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【特集】ビジネスチャットに投資の視線、新型コロナ拡大で新たなる活躍株輩出へ <株探トップ特集>

テレワークを活用する企業を中心に、チャットの利用が広がっている。新型コロナウイルスの感染拡大でビジネスチャットなどを提供する企業に商機の拡大が見込まれている。

―感染症対策で加速し始めたチャットの利用、成長ポテンシャル富むマーケットに照準―

 新型コロナウイルス 感染症の拡大を受け、政府は2月25日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」をまとめ、 テレワークや時差出勤の推進に協力するよう呼びかけた。翌26日には、大規模イベントの中止や延期を要請しており、企業活動や大学生の就職活動などへの影響が出始めている。

 こうしたなか、テレワークを活用する企業を中心に、チャット の利用が広がっている。チャットは社員間のコミュニケーションツールとしてだけではなく、遠隔医療などでビデオチャットなどが活用されているほか、就活イベントなどの中止により、新卒採用活動などでも利用する企業が増えている。ビジネスチャットなどを提供する企業の商機拡大につながろう。

●海外先進国と普及率に開き

 ビジネスチャットは近年、電子メールより手軽なことに加えて、多人数でのリアルタイムコミュニケーションに適していることから、社内コミュニケーション用として導入が急速に拡大している。また、最近では勤怠やスケジュールの管理、設備や会議室の利用予約、プロジェクトの進捗管理などの業務ツールなどと合わせて利用するケースも広がりつつある。

 ただ、総務省が18年3月にまとめた「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」によると、ビジネスチャットの国内普及率は25%に満たず、米国の67%、イギリスの56%と大きな開きがある。その分、成長ポテンシャルのあるマーケットといえ、今回の新型肺炎の感染拡大に伴うテレワーク導入の拡大をきっかけに、マーケットが大きく伸びる可能性もある。

 導入者数約25万社を誇る国内最大級のビジネスチャットツール「Chatwork(チャットワーク)」を展開するChatwork <4448> [東証M]では、ビジネスチャットの潜在市場規模を6455億円と予測。同社を含め関連する企業の成長余地は大きい。

●Chatwork、AIクロスなどに注目

 関連銘柄の代表格は、そのChatworkだ。同社の19年12月期決算では、Chatwork事業が前の期比43%増と高伸長し、営業利益は7700万円(前の期1億8600万円の赤字)と黒字転換を達成した。会社側では20年12月期業績予想を発表していないものの、Chatwork事業で前期比40%以上、全体売上高では同30%以上の成長を目指すとしている。

 AI CROSS <4476> [東証M]は、ビジネスチャット「InCircle(インサークル)」を展開しているが、3月2日には同製品の技術を活用し、企業が手軽に、素早くテレワーク環境の構築やBCP(事業継続計画)対策の実現を図れる新サービス「EASYテレワーク by InCircle」の提供を開始すると発表。3月中は無償で提供するとしたことから、将来の顧客獲得につながると期待されている。20年12月期は人材投資やプロモーション投資を積極化するものの、営業利益2億円(前期比5.0%増)と増益を見込む。

 アイネット <9600> は3月3日、テレワークツール支援専用窓口を設置すると発表し、ビジネスチャットツール「ChatLuck(チャットラック)」や仮想デスクトップサービス「VIDAAS」などの導入拡大を図っている。同社では、20年3月期の営業利益を25億円(前期比6.6%増)と見込むが、第3四半期時点の進捗率は75%と前年同時期の69%に比べて高く、計画の超過達成も期待されている。

 ビジョン <9416> は3月2日、ビジネス向けSNSツール「JANDI(ジャンディ)」を4月30日まで無償提供すると発表した。「JANDI」は、ビジネスチャットのほか、ニュースクリッピングや業務管理などの機能も搭載したクラウドコミュニケーションツールで、無償提供による将来の顧客獲得に期待が持てる。同社に関してはグローバルWi-Fi事業で新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるものの、20年12月期は営業利益40億300万円(前期比20.4%増)を見込む。

 このほか、さまざまなチャットツールと連携する業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」を展開するサイボウズ <4776> なども関連銘柄として挙げられよう。

●チャットボット関連にも注目

 また、あわせて注目したいのが、テレワーク企業によるチャットボットの導入だ。チャットボット とは、人間同士が会話するチャットに対して、AIが人間に代わって対話する仕組みのこと。顧客のWEBからの問い合わせに対して自動応答するチャットボットを利用することで、テレワークを導入しやすくなることから、こちらも普及が進んでいる。

 ジーニー <6562> [東証M]は3月4日、チャットボットツール「Chamo(チャモ)」を1ヵ月間無償で提供すると発表した。「Chamo」は、国内導入実績4500社を有するチャットボットで、無償提供することにより、将来の更なる顧客拡大につながることが期待されている。

 オウケイウェイヴ <3808> [名証C]は、チャットボット「OKBIZ.for AI Chatbot」を展開しており、導入実績を順調に積み上げている。3月2日に、ブロックチェーンベースの電子投票システム「BCvote」が、米国最大の保守派組織ACUが行うオンライン世論調査に採用されたと発表したことを受けて株価は急上昇しているが、チャットボットなど主力のソリューション事業の成長にも注目しておきたい。

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