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【経済】コラム【アナリスト夜話】:20年代のテーマに?日本的『宇宙ビジネス』の進化(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)


先週、日本政府が、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称する方向で調整に入ったと、複数のメディアが報じました。ふと目にした自衛隊の新しいポスターでは、アニメ「マクロス」の宇宙戦闘機が自衛隊のF-2戦闘機とコラボしており、宇宙進出を暗示するかのようです。昨年末も、米トランプ大統領が、陸海軍と同格の「宇宙軍」の発足を決めただけに、それなりに信ぴょう性があります。

宇宙関連事業は、最近大きく動き始めています。世界の宇宙ビジネスの市場規模はすでに40兆円程度に達しており 、2040年には100兆円~300兆円になるという推計もあります。先週、イーロン・マスクのSpaceXが、60基の衛星の打ち上げに成功し、世界最大の衛星運営会社となりました。いまやSpaceXの企業価値は10兆円超と、Teslaの時価総額9兆円を上回ったとも言われています 。

2000年代初頭は、「ロケット・サイエンティスト」たちが金融業界に流出しました。ところが最近の金融界の変調で、再び、科学者があるべき場所に戻っていることも関係しているのかもしれません。

近年は、米国に加え、中国の成長が顕著です。18年に衛星打ち上げ数では世界一となり、関連する企業も19年中に3倍に急増しました。中には 21歳のロケット設計者がCEOを勤めるベンチャーも名を連ね、ポテンシャルの高さを感じます。

一方、日本の民間はこの分野で出遅れている印象があります。昨年、「ホリエモン・ロケット」が民間初のロケット打ち上げに成功しましたが、日本の民間宇宙ベンチャーはまだ 20~30社程度にとどまっています。

しかし、日本は電子機器メーカーが強かった名残で、探査装置類や、衛星による惑星観測などに一日の長があるようです。衛星の打ち上げ過ぎで大気圏外を汚す宇宙ゴミ(デブリ)の除去のベンチャーも世界で唯一日本にあります。

日本のようにリスクマネーが少ない国では、一か八かの衛星打ち上げ等の派手な事業は、資金的なハードルが高いかもしれません。むしろ、こうしたニッチなようで重要な民間企業が、急拡大の宇宙ビジネスでどんな成長を見せてくれるのかに熱い視線を送りたいと思います。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:1/14配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)

《HH》

 提供:フィスコ

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