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【特集】C&R社 Research Memo(4):25.8万人超のプロフェッショナル人材ネットワークを構築し、サービス提供

C&R <日足> 「株探」多機能チャートより

■会社概要

4. 特徴と強み
クリーク・アンド・リバー社<4763>の事業の特徴は、プロフェッショナル分野に特化した請負、派遣・紹介サービスやライツマネジメント事業を展開していることにあり、一般的な人材サービス会社とは異なると弊社では考えている。

(1) プロフェッショナル分野を対象に事業を展開
同社が定義するプロフェッショナルとは、1)世界中で活躍できる職種、2)機械では代替できない職種、3)知的財産が蓄積される職種、の3条件を満たすものとなる。これら3条件を当てはめて展開しているのが、テレビ・映画制作、ゲーム、Web、出版等のクリエイティブ分野のほか医療、VR、IT、法曹、会計、建築、ファッション、シェフ、ドローン、舞台芸術等の合計15分野となる。また、2019年に入って新たにリサーチャー(研究開発支援者)・エージェンシー事業やプロフェッショナル語学サービスも開始している。業績の安定性という観点から見ると、幅広いプロフェッショナル分野を事業対象にしているため、景気下降局面でも比較的悪影響を受けにくい収益構造になっていることが特徴と言える。

(2) 制作スタジオの設置によりグループ内にノウハウを蓄積
人にノウハウが蓄積されていくだけでなく、そのノウハウを組織全体で共有化しながら深掘りし、他分野へ展開していくことで、クライアント企業に対してより良い提案やサービスの向上につなげている。主力のクリエイティブ分野では、東京(テレビ、ゲーム、Web、VR、YouTube)、名古屋(アミューズメント)、大阪(ゲーム)にスタジオを保有し、合計約800名(2019年8月時点)の体制で各業務に従事している。

顧客企業で仕事を完了したプロフェッショナルが、就業先でのニーズなどを共有し、他の顧客企業から戻ってきたプロフェッショナルと次の企画提案を共同で練る。同社はこれを「インソーシング」と定義し、新規受注案件の獲得に生かしている。プロフェッショナルの思考の幅が広がり、1社だけの経験では得られない効果や付加価値の高い提案が可能となり、競合他社との差別化要因となる。この好循環の仕組みによって、テレビやゲーム業界で多数のクライアント企業を獲得しているほか、ここ最近ではWeb制作において官公庁等から大型案件を受注するケースも増えてきている。

(3) 大きなネットワーク
同社に登録しているプロフェッショナル人材のネットワークは、2019年4月時点で25.8万人に達している。主力のクリエイティブ分野では、クリエイター8.5万人、顧客数で5千社のネットワークを構築している。このうちテレビ分野では、同社ネットワークに参加するクリエイターが関与した番組が、全テレビ番組の45%に達するなど圧倒的な存在感を示している。またゲーム分野では、自社開発タイトルの制作・運用のほか、大手プラットフォーム企業やパブリッシャー、中国企業等との共同開発案件も多数手掛けている。

医療分野では、国内の勤務医(研修医含む)約19万人のうち、約52%を占める10万人が同社サービス(医師向け転職情報サイト「MediGate」、医学生・研修医向けの臨床研修支援サービス「レジナビ」等)に登録し、顧客となる医療施設数は1.3万施設となっている。同社では医学生のためのレジナビフェア(臨床研修指定病院合同説明会)を全国規模で開催しており、その際に医学生が「レジナビ」に登録するため、登録会員獲得のための広告宣伝費を抑制することができ、同事業の利益率の高さの一因にもつながっている。また、勤務医については平均3年で転職することから、毎年一定の需要が見込まれ収益の安定性も高い。

その他の分野についても、年々、人材ネットワークは拡大しており、IT分野ではSEを中心に4千人、法曹分野では弁護士や法務・知財部員等で1.19万人、会計分野では公認会計士・税理士等で4.2万人が同社ネットワークに登録している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SF》

 提供:フィスコ

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