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【特集】IT技術で法律の世界も様変わり、扉を開く「リーガルテック」関連株 <株探トップ特集>

ITを活用して法律に関する業務を効率化する「リーガルテック」への関心が高まっている。米国に後れをとる日本でもベンチャーやスタートアップが日増しに増加傾向にある。

―2023年に市場規模5割超の拡大へ、関連銘柄にビジネスチャンス拡大期待―

 法律に関連する業務をITによって効率化する「リーガルテック」への関心が高まっている。リーガルテック先進国の米国では、契約ライフサイクル・マネジメントのアイサーティス社のように、企業価値が10億ドルを超える非上場企業「ユニコーン」も登場しているが、周回遅れと言われていた日本でも近年、デジタル化の進展や働き方改革、ペーパレス化の流れからリーガルテックベンチャーやスタートアップが増えつつある。また、それに伴い既に上場している関連銘柄も存在感を増している。

●大手法律事務所がリーガルテックベンチャーに出資

 「リーガルテック」とは、リーガル(法律)×テクノロジーのことで、人工知能(AI)などのIT技術を活用した法務業務向けサービスをいう。一般的に法務の現場では書類作成や顧客連絡などの業務が多く、ここにITを活用することで業務を効率化し、その分、顧客獲得や他のサービスに労力を振り分けることができるようになる。弁護士や司法書士、税理士、社労士などの士業(専門家)だけではなく、企業の法務部門や顧客にとっても作業や手続きの効率化につながり、メリットが大きいといわれている。

 大手法律事務所もリーガルテック分野への関心を強めており、日本を含め世界7ヵ国に拠点を持つ長島・大野・常松法律事務所(東京都千代田区)は10月21日、PKSHA Technology <3993> [東証M]関連会社でリーガルテックベンチャーのMNTSQと資本・業務提携を通じて、リーガルテック領域で協業すると発表した。MNTSQの技術は、契約書の内容を機械学習で解析し、自動で基本情報を整理しリスクのある条項を検出できるようにするもので、協業により技術強化を支援する。更に日本の法律事務所や企業法務の業務効率化に向けたビジネスも後押しする見通しだ。

●23年に市場規模は5割超の拡大へ

 矢野経済研究所(東京都中野区)が9月27日に発表した「リーガルテック市場に関する調査を実施(2019年)」によると、18年の国内リーガルテック市場(事業者売上高ベース)は前年比15.2%増の228億円と推計されている。なかでも電子契約サービスは同39.3%増の39億円で牽引役となっており、契約締結スピードの向上や契約手続きに関する工数(契約書作成、郵送に要する時間など)の削減を理由にした導入が増加基調にあるという。

 また今後は、デジタル化に向けた法改正がさまざまな分野で進んでいることを受けて、電子契約サービスをはじめとしてリーガルテックが進展しやすい環境が整っていくと見込んでおり、23年には市場規模が353億円になると予測している。今後成長が見込まれる市場で、関連銘柄のビジネスチャンスも拡大が期待されている。

●弁護士COMは関連銘柄のフロントランナー

 弁護士ドットコム <6027> [東証M]は、リーガルテック関連のフロントランナーだ。法律相談サイト「弁護士ドットコム」の運営が主力だが、注目は契約締結から管理までを可能とするクラウド型の電子契約サービス「クラウドサイン」。9月末現在の導入企業数は5万6858社に上り、業界シェアは80%超(会社側資料)に及ぶ。契約締結数も上期(4-9月)は17万2051件と第1四半期(4-6月)の14万5612件から順調に増加しているが、今後は相続登記や遺言書の作成などで、個人需要の増加も期待されている。

 加えて、7月にはリーガルテック領域における投資活動を開始すると発表した。第1弾として、契約書作成支援ツール「LAWGUE(ローグ)」を開発した日本法務システム研究所(東京都文京区)と、登記書類の作成を支援するサービス「LegalScript(リーガルスクリプト)」を手掛けるサンプルテキスト(東京都目黒区)へ出資。2社への投資を皮切りに、今後もスタートアップへの投資を継続する方針で、投資先としては既存事業との相乗効果が期待できる企業やAIなど新しいテクノロジーを活用したサービスの開発を行う企業を想定しているという。

 FRONTEO <2158> [東証M]は、テキストデータ解析に特化し専門家の“暗黙知”を学習するAI「KIBIT」を独自に開発。KIBITを搭載したeディスカバリ支援ソリューション「Lit i View E-DISCOVERY(リットアイビュー・イーディスカバリ)」で訴訟に伴う電子証拠の収集・抽出・閲覧を支援する。また、KIBITを利用したデジタル・フォレンジック(法的証拠を見つけるための鑑識調査や情報解析技術)も展開している。

 デザインワン・ジャパン <6048> は、弁護士や税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、公認会計士などさまざまな士業の専門家情報を掲載・検索できる情報提供サイト「エキテンプロ」を運営しており、毎月約13万人が利用している。20年8月期は、新規事業創出への投資を進めるため営業利益は1億5100万円(前期比64.5%減)と大幅減益を見込むが、22年8月期には3億5000万円へ回復を目指している。

●レグテック関連にも注目

 また、リーガルテック関連と合わせて、話題に上りやすいのが「レグテック」だ。レギュレーション(規制)とテクノロジーを組み合わせた造語で、企業の法令順守(コンプライアンス)の負担が増すなか、ITを利用して多様な規制への対応業務を効率化するというもの。前述のFRONTEOでは、独自のAIであるKIBITを利用して、企業が作る広告の表示審査を自動化するソリューションの提供を始めており、主に景品表示法、医薬品医療機器法(薬機法)、商標法などに対応する。

 また、ログリー <6579> [東証M]は、最近その利用について規制が検討されている、サイトを閲覧した履歴であるCookieに関して、Cookieを使用せずにユーザー属性を推定する技術を確立し、特許を取得しており注目されている。同特許は、Webページのアクセス情報からユーザーの性別・年齢などのデモグラフィック情報、興味・関心などのサイコグラフィック情報を推定する技術で、ユーザーがアクセスした際に取得できるURL、日時、端末情報などのアクセスログをパターン化し、機械学習の技術を用いて高速にユーザー属性を推定するとしており、今後規制の動きに伴い注目度が高まりそうだ。

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