【材料】TKP---第3四半期決算もEBITDA77.3%増の大幅伸長、TKP本体は3Qにおいて過去最高業績を達成
TKP <日足> 「株探」多機能チャートより
ティーケーピー<3479>は14日、2020年2月期第3四半期の連結決算を発表した。TKP本体※の貸会議室・宴会場・レンタルオフィス・コワーキングスペース等のフレキシブルオフィスや宿泊施設の需要が引き続き旺盛であることに加え、2019年5月末に日本リージャスを取得し6月(第2四半期期初)から連結したことにより、第3四半期累計期間において、売上高396.74億円(前年同期比48.8%増)、EBITDA72.76億円(同77.3%増)、営業利益49.59億円(同42.0%増)、経常利益33.79億円(同2.7%増)、四半期純利益12.8億円(同17.6%増)の増収増益となった。
最重要指標としている EBITDA(キャッシュベースの営業利益) はTKP本体の業績向上も相まって+77.3%と大きく伸長した一方、日本リージャス買収に伴うのれん償却費(約11億円)・統合一時費用(3Q特殊要因・約4億円)などが発生したことにより営業利益率は低下(前年同期13.1%→12.5%)した。また、営業外費用として、日本リージャス買収に伴うMA費用およびファイナンス費用などの営業外費用が多数発生したことにより経常利益を圧迫したが、第1四半期の前年同期比38.4%減→第2四半期累計の同9.1%減から、第3四半期累計では同2.7%増と再び増益に転じている。
(※TKP本体・・・TKP単体に今期連携子会社化した日本リージャス・品川配ぜん人紹介所を除く子会社17社を合計したもの)
TKP本体は、貸会議室の上位グレードの成長がけん引役となり極めて好調で、2019年9-11月期(3Q)は売上高 107.85 億円(前年同期比+19.2%)、EBITDA 18.86 億円(同+64.2%)、営業利益 15.44 億円(同+69.9%)、営業利益率は(10.0%→14.3%)と大きく伸長した。TKPの貸し会議室は大型の中古ビルを中心とする出店戦略で、タイトな不動産市況を踏まえ前期と比較して出店を抑制している。今期の新規出店は1Q:9拠点(3,391坪)・2Q:4拠点(2,194坪)・3Q:7拠点(1,623坪)・4Q:3拠点(3,298坪)の合計23拠点(約10,500坪)の計画。2019年11月末(3Q末)時点でのTKP貸会議室は合計で2,158室・261拠点・121,630坪となっており、将来目標としては2030年に約42万坪(1拠点250坪換算で約1,500拠点)への拡大を掲げている。
一方、日本リージャスは新築および築浅ビルを中心とする出店戦略で、今期は当初の計画より積極的な出店を行っている。今期(第2四半期から連結開始)の新規出店は2Q:3拠点(972坪)・3Q:大規模拠点「SPACES(スペーシズ)※」1拠点を含む8拠点(2,571坪)・4Q:3拠点(762坪)の合計14拠点(約4,300坪)の計画で、約3,700坪としていた2019年8月発表の新中期経営計画策定時の今期出店計画を上振れる見込み。また、四半期ごとに一定ペースでの出店を計画していたが、実際には第3四半期に出店が偏ったことで費用が大きく膨らんだ。この出店による先行費用や、新規拠点のオープン前発生家賃、統合に伴う一時費用(3Q特殊要因)などが発生したことで2019年9-11月期(3Q)は1.69 億円の営業損失となった。2019年11月末(3Q末)時点での日本リージャスのワークステーション数(日本リージャス施設内の席数)は23,087席・152拠点・36,217坪となっている。
(※大規模拠点「SPACES」は1拠点が約1000坪程度で、1拠点が200~300坪程度の通常拠点「リージャス」の4倍程度の規模)
また、今回、両社のビジネスモデルやKPIの違いについて示された。
TKPの貸会議室事業は、単にスペースをサブリースするだけでなく、料飲や宿泊などの周辺サービスを付加することで大幅に売上が拡大する【サービス業】であり、オープンから平均3ヶ月で損益分岐点に達し、約12ヶ月で巡航速度へ到達する。稼働率と売上高とが完全には相関しないため稼働率は重視しておらず、【坪あたり売上高をKPI】としている。坪あたり売上高は各四半期ともに増加傾向にあり、特に2Q・3Qは室料以外の売上比率が高く、坪あたり売上高の増加が顕著となっている。
一方、日本リージャスはオープンから平均8~12ヶ月で損益分岐点(稼働率45%)に達し、約18ヶ月で巡航速度(稼働率65%)に到達する。その後も10年以上の長期にわたり安定稼働が続き、高収益が継続して見込める【サブリースのストックビジネス】であり、【稼働率をKPI】としている。全体の大部分を占める2017年12月以前に出店した拠点は80%超の高稼働を維持している。
両社は顧客基盤が異なるため(TKP:大手日系企業中心⇔日本リージャス:大手外資企業中心)、相互送客や共同出店が双方にとって大きなメリットとなっているが、リージャスの出店時、その一部を最初はTKP貸会議室として出店することで拠点黒字化を早めることができるという。今後は統合を一層深め、連携強化によるシナジー最大化に向けて取り組んでいく考え。
2020年2月期通期の業績予想については、売上高が前期比58.2%増の562.06億円、営業利益が同77.4%増の76.07億円、経常利益が同45.9%増の59.13億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同51.2%増の28.63億円の予想を据え置いている。
第4四半期からは台湾リージャスが連結開始となる予定で、今後は「国内フレキシブルオフィスNo.1から世界フレキシブルオフィスブランド」へのテーマのもと、海外展開を加速していく方針。成長戦略の最重要項目を「貸会議室、レンタルオフィス・コワーキングスペース、宿泊施設の3つを組み合わせて、アジアを入口に世界へTKPネットワークの急拡大」としており、新中期経営計画の最終年度である2022年2月期には最重要指標EBITDAにおける売上高比23%を目指している。(2022年2月期目標:売上高793.26億円、EBITDA183.13億円、営業利益124.71億円、経常利益119.18億円、親会社に帰属する当期純利益:64.06億円)既存事業の更なる成長に加え、今後の海外展開の加速も注目される。
《SF》
提供:フィスコ