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【特集】藤代宏一氏【強い日経平均、2万3000円台は最後の買い場か?】(1) <相場観特集>

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

―米中協議の部分合意接近の観測でリスクオン環境継続中―

 週明け25日の東京株式市場は、前週末の米国株高を受け朝方からリスクを取る動きが優勢となり、日経平均株価は続伸となった。9月、10月相場の急上昇で到達した2万3000円台だが、11月相場のもみ合いを経て“高所恐怖症”からはだいぶ解放された感がある。こうなると、2万4000円台へのチャレンジがあるのかどうかに投資家の関心が高まるところ。第一線で活躍する市場関係者に年末に向けた相場の見通しと勘所を聞いた。

●「日経平均2万3700~2万3800円の年末高も」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

 日経平均は8月末に2万円割れに接近後、11月上旬には2万3500円台まで上昇した。景気回復のサインを一番最初に織り込む上昇局面はいったん終わっただろう。半導体市場の底打ちにみられる世界景気の回復期待を背景に株価は上昇した。しかし、いまのところ明確な回復に転じたのは半導体に限られ広がりには欠けている。

 今後のシナリオは、ひとつには半導体の回復が設備投資の増加につながり産業機械などの需要増へと波及していくというものだ。もうひとつは、回復は半導体にとどまり息切れしてしまうというシナリオだ。このどちらに向かうかで株価の方向性も決まる。

 今後の展開として、6割程度の確率で前者の波及シナリオに向かうと見ている。株価も往来局面を経て再度、上昇基調になると予想している。足もとで米国の11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や同マークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)は堅調な内容となっている。12月初頭に発表される米11月ISM製造業景況感指数が底堅ければ、市場からのポジティブ反応も期待できるだろう。

 こうしたなか、年末までの日経平均のレンジの上値は2万3700~2万3800円を予想する。2万3500円台の高値更新は期待できるだろう。今後、半年程度を視野に入れれば2万4000円台もあり得ると思う。個別セクターでは、消費関連に近い分野は弱いが、半導体や機械 など資本財は堅調な値動きが期待できるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

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