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【特集】すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 今亀庵さんの場合-第1回
退職金を8年で200倍の40億円、「すご過ぎる」投資家さんが駆使する“意外”な技
登場する銘柄
日本レジデンシャル投資法人(現アドバンス・レジデンス投資法人<3269>)、Jトラスト<8508>
「退職金を元手に、8年で資産を200倍の40億円に拡大したすご過ぎる腕の持ち主」――。今回登場するのは、こんな夢のような話を実現させ、個人投資家の間から熱い注目を浴びる今亀庵さん(ハンドルネーム)だ。
今亀庵さんが会社を退職して3000万円の退職金を得たのは2008年夏。リーマン・ショックで「100年に1度の危機」と言われる相場の大暴落に見舞われる直前のことだった。当時は割安と思えるお宝銘柄がゴロゴロしていたことに加え、手元資金もそれなりにある。
好条件が2つ揃ったところで、投資に本腰を入れることに。リーマン・ショック直後の09年頃から、3000万円の退職金のうち2000万円をREIT(不動産投資信託)銘柄に集中投入した。これが、後に保有資産を200倍の40億円に拡大する快進撃の始まりだった。
米国での大学生時代から積み重ねてきた経験と知識が土台
ここだけを切り取ると「退職金の3分の2を投資につぎ込むのは、リスク無視の無謀な取り組み」「たまたま上がったから、良かっただけのこと」というような印象を持ってしまうかもしれない。『株探』プレミアム取材班も、率直に言ってそうした先入観を片隅に抱えながら取材に臨んだ。だがよくよく話を聞いてみると、それは大きな思い違いだったと判明する。
「資産200倍」を成し遂げた快挙の裏には、学生時代から蓄積してきた投資理論の知識と実践経験に基づくノウハウが土台として築かれていたことがある。その投資法の真髄は、
――というものだ。
今亀庵さんを取材して印象に残ったのが、上の②に挙げた「常識を疑う」姿勢だ。後ほど触れるリーマン・ショック直後のJ-REIT銘柄への投資はその典型。当時は不動産市況が底なし的に悪化するという常識が支配していたが、今亀庵さんの判断はそれに与しなかった。
それと同じように足元でも東京オリンピック後に不動産市況が悪化するという考えが支配的だが、今亀庵さんは「違う」と見る。こちらについては別の回に紹介する。
繰り返しになるが、世の常識に安易に流されず、自分の頭で考えた理屈を基に決断してきたが故に、資産200倍化は偶然よりも必然を多く含んでいる、といえる。今亀庵さんのシリーズでは、「反常識」の投資人生の軌跡を4回にわたって紹介していく。今回は退職後から直近までの歩みと、退職直後にわずか1年で億り人になった銘柄選択の技を中心に紹介する。
退職後は一気に億り人、さらにアベノミクス相場で40億円を達成
まずは退職後の投資の歩みについて振り返っていこう。それは下の図にあるように、大きく5期に分かれる。第1期は退職した翌年の09年から10年頃。わずか1年ほどで運用資産は2000万円から1億5000万円まで一気に拡大した時期で、その原動力になったのがREIT(不動産投資信託)銘柄だった。「200倍化」に向けた弾みが付いた「黎明」期に当たる。
■今亀庵さんが退職後に歩んだ「資産200倍化」の軌跡
第2期は10~12年頃。投資対象をREIT銘柄から日本株の割安成長株に振り替えるも、景気のピークアウトや超円高の進行などで全体相場が停滞していた影響もあり、運用資産は1億円と2億円の間をいったりきたりしていた。次に訪れることになる爆騰に向けた「雌伏」の時期に当たる。
第3期は12~15年頃。アベノミクス相場の追い風もあり、運用資産が1億5000万円程度から20億円と10倍以上、当初の2000万円から100倍に爆騰した時期だ。その中核になった銘柄の代表格が、総合金融グループのJトラスト <8508> などになる。
この成功で20億円のうち半分の10億円で自宅やセカンドハウスを購入。相続対策や資産保全の対策を進めると共に、残りの10億円は引き続き日本株投資に回した。これまでの投資人生で築き上げてきた手法が花開いた「開眼」の時期に当たる。
ワンランク上の老後生活を歩むという当初の目的を達成したが、これで投資人生を終える気持ちはなかった。「投資そのものが、好きなんです」と本人は笑う。
■Jトラスト <8508> の月足チャート
アベノミクス相場の追い風が薄れた中で40億円を達成
第4期は15~17年頃。大規模金融緩和を原動力としたアベノミクス相場が一服し、割安成長株も減ってきた。一方で、チャイナ・ショックなどの対外要因が重しになり、全体相場は乱高下した時期だ。
相場の変化に対応するため、ストップ高など株価のモメンタムの有無を注目するなど、銘柄選びに工夫を施す「変革」期となった。その取り組みが奏功し、相場が大きく荒れる中で今亀庵さんの運用資産は10億円から30億円と3倍に拡大、不動産を含む保有資産が40億円に達した。
第5期は17年以降。17年は相場が上昇基調を取り戻したが、18年から米中貿易摩擦や世界景気の減速など懸念要因が加わる中で強気と弱気が交錯し、もみ合いが続く環境に。リスクを取りにくい環境に変わったことで、東証マザーズ指数は18年初の約1350ポイントから足元は900ポイント弱と35%ほど下がっている。今亀庵さんの運用資産も30億円から20億円と3分の2水準に縮小し、「忍耐」の時期になっている。
■日経平均株価の月足チャート
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
では、資産200倍化の起爆となった第1期のJ-REIT投資について紹介しよう。先に触れたように、この時期にJ-REITを選んだのはファンダメンタルズを研究し、常識や感情に流されず、理屈を重視する今亀庵流の精髄が見られる。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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登場する銘柄
日本レジデンシャル投資法人(現アドバンス・レジデンス投資法人<3269>)、Jトラスト<8508>
筆者:福島由恵
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
今亀庵さん(ハンドルネーム・60代・男性)のプロフィール:
リーマン・ショック直後の2009年から、退職金から2000万円をREITに投入してわずか1年で億り人に。その後、割安日本株に集中投資、アベノミクス相場の追い風もあり保有資産を最大40億円(不動産を含む)にまで膨らませた「すご過ぎる」腕の持ち主。運用資産を200倍に膨張させたのは退職後だが、投資は大学生時代から経験を積み重ねてきた超ベテランの投資家だ。株で稼いだ利益で10億円の不動産を購入後も日本株投資を続け、足元の運用資産は20億円になる。
リーマン・ショック直後の2009年から、退職金から2000万円をREITに投入してわずか1年で億り人に。その後、割安日本株に集中投資、アベノミクス相場の追い風もあり保有資産を最大40億円(不動産を含む)にまで膨らませた「すご過ぎる」腕の持ち主。運用資産を200倍に膨張させたのは退職後だが、投資は大学生時代から経験を積み重ねてきた超ベテランの投資家だ。株で稼いだ利益で10億円の不動産を購入後も日本株投資を続け、足元の運用資産は20億円になる。
「退職金を元手に、8年で資産を200倍の40億円に拡大したすご過ぎる腕の持ち主」――。今回登場するのは、こんな夢のような話を実現させ、個人投資家の間から熱い注目を浴びる今亀庵さん(ハンドルネーム)だ。
今亀庵さんが会社を退職して3000万円の退職金を得たのは2008年夏。リーマン・ショックで「100年に1度の危機」と言われる相場の大暴落に見舞われる直前のことだった。当時は割安と思えるお宝銘柄がゴロゴロしていたことに加え、手元資金もそれなりにある。
好条件が2つ揃ったところで、投資に本腰を入れることに。リーマン・ショック直後の09年頃から、3000万円の退職金のうち2000万円をREIT(不動産投資信託)銘柄に集中投入した。これが、後に保有資産を200倍の40億円に拡大する快進撃の始まりだった。
米国での大学生時代から積み重ねてきた経験と知識が土台
ここだけを切り取ると「退職金の3分の2を投資につぎ込むのは、リスク無視の無謀な取り組み」「たまたま上がったから、良かっただけのこと」というような印象を持ってしまうかもしれない。『株探』プレミアム取材班も、率直に言ってそうした先入観を片隅に抱えながら取材に臨んだ。だがよくよく話を聞いてみると、それは大きな思い違いだったと判明する。
「資産200倍」を成し遂げた快挙の裏には、学生時代から蓄積してきた投資理論の知識と実践経験に基づくノウハウが土台として築かれていたことがある。その投資法の真髄は、
① | 企業業績などのファンダメンタルズをじっくり分析し、 |
② | 常識を疑い、 |
③ | 理屈を基に割安水準の銘柄を選び、 |
④ | 長期的な視野で利益の獲得を期待する |
――というものだ。
今亀庵さんを取材して印象に残ったのが、上の②に挙げた「常識を疑う」姿勢だ。後ほど触れるリーマン・ショック直後のJ-REIT銘柄への投資はその典型。当時は不動産市況が底なし的に悪化するという常識が支配していたが、今亀庵さんの判断はそれに与しなかった。
それと同じように足元でも東京オリンピック後に不動産市況が悪化するという考えが支配的だが、今亀庵さんは「違う」と見る。こちらについては別の回に紹介する。
繰り返しになるが、世の常識に安易に流されず、自分の頭で考えた理屈を基に決断してきたが故に、資産200倍化は偶然よりも必然を多く含んでいる、といえる。今亀庵さんのシリーズでは、「反常識」の投資人生の軌跡を4回にわたって紹介していく。今回は退職後から直近までの歩みと、退職直後にわずか1年で億り人になった銘柄選択の技を中心に紹介する。
退職後は一気に億り人、さらにアベノミクス相場で40億円を達成
まずは退職後の投資の歩みについて振り返っていこう。それは下の図にあるように、大きく5期に分かれる。第1期は退職した翌年の09年から10年頃。わずか1年ほどで運用資産は2000万円から1億5000万円まで一気に拡大した時期で、その原動力になったのがREIT(不動産投資信託)銘柄だった。「200倍化」に向けた弾みが付いた「黎明」期に当たる。
■今亀庵さんが退職後に歩んだ「資産200倍化」の軌跡
第2期は10~12年頃。投資対象をREIT銘柄から日本株の割安成長株に振り替えるも、景気のピークアウトや超円高の進行などで全体相場が停滞していた影響もあり、運用資産は1億円と2億円の間をいったりきたりしていた。次に訪れることになる爆騰に向けた「雌伏」の時期に当たる。
第3期は12~15年頃。アベノミクス相場の追い風もあり、運用資産が1億5000万円程度から20億円と10倍以上、当初の2000万円から100倍に爆騰した時期だ。その中核になった銘柄の代表格が、総合金融グループのJトラスト <8508> などになる。
この成功で20億円のうち半分の10億円で自宅やセカンドハウスを購入。相続対策や資産保全の対策を進めると共に、残りの10億円は引き続き日本株投資に回した。これまでの投資人生で築き上げてきた手法が花開いた「開眼」の時期に当たる。
ワンランク上の老後生活を歩むという当初の目的を達成したが、これで投資人生を終える気持ちはなかった。「投資そのものが、好きなんです」と本人は笑う。
■Jトラスト <8508> の月足チャート
アベノミクス相場の追い風が薄れた中で40億円を達成
第4期は15~17年頃。大規模金融緩和を原動力としたアベノミクス相場が一服し、割安成長株も減ってきた。一方で、チャイナ・ショックなどの対外要因が重しになり、全体相場は乱高下した時期だ。
相場の変化に対応するため、ストップ高など株価のモメンタムの有無を注目するなど、銘柄選びに工夫を施す「変革」期となった。その取り組みが奏功し、相場が大きく荒れる中で今亀庵さんの運用資産は10億円から30億円と3倍に拡大、不動産を含む保有資産が40億円に達した。
第5期は17年以降。17年は相場が上昇基調を取り戻したが、18年から米中貿易摩擦や世界景気の減速など懸念要因が加わる中で強気と弱気が交錯し、もみ合いが続く環境に。リスクを取りにくい環境に変わったことで、東証マザーズ指数は18年初の約1350ポイントから足元は900ポイント弱と35%ほど下がっている。今亀庵さんの運用資産も30億円から20億円と3分の2水準に縮小し、「忍耐」の時期になっている。
■日経平均株価の月足チャート
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
では、資産200倍化の起爆となった第1期のJ-REIT投資について紹介しよう。先に触れたように、この時期にJ-REITを選んだのはファンダメンタルズを研究し、常識や感情に流されず、理屈を重視する今亀庵流の精髄が見られる。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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