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【特集】MaaS時代のラストワンマイル、「超小型EV」が描く未来図と関連株 <株探トップ特集>

次世代交通サービス「MaaS」での目的地到達する最後の区間“ラストワンマイル”を担う乗り物として超小型EVが注目されている。市場の関心は必然的に関連銘柄に向かうことになろう。

―「Society5.0」実現の一翼を担う、政府支援のもとトヨタを軸に動き出す―

 次世代交通サービス「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」でのラストワンマイル(目的地に到達する最後の区間)を担う乗り物として、軽自動車よりも一回りサイズの小さい超小型の電気自動車(EV)への関心が高まっている。経済産業省が2020年度概算要求に超小型EVの導入支援を盛り込むなど、政府は未来社会“Society5.0”実現に向けて普及を後押しする構え。4日に閉幕した東京モーターショーでは多くの超小型EVが展示され、新たなトレンドとなる兆しをみせており、関連銘柄に注目してみたい。

●未来の街乗りEVに関心

 国土交通省によれば、MaaSとは出発地から目的地までの移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに提供するなど、移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念。具体的には、鉄道やバス、タクシー、レンタカーといった従来の交通サービスと、カーシェアリング、自転車シェアリング、配車サービス、自動運転などの新しい交通サービスを統合し、ひとつのスマートフォンアプリでルート検索、予約、決済を行えるようにすることで、利便性の向上やリーズナブルな移動の実現につなげることをいう。

 ここで問題となるのがラストワンマイルだ。地方では鉄道やバスなどの交通手段が人口減少によって路線廃止となる恐れがあり、今後は移動の自由を確保することが難しくなることが予想される。また、数キロ程度の近所に移動する場合、現状では原付バイクや自動車を利用するケースが多いとみられるが、最近ではガソリンスタンドが減少し、燃料補給に不便さや不安が出てきていることもある。こうした問題を解決する手段となり得るのが超小型EVで、スピードが抑えられ、小回りが利くことから、免許取りたての人や高齢者でも運転がしやすいことや充電すればすぐ乗れる点などが注目されている。

●トヨタは20年冬頃に発売予定

 トヨタ自動車 <7203> は東京モーターショーに出展した超小型EVを20年冬頃に発売する予定だ。これは2人乗りで買い物など日常の近距離移動を想定しており、普及に向けてセブン&アイ・ホールディングス <3382> 傘下のセブン-イレブン・ジャパンや三井不動産 <8801> など約100の企業や自治体と連携することを明らかにしている。子会社のトヨタ車体は既に1人乗りの超小型EV「コムス」を販売しており、選択肢が増えることで市場拡大に弾みがつきそうだ。

 同じく東京モーターショーに新型の超小型EV「イーランナー ULP1」を出展したタジマモーターコーポレーション(東京都中野区)は10月、出光興産 <5019> と次世代モビリティ及びMaaSビジネスモデルの共同開発に関する覚書を締結したと発表。出光が持つガソリンスタンド網や素材開発のノウハウと、タジマモーターが有するEVなど車両開発の知見を掛け合わせ、新しいモビリティ社会の共創を目指すとしている。

 超小型EV「FOMM ONE」を展示したFOMM(川崎市)は17年に船井電機 <6839> と資本・業務提携を結んでおり、小型EVの共同開発を推進。今年1月に米国ラスベガスで開催された家電見本市「CES2019」では、EVのコンセプトスポーツカーを展示した。また、船井電機は今年10月に自動車用ろ過機器メーカーのROKI(浜松市)と次世代モビリティビジネス領域で業務提携しており、今後の展開に期待したい。

 海外メーカーでは中国の南京嘉遠特殊電動車両製造(ジアユエン)などが出展。アップルインターナショナル <2788> [東証2]は今年3月にジアユエンから超小型EVの日本での独占販売権を取得しており、10月から販売を本格化している。

●ヤマハ発は公道実験をスタート

 これ以外では、ヤマダ電機 <9831> が18年12月に、次世代電池の設計・開発を手掛けるスリーダム(横浜市)とEVのリースなどを手掛ける合弁会社を設立。次世代モビリティビジネスの構築を加速する考えだ。

 ヤマハ発動機 <7272> は7月から静岡県磐田市内で低速自動運転EVを用いた公道実験をスタートし、高齢者や過疎地域の交通課題の解決を目指す。

 過去に小型EVによるカーシェアローミングサービスを実施した経緯があるジョルダン <3710> [JQ]、ユビテック <6662> [JQ]、日本ユニシス <8056> も関連銘柄として挙げられる。

●インホイールモーター関連にも注目

 車体の小さい超小型EVでは今後、車内空間を有効活用できるインホイールモーターを採用する動きが進む可能性がある。インホイールモーターとは、ホイールに内蔵した電気モーターで、タイヤを直接駆動するシステム。動力の伝達効率や応答性に優れているほか、車体設計の自由度が向上するなどのメリットがある。

 NTN <6472> は03年から次世代EV用にインホイールモーター駆動システムの研究開発に着手し、18年4月には中国の自動車設計・製造メーカーであるFSAT社とライセンス契約を締結。インホイールモーターの量産化を技術支援することで、同社は23年に年間約70億円の技術ライセンス収入を見込んでいる。

 シンフォニア テクノロジー <6507> は14年に高効率インホイールモーターを開発。今年5月にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2019」に出展するとともに、量産を開始していることを明らかにした。

 直近では日本精工 <6471> が10月、東京大学、ブリヂストン <5108> 、ローム <6963> 、東洋電機製造 <6505> と共同で、道路からインホイールモーターに直接、走行中給電できる「第3世代 走行中ワイヤレス給電インホイールモーター」を開発し、実車での走行実験に成功したと発表。今後は、現在の参画メンバーにとどまらず、他の組織・企業が持つさまざまな領域での知見を広く取り入れながら、25年に実証実験フェーズへの移行を目指すとしている。

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