内で普及の進まない要因になっていたと考えている。しかし、「文化」については、政府の働き方改革推進や、オリンピックを控えて大企業を中心にテレワークを導入する動きが2019年頃から徐々に拡がり、さらに2020年に入ってからは新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークを活用する機運が一気に拡がりを見せている状況にあり、「文化」として今後も根付いていく可能性が高い。

また、「制度」面についても、同社が1998年の創業来テレワークを活用した働き方に取り組んできた経験・ノウハウを2020年2月にガイドラインとして公開し、テレワーク導入のための相談窓口を開設するなど、テレワークの導入を検討する企業に対する支援を行っている。また、東京都でもコロナウイルス感染症拡大防止対策として、同年3月に都内企業のテレワーク環境整備を支援する「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」※を発表し、中堅・中小企業におけるテレワークの導入支援を推進し始めている。同社はこの取り組みに賛同し、助成金を活用して同社から機材を購入した企業に対して、「V-CUBEミーティング」の無償提供を開始したことを発表している。なお、「場所」についても、今まではテレワークをしたくてもする場所がないという課題があったが、「テレキューブ」が「場所」の1つとしてその機能を担っていくことになる。

※助成金の対象は、機器等の購入費、機器の設置・設定費、導入機器等の導入時運用サポート費、クラウドサービス等ツール利用料などで、助成金の上限額は250万円、助成率100%となっている(助成は2020年6月末までに完了する取り組みが対象)。申請資格は、常時雇用労働者数が2~999名の都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等で、東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」への参加が要件となっている。


以上、テレワークが普及するうえでの4つの要素が整ってきたと考えられ、2020年以降国内でも本格的にテレワークが普及し、そのツールとなるビジュアルコミュニケーションサービスの市場も本格拡大していくものと弊社では見ている。同社は新型コロナウイルス感染拡大によるテレワーク需要の拡大に対応するため、一部のサービスを期間限定で無償提供するなどの取り組みを進めており、テレワーク文化を国内市場に根付かせることで今後の収益成長につなげていく考えだ。

2. 2020年12月期の業績見通し
2020年12月期の連結業績は、売上高で前期比13.6%増の7,237百万円、営業利益で500百万円(前期は284百万円の損失)、経常利益で359百万円(同341百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で同650.0%増の255百万円となる見通し。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、2020年3月11日付で期初計画の185百万円から上方修正している。これは、特別利益として投資有価証券売却益70百万円を計上する見込みとなったためだ。

売上高の増加要因は、主にアプライアンス事業における「テレキューブ」や緊急対策・災害対策用ソリューション(「V-CUBE Board」「V-CUBE コラボレーション」)の拡大、並びにビジュアルコミュニケーション事業における製薬業界向けWeb講演会(「V-CUBEセミナー」)や映像組み込みSDKの販売増加によるものとなっている。2019年12月期は第1四半期までアイスタディの売上高が含まれていたため、既存事業ベースでは前期比17.3%増収となる。

営業利益は前期比784百万円の増益を見込んでいる。主な増益要因としては、2019年12月期に計上したマス広告費用257百万円がなくなること、ロイヤルティ費用が96百万円減少することなど一時的な費用減に加えて、製薬業界向けWeb講演会や映像組み込みSDK、緊急対策・災害対策用ソリューション、「テレキューブ」などの増収効果によるものとなっている。また、減益要因として、「V-CUBEミーティング」等の汎用Web会議サービスにおける競争激化と単価下落を想定し、243百万円の減益を見込んでいるほか、事業拡大のための投資として227百万円の費用増加を見込んでいる。ただ、「V-CUBEミーティング」については新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、急速に問い合わせが増えている状況にあり、計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。また、2020年12月期は人員を増やさず効率化を進めながら事業を拡大していく方針となっており、事業拡大に向けた費用増も計画の範囲内に収まる可能性がある。

なお、同社が目指す業績目標としては、売上高で78億円、営業利益で9億円を掲げている。公表計画値との差は、主に汎用Web会議サービスやオンプレミスサービス、「テレキューブ」の売上見込みについて変動幅を持たせていることにあり、その下限値を積み上げたものが対外公表値、上限値で積み上げたものが業績目標値となる。例えば、汎用Web会議サービスについては売上高で前期比50百万円の減収計画だが、目標値は252百万円の増収となっている。既述のとおり、直近の市場環境や引き合い状況からすれば目標値に近い水準まで増える可能性が高い。

一方、オンプレミスサービスについては、市場全体がクラウド型サービスに移行する流れのなかで国内競合企業が撤退しており、また、外資系競合企業もオンプレミスは原則非対応となっているため、残存者メリットを狙うステージに移行している状況にある。金融機関や自治体を中心に高度なセキュリティ環境を求める一定のニーズがあり、こうしたニーズを取り込むことで売上高を伸ばす余地があると見ている。特に、2019年夏に業界第4位だったNTTテクノクロスと業務提携を発表しており、その提携効果が期待される。NTTテクノクロスは主に自治体向けを中心にオンプレミス型で「Meeting Plaza」のサービスを展開していたが、自社開発を終了することを決定しており、今後は「Meeting Plaza」のユーザーに対して「V-CUBE」への乗り換えを進めていくことになる。ただ、2020年12月期にどの程度のリプレース需要が見込めるか流動的なため、増収効果として6~106百万円と幅を持たせている。

「テレキューブ」に関しては、前期比の増収幅が568~1,168百万円と大きくなっている。販売台数で企業向けが500~1,000台(前期実績280台)、公共空間向けで200~400台(同65台)とそれぞれ幅を持たせているためだ。ただ、下限でも合計で700台と前期比約2倍増を見込んでいることになる。四半期ベースで換算すると170~180台の販売ペースとなる。2019年12月期第4四半期の販売実績は106台だが、マス広告効果による商談件数の増加やテレワーク需要の急速な拡大に鑑みれば、四半期で170~180台の販売ペースは可能と弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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