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【特集】天高し、次世代テクノロジー「倍騰株スペシャル厳選5銘柄」<株探トップ特集>

全体相場は上昇一服ムードでも強い株は強い。高い技術力を武器にテーマ買いの波に乗る急騰候補を選りすぐった。

―高技術力が株価変貌をもたらす、晩秋を彩る“2倍高”期待の精鋭株に照準―

 東京株式市場は典型的な踏み上げ相場で年初来高値を上抜き、2万~2万2000円のボックス圏を突き破ってきた。全体トレンドは、昨年のボックス上限水準であった2万4000円ラインを視界に置く新たな挑戦が始まっている。

 とはいえ、10月第2週以降の急騰相場を経て足もとはさすがに日経平均の上値も重くなってきた。高値警戒感も意識される場面だが、ここはあえて目先の値動きに一喜一憂するのではなく、視点を変えてスケールの大きい相場が堪能できる天井の高い銘柄に照準を合わせてみたい。ポイントは今期の業績ではない。足もと追い風が意識される業界に属し、他社と一線を画す高い技術力を有する企業だ。

●有力テーマを背景に上値の可能性が広がる

 現在の株式市場で強いフォローウインドが吹いている投資テーマといえば、2019年のノーベル化学賞に絡み、改めてスポットライトが当たったリチウムイオン電池とその最大の需要先となり得る電気自動車(EV)。そして世界的な5G特需を背景として急速に市況回復色が強まっている半導体。これに加え、今回は再生医療分野でにわかにキーテクノロジーとして存在感を高めているバイオ3Dプリンターに着目。これら強力なテーマ物色の波に乗る材料株で、株価倍化シナリオが描ける銘柄というのが今回のトップ特集のコンセプトだ。

 目先動意含みの銘柄が多いが、大勢に影響なしといえるだけの天井の高さが特徴であり、これは視点を引いて過去のチャートをさかのぼれば合点がいく。上値に対するキャパシティの大きい銘柄をセレクト。株価復活を後押しする原動力として、次世代技術分野に足を踏み入れていることを選別の条件としている。投資家の株心が戻ってきた東京市場で、久々に夢を追える銘柄、深まる秋の中で株式投資の醍醐味を満喫したい。

●この5銘柄が株価の居どころを変える!

【カワタは車載2次電池の最強穴株、大出直り相場へ】

 カワタ <6292> は次第高の動きをみせているが、早晩上げ足が加速する可能性がある。株価は18年9月下旬に2545円の高値をつけた後、下落トレンドへの移行を余儀なくされたものの、目先底入れから約5ヵ月ぶりに中期波動の分水嶺である75日移動平均線を上抜くタイミングにある。ここは絶好の追撃チャンスとなる。同社はプラスチック成形機の周辺機器を手掛けるが、EV関連向けで強みを持つ。ノーベル賞絡みでテーマ性が再燃したリチウムイオン電池分野では、正極材の製造に際し同社のスーパーミキサー(乾式混合技術)が高い評価を獲得している。更に全固体電池分野でも活躍期待が大きい。19年度のNEDOの公募事業「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」では全固体電池量産化に役立つ技術開発の実施予定先として採択されている。20年3月期は営業26%減益予想ながら、これについては織り込み済み。ベトナムへの展開を強化し、来期業績は急回復の公算大。PER6倍弱、PBR0.7倍と株価指標面から割安感も際立っている。

【クラスターはバイオ3Dプリンターで大化けも】

 クラスターテクノロジー <4240> [JQG]は、500円台後半でフラッグ型のチャートが煮詰まり規制解除日を待っていたかのように一気に噴き上げてきた。9月中旬に突発的に連日ストップ高を演じ、その後も驚異的な瞬発力で上ヒゲとはいえ740円台まで駆け上がった。あっという間の倍騰劇だが、その後の調整によって火種が消えたわけではない。樹脂製の精密部品を手掛けるが微細加工などその高度な技術力にスポットライトが当たっている。とりわけ細胞を積み重ねて人工的な組織を作り出すバイオ3Dプリンター関連として株価の変貌素地を内包している。バイオ3Dプリンターは今後、再生医療の一翼を担うとみられるだけに抜群のテーマ性を持つが、同社が手掛けるパルスインジェクター(PIJ)は熱の発生を伴わず生体材料に応用が利くことで、同商品分野のキーテクノロジーとなることが有力視される。このPIJについては、展示会や技術紹介の専門サイトなどを通じたアプローチにより大学の研究室や企業の研究開発機関へのフォローアップを強化、今後の需要獲得が期待される状況にある。

【タツモは半導体復権に乗る、株式需給にも思惑】

 タツモ <6266> は上値指向の強い波動を形成しているが、ここからが本領発揮場面といえよう。株式需給面では信用取組が売り買い拮抗、日証金でも株不足状態にあるなど上値が軽い。17年6月に2548円の高値をつけており戻り余地は大きい。ウエハー搬送装置などの半導体製造装置を主力とし、半導体関連株復権の流れに乗る。19年12月期は大幅減益予想ながら、メモリー市況の底入れ接近観測が出るなか業績は今期を底にV字回復に向かう可能性が強く意識されている。最先端のチップ貼合・剥離装置など製品開発力に優れている点もポイント。17年には紫外線照射装置メーカーで「紫外光源」のパイオニアとして独自技術が評価されるクォークテクノロジーをM&Aにより傘下に収めており、展開力を増している。また株主構成にも思惑があり、今年6月には米系ヘッジファンドがタツモの株式を大量取得するなどマーケットの注目を集めた経緯がある。信用取組は売り長で日証金では株不足状態で直近は逆日歩がついている。

【ADプラズマは大勢底入れ初動で上値余地大】

 アドテック プラズマ テクノロジー <6668> [東証2]は急速に水準を切り上げてきたものの、中長期波動をみれば大勢底入れの初動、株価3ケタ台のうちはどこを買っても報われそうだ。同社は高周波プラズマ電源装置のトップメーカー。半導体向けを主力に高水準のニーズを取り込んでいる。プラズマ発生装置やプラズマ処理装置、マイクロ波プラズマ発生装置の共振器など数多くの国内特許権を有し、米国をはじめ、欧州・アジアなど海外でも複数の特許権を獲得している。ここにきて半導体市況は世界的に底入れの動きが観測されており、同社の収益機会回復が見込まれている。会社側でも「受注は前19年8月期の第2四半期(12-2月)に底入れした形となっている」という。プラズマ装置は医療機器向けにも注力、子会社を通じ加速器用大型電源やプラズマガスを患部に照射する医療用機器などで受注実績を重ねている。20年8月期業績は営業利益段階で前期比25%増の7億1000万円を見込むが、大幅な増額修正余地がある。

【Mipoxは「SiC・GaN」研磨で新境地】

 Mipox <5381> [JQ]は10月上旬に戻り高値を形成、ひと押し入れて切り返す展開にあるが、ここから物色人気が本格化しそうだ。年初来高値401円を上抜けば、滞留出来高の希薄なゾーンに突入し勢いづく公算が大きい。シリコンカーバイド(SiC)やガリウムナイトライド(GaN)を使用した次世代パワー半導体が注目されている。次世代パワー半導体は電子機器の小型化・高効率化で優位性を持っており、今後はデータセンターやEV向けで需要拡大が必至とみられている。更に、来年以降加速する5G基地局整備では、超高速・多数同時接続の通信を実現させる「高周波デバイス」分野で新たな需要が創出される。そうしたなか、半導体ウエハーなど微細表面加工の液体研磨剤を展開する同社は、付加価値の高い「SiC・GaN」関連の受託研磨で需要取り込みが必至とみられる。今20年3月期に営業黒字化見通しにあるが、次世代パワー半導体市場の拡大が反映される来21年3月期以降、収益飛躍期に入る。

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