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【特集】すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 某OL(emi)さんの場合-最終回
3年で億り人になったのは、現物株投資を強化させるオプション戦略が貢献
登場する銘柄(戦略名)
カバードコール戦略
筆者:福島由恵
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
某OL(emi)さん(ハンドルネーム・女性)のプロフィール:
女性の兼業投資家。2018年に退職して専業投資家に転身後、現在は自身のペースによりフリーランスのスタイルで仕事をする。投資を本格的に始めたのは2008年、最初の本格投資の対象が日経225のオプション取引という異色の投資人生を歩み始める。日経平均株価が大きなトレンドが出にくい状況に対応した戦略が奏効、わずか3年後には「億り人」に。14年頃からは日本株の個別株投資を本格化させ、現在は守り主眼で株主優待株やバリュー株、値上がり益狙いで新興・成長株を売買しながら、リスクヘッジでオプションを活用。個別株投資では業績の変化や、日常の報道番組から消費者に広がるブームを先取りする方法などを取る。
女性の兼業投資家。2018年に退職して専業投資家に転身後、現在は自身のペースによりフリーランスのスタイルで仕事をする。投資を本格的に始めたのは2008年、最初の本格投資の対象が日経225のオプション取引という異色の投資人生を歩み始める。日経平均株価が大きなトレンドが出にくい状況に対応した戦略が奏効、わずか3年後には「億り人」に。14年頃からは日本株の個別株投資を本格化させ、現在は守り主眼で株主優待株やバリュー株、値上がり益狙いで新興・成長株を売買しながら、リスクヘッジでオプションを活用。個別株投資では業績の変化や、日常の報道番組から消費者に広がるブームを先取りする方法などを取る。
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女性投資家の億り人、某OL(emi)さん(ハンドルネーム、以下、某OLさん)が資産を膨張させる原動力となったのが、ほぼ独学で習得したというオプション取引だ。
オプション取引は、相場に上下のトレンドが出にくい時期でも、上手に戦略を使いこなせば儲けが出せるメリットがある取引手法となる。実際、某OLさんがオプション取引で資産7倍化を実現させたのは、2008年~11年の頃とアベノミクス相場に入る前の日本株・冬の時代だった。
オプション取引は馴染みがない人もいるので、前回は特別編として野村證券出身の國宗利広さんから基礎知識を伝授してもらった。今回はいよいよ某OLさんの取引について紹介する。中でも戦略の中核に据えていた「カバードコール戦略」について触れていく。
やや難解な部分もあるが、現物株投資をしている投資家にとって、収益を上乗せできる要素がある投資法だ。具体例と共に見ていこう。
「なぜ損をしたのか」を調べるうちに、ためになるブログを発見
某OLさんが投資で億の資産を築いたのには、投資の勉強を熱心に積み重ねてきた姿勢がある。誰しも楽して儲けたいと思う気持ちはあるが、投資に限らず仕事だろうが趣味だろうが、楽して成果を上げられるほど、世の中は甘くない。
本コラムで紹介してきた全てのすご腕投資家さんたちは、失敗を糧に勉強、努力を重ねて腕を磨き、その結果、念願の億り人の地位を獲得してきた。某OLさんが一般に「難しい」とされるオプション取引で資産7倍化という大成功を収めた背景には、「リーマン・ショックで大損した」という苦々しい経験があった。
某OLさんがオプション取引に取り組むきっかけは、第1回の記事で紹介したように、いつかは海外移住したいという思いもあってFX(外国為替証拠金)取引を始めたことだ。それから経済ニュースに興味を持ち、「プットの売り」を活用した「ターゲットバイイング」というオプション取引の手法があることを知る。その後、自分なりにオプションのコツをつかみ、取引にハマっていった。
本人いわく、始めた当初は「基本的なセオリーや仕組みも押さえていない状態」だったが、戦略に相場環境がフィットしたこともあって利益を生むことができ、ポジションをそれほど膨らめない状態で様子を見ながら流れに乗っていった。そして、為替の動きを対象とするFXではなく、オプション取引、中でも日経225オプションに本格的に興味の対象をシフトさせた。
そのタイミングは2008年、米国発のサププライムローン問題で、相場に暗雲が立ち込めていた頃だ。何度も紹介しているように、オプションは多彩な戦略を組むことができ、必ずしも相場が上げ基調でなくても利益を出す方法はある。某OLさんも、その特徴を生かし、市場がパッとしない中でも利益を重ねることができた。
だがそこに100年に1度といわれる相場の大異変が襲う。2008年9月にリーマン・ショックが起こると、某OLさんも大暴落のダメージを思いっきり食らい、それまで積み上げてきた利益をここで一気に吹き飛ばしてしまった。相場が冴えない時でも利益を出す戦略があるオプション取引といえども、異常事態には容易に太刀打ちできるほど万能ではない。
リーマン時にも稼いだ猛者の手法を必死で勉強
それでも、某OLさんはくよくよして投資から逃げ出すようなことはせず、なぜそのような損失を招いたのか、そのメカニズムを知りたいという気持ちがこみ上げてきた。
以降、想定外の損失を生んでしまった理由を調べるために、オプション取引について書かれたネット記事やブログで関連の書き込みを探していく。そうするうちに、リーマン・ショックのような大暴落時でも、しっかり儲けをさらっていった猛者のブログに遭遇したのだ。
某OLさんは、生煮え状態の知識にもかかわらず、ヘッジファンドや機関投資家が牛耳るオプション取引に乗り出した自らの行動を反省。今度はこの失敗をバネにゼロから学ぶつもりで、その勝った人のブログを読み込み、オプションのノウハウを頭に叩き込んでいった。
この頃、担当していた仕事では昼間の時間が空きになることも多く、株式やオプションの取引時間中に次々と更新されるチャットなどを見ることができた。こうしたリアルタイムの生きた情報収集ができたのは、某OLさんに有利に働いた点だ。
優待や配当狙いの保有株をオプション資金として働かせる
こうした前向きな向学心に加え、某OLさんが短期間で億り人に登り詰めることができた背景には、もう1つ、「資金効率を上げたこと」もある。前回の特別編で解説したように、オプション取引は将来のある時点に特定の価格で「買う(ロングする)権利」と「売る(ショートする)権利」を売買する。このうち、権利の売り手に回る場合は、取引を行う証券会社に一定の証拠金を差し入れる必要がある。
某OLさんはこの証拠金に、当時株主優待や配当金狙いで長期保有することを決めていた日本株を使った。
これによって、保有する日本株は
① 優待もしくは配当金を受け取る
② オプション取引で利益を狙うための原資になる
――という2つの役割を担わせることに。
もちろん保有銘柄の株価が上がれば、値上がり益も期待できることから、万事順調にいけば「1粒で3度おいしい」という仕組みが出来上がるのだ。
オプション取引に保有株を証拠金として使えるサービスを提供する証券会社は、カブドットコム証券や松井証券などの一部にとどまる中で、某OLさんはこのサービスを提供する証券会社に口座を開き、長い目で見れば「3階建て作戦」ともいえる手法に挑んでいった。
では、某OLさんが具体的に使いこなしたオプションの技とはどのようなものなのか。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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