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【注目】前週末10日に「買われた株!」総ザライ (2) ―本日につながる期待株は?―

島津 <日足> 「株探」多機能チャートより

■島津 <7701>  2,905円 (+132円、+4.8%)

 島津製作所 <7701> が大幅反発。同社は10日、かねてより開発を進めていた「新型コロナウイルス検出試薬キット」を発売すると発表しており、これが好感されたようだ。現状の遺伝子増幅法(PCR法)による 新型コロナウイルスの検出では、鼻咽頭拭い液などの試料(検体)からRNAを抽出して精製する煩雑な作業が必要で、これが多数の試料を迅速に検査する際の妨げになってきた。今回発売するキットを使用することによって、RNAの抽出・精製工程が省けるため検査に要する人手を大幅に削減でき、かつ2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮することが可能だという。なお、当面は国内のみの販売としているが、5月以降の海外輸出も視野に入れて準備を進めているとしている。

■HPCシス1,951円 (+84円、+4.5%)

 HPCシステムズ <6597> [東証M]が5日続伸。9日の取引終了後、アズワン <7476> と資本・業務提携を行うと発表しており、これが好材料視された。今回の提携は、HPCシスの計算科学分野における最先端技術と、アズワンが有する顧客基盤や販売ツールを融合することで、研究分野における新たなソリューションの創造や、より多くの顧客へのサービス提供を行うことが狙い。具体的には、HPCシスが提供する科学技術計算システムと計算化学シミュレーションソフトウェアについて、アズワンが発刊する「研究用総合機器カタログ」や総合WEBショップ「AXEL」、集中購買システム「OCEAN」での購入をできるようにするとしている。資本面では、アズワンが市場買い付けによりHPCシス株式を発行済み株数の4%(16万3600株)を目安に取得するとしている。なお、同件による業績への影響は軽微としている。

■三菱UFJ <8306>  426円 (+18円、+4.4%)

 三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> や三井住友フィナンシャルグループ <8316> 、みずほフィナンシャルグループ <8411> といったメガバンクが大幅高。米連邦準備理事会(FRB)は9日、一般企業に対する融資など2兆3000億ドルの緊急資金供給策を発表。大企業などから社債の買い取りを行うことも明らかにした。この発表を受け、金融市場の安定化に向けた期待が高まり、欧米の銀行株が急伸。米国のJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、英国のバークレイズなどが値を上げた。この流れのなか、日本のメガバンクにも買いが膨らんだ。

■大黒天 <2791>  3,325円 (+140円、+4.4%)

 大黒天物産 <2791> が大幅反発。9日の取引終了後に発表した第3四半期累計(19年6月-20年2月)連結決算が、売上高1526億4400万円(前年同期比13.1%増)、営業利益32億4100万円(同53.4%増)、純利益20億5200万円(同3.2倍)と大幅増益となったことが好感された。ESLP(エブリデイ・セーム・ロープライス)の強化に加えて、新潟県、和歌山県、愛媛県にそれぞれ1店舗の新規出店と、既存店舗の老朽化に伴う建て替えを1店舗、生鮮売り場を強化した大幅改装を2店舗で実施したことが寄与した。なお、20年5月期通期業績予想は、売上高1935億円(前期比5.5%増)、営業利益45億2000万円(同64.9%増)、純利益23億8000万円(同8.4倍)の従来見通しを据え置いている。

■ITbook <1447>  398円 (+16円、+4.2%)

 ITbookホールディングス <1447> [東証M]が5連騰となり中期トレンドの分水嶺である75日移動平均線との下方カイ離も一気に解消する動きをみせた。安倍政権ではマイナンバーの普及に向け本腰を入れているが、新型コロナウイルス問題でクローズアップされた非常時における現金給付などで、この動きが今後加速する可能性がある。マイナポイント活用による消費活性化策への思惑も加え、官公庁案件に強くマイナンバー関連のコンサルティングで高実績を有する同社株はその関連最右翼として注目されている。

■栄研化 <4549>  2,144円 (+84円、+4.1%)

 栄研化学 <4549> が大幅反発。同社は検査薬大手で特にOC(便潜血検査試薬)のシェアでは群を抜く。9日取引終了後、体外診断用医薬品「Loopamp新型コロナウイルス2019(SARS-CoV-2)検出試薬キット」を10日に発売することを発表、これを材料視する買いを呼び込む格好となった。新型コロナウイルス感染症の診断補助として迅速な診断を可能としており、感染拡大防止に貢献が期待される製品として期待が膨らんだ。

■サカタタネ <1377>  3,340円 (+125円、+3.9%)

 サカタのタネ <1377> が3日続伸。同社は10日、子会社のサカタ・シード・アメリカを通じて、米カリフォルニア州にあるレタス種苗会社のバンガード社を買収したと発表。同国での野菜種苗ビジネスの拡充につながるとして好感されたようだ。同社はこの買収により、バンガード社が持つレタスの品種開発に必要な遺伝資源、育種プログラム、レタス種子の販売チームを取得。これを機にグローバル市場向けにレタスの新品種の開発を加速させ、レタス種子市場の主要な種苗会社としての地位を確立するとしている。

■ファストリ <9983>  48,190円 (+1,240円、+2.6%)

 ファーストリテイリング <9983> が6日続伸。9日の取引終了後、20年8月期の連結業績予想について、売上高を2兆3400億円から2兆900億円(前期比8.8%減)へ、営業利益を2450億円から1450億円(同43.7%減)へ、純利益を1650億円から1000億円(同38.5%減)へ下方修正したが、想定内との見方が強い。3月の実績に加えて、4月、5月は引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により大幅減収が見込まれ、6月以降に事業活動が徐々に正常化する仮定のもとに算出したという。また、業績予想の下方修正に伴い、中間・期末配当予想を各250円から各240円に引き下げ、年間配当を500円から480円にするとあわせて発表している。なお、第2四半期累計(19年9月-20年2月)決算は、売上高1兆2085億円(前年同期比4.7%減)、営業利益1367億3600万円(同20.9%減)、純利益1004億5900万円(同11.9%減)だった。同時に、3月度の国内ユニクロ事業の売上速報を発表しており、既存店及びEコマース売上高は前年同月比27.8%減と2ヵ月ぶりに前年実績を下回った。新型コロナウイルス感染症の影響により、客数が同32.4%減と大幅に減少したことが響いた。

■富士フイルム <4901>  5,459円 (+133円、+2.5%)

 富士フイルムホールディングス <4901> が4日ぶりに反発。9日、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、新型コロナウイルス感染症を対象とした米国第2相臨床試験を開始すると発表しており、これが好材料視された。「アビガン」に関しては今年3月、子会社である富士フイルム富山化学で新型コロナウイルス感染症患者を対象とした臨床試験を国内で開始している。米国での治験では、数十例の患者を対象に、「アビガン」投与時の治療効果と安全性を確認することを目的としている。

■トーセ <4728>  788円 (+18円、+2.3%)

 トーセ <4728> が5日続伸。9日大引け後に発表した20年8月期上期(19年9月-20年2月)の連結営業損益が1億1200万円の黒字(前年同期は400万円の赤字)に浮上し、従来の9800万円の赤字予想から一転黒字で着地したことが買い材料視された。デジタルエンタテインメント事業で家庭用ゲームやスマートフォン向けゲームの開発売上が想定より伸びたことが寄与。一部プロジェクトにおける原価抑制に加え、スマホアプリ「うたわれるものロストフラグ」のロイヤリティ収入が好調だったことも黒字浮上に貢献した。

■ラドビジネス <8944>  301円 (+3円、+1.0%)

 ランドビジネス <8944> が続伸。9日取引終了後、発行済み株式数(自社株を除く)の9.5%にあたる210万株(金額で6億2580万円)を上限に、10日朝の東証の自己株式立会外買付取引「ToSTNeT-3」で自社株買いを実施すると発表しており、これを好感する買いが向かった。需給改善や株式価値の向上といった株主還元が好感されたほか、株価浮揚策としてもポジティブに受け止められたようだ。

※10日の上昇率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。

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