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【特集】脱炭素化のカギ握る「カーボンリサイクル関連」、“パリ協定”始動で株高点火! <株探トップ特集>

2020年から温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が本格的に始動する。脱炭素社会に向けた切り札として期待される「カーボンリサイクル」とその関連銘柄に焦点を当てた。

―19年度補正予算に関連費用計上、政府の技術支援と経団連の後押しでテーマ化へ―

 15日に閉幕した国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)では、欧州各国などから石炭火力発電の利用継続を基本方針とする日本が激しい批判にさらされた。ただ、世界的に温暖化対策の強化が叫ばれるなか、トップクラスの環境技術を持つ日本が果たすべき役割は大きい。注目技術のひとつが、二酸化炭素(CO2)を炭素資源(カーボン)と捉え、これを回収し、多様な炭素化合物として リサイクルする「カーボンリサイクル」で、“パリ協定時代”を迎え関連企業に今後スポットが当たる可能性がありそうだ。

●パリ協定のCO2削減目標と大きなカイ離

 環境省が11月末に発表した2018年度の温室効果ガス排出量(速報値)によると、総排出量は前年度比3.6%減の12億4400万トン(CO2換算)となり、14年度以降5年連続で減少。これは電力の低炭素化に伴う電力由来のCO2排出量の減少や、エネルギー消費量の減少(省エネ、暖冬など)により、エネルギー起源のCO2排出量が減ったためで、13年度と比べれば11.8%減となっている。

 とはいえ、20年から本格始動する温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で、日本が掲げている『30年度の温室効果ガスの排出を13年度の水準から26%削減する』との中期目標とのカイ離は大きく、現在のペースでは目標の実現が難しい状況だ。一方、COP25では温室効果ガスの削減目標引き上げとパリ協定の詳細ルールを巡って各国の対立が続き、対策の強化が必要との内容を成果文書に盛り込んだものの義務付けまでには至らず、上積み幅も各国の判断に委ねられるなど課題は残ったまま。『世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する』としているパリ協定は厳しい船出となることが予想される。

 こうしたなか、脱炭素社会に向けた切り札として期待されているのが「カーボンリサイクル」で、13日に閣議決定された19年度補正予算に革新的環境イノベーション戦略加速プログラム(カーボンリサイクルなどを含む)として37億円が計上されるなど政府は技術開発を後押しする構え。日本経済団体連合会(経団連)は9日に打ち出した新たなイニシアティブ「チャレンジ・ゼロ」(正式名称:チャレンジ ネット・ゼロカーボン イノベーション)で、企業が取り組む技術革新を投融資などで後押しするなどとしており、これらがカーボンリサイクル関連企業の追い風となりそうだ。

●活躍が見込まれるカーボンリサイクル関連企業

 カーボンリサイクルの技術開発を巡っては、国際石油開発帝石 <1605> と日立造船 <7004> 、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が10月にCO2と水素からメタンを合成する試験設備が完成したと発表。CO2を原料にメタンを生成する「メタネーション」と呼ばれる技術の実用化を目指しており、各種試験と連続運転を19年度末まで実施する予定だ。

 また、日揮ホールディングス <1963> と宇部興産 <4208> 、出光興産 <5019> は6月に、火力発電所や工場から排出されるCO2を資源に転換する新技術開発を目的とした研究会を設立したと発表。カルシウムなどを多く含む産業廃棄物を活用し、CO2と反応させて炭酸塩化及び高付加価値化する技術の開発を目指している。

 このほかでは、東ソー <4042> が排ガス由来低濃度CO2の有用化製品への直接変換、積水化学工業 <4204> が廃棄物資源化技術開発、千代田化工建設 <6366> [東証2]がCO2を有効利用した高効率合成ガス製造技術開発、川崎重工業 <7012> が高圧CO2の化学品への変換技術開発、IHI <7013> がCO2化学吸収法/直接利用や微細藻類バイオ燃料技術開発、Jパワー <9513> が石炭火力から回収したCO2によるトマト菜園への施肥効果の実証や海洋微細藻によるカーボンリサイクル型燃料/化成品生産技術開発などに取り組む。

 これ以外にも、8月末に設立された「カーボンリサイクルファンド」に参加している東亜建設工業 <1885> 、ユーグレナ <2931> 、デンカ <4061> 、三菱ガス化学 <4182> 、JSR <4185> 、三菱ケミカルホールディングス <4188> 、AGC <5201> 、住友大阪セメント <5232> 、住友重機械工業 <6302> 、荏原製作所 <6361> 、東京産業 <8070> などの動向が注目される。

●アンモニアによる水素製造企業にも注目

 脱炭素化を進めていくうえでは、クリーンエネルギーである水素の利用も欠かせない。水素エネルギーを本格的に活用するには輸送や貯蔵などの効率性が課題となっており、水素をアンモニアや液化水素、有機ハイドライドなどのエネルギーキャリアに変換する必要がある。なかでも成分中に水素を多く含むアンモニアは、室温かつ10気圧程度の条件で容易に液体となることから貯蔵や運搬がしやすいといった面を持つ。また、肥料や化学原料として流通しているため、既に輸送インフラが整っていることも他の方法に比べた利点となる。

 澤藤電機 <6901> は18年に、岐阜大学と共同開発したプラズマを用いた水素製造装置「プラズマメンブレンリアクター(PMR)」の高出力化に成功。PMRにより、アンモニアから99.999%の高純度水素を毎時150リットル製造することが可能となった。また、同社は今年11月には、木村化工機 <6378> 及び岐阜大学と世界で初めて低濃度アンモニア水から高純度水素を製造し、燃料電池で発電することに成功したことを明らかにした。

 日揮HDは18年に産業技術総合研究所などと共同で、再生可能エネルギーによる水の電気分解で製造した水素を原料とするアンモニアの合成、及び合成したアンモニアを燃料としたガスタービンによる発電に成功している。

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