【市況】明日の株式相場戦略=ソフトバンクGとコロプラの存在感
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
きょうの大引け時点の東証1部の騰落レシオは141%とかなりの過熱領域に足を踏み入れている。振り子の原理と一緒で、遅かれ早かれこの修正に動くタイミングは訪れる。しかし、東証2部は110%で、マザーズに至っては91%(数値は前日時点)という水準にとどまっており中小型株は相対的に過熱感に乏しい。
中小型株でも底上げという形には遠く、最近の相場は上がる株と上がらない株の二層化が進んでいる。内容が伴う銘柄をジッと持ち続けるのも、一つの投資手法として否定できず、実際陽の目を見ることもあるが、基本的に実りは少ない。超人思想で知られるニーチェいわく「信念は嘘よりも危険な真理の敵である」。近視眼的に一つの銘柄に固執することなく、余裕を持って幅広くアンテナを張ることが大切。求められるのは、強い信念ではなく柔軟さだ。実践的には、ある程度動きのある銘柄の中で納得がいくものに乗っていく、というのが賢い選択肢であり“投資力”を鍛えることにもなる。
個別銘柄では、今存在感を際立たせている銘柄が2つある。全体相場のバロメーターとしてみておく必要があるのは引き続きソフトバンクグループ<9984>だ。同社が率いるビジョン・ファンドに吹く風当たりが厳しくなっている。下値模索が続いているが、どこで吹っ切れるかに注意を払っておく。足もとの状況は客観的にみて売り方有利。信用買い残の多さに目をつけた売り仕掛けにはまりつつあるような印象を受ける。
もうひとつ、外資系証券などから(空売りするための)貸株要請が活発といわれるコロプラ<3668>もあくまで“見る株”としてだが、チェックは怠れない。需給の崩れがどこで起こるか。「ドラクエウォーク」は絶好調でもピークが見えれば、途端にネガティブな報道が勢いを増す。これが株価の下落とリンクする可能性がある。同社株が崩れてもゲーム関連に位置付けられる銘柄が一様に売り一色に染まるわけではないが、流動性が高く高値圏に買われている銘柄については要注意となる。
さて、きょうは自民党税制調査会がM&Aに対する減税を検討すると伝わったこともあって、前日に続いてM&A仲介を手掛けるストライク<6196>が大幅続伸と気を吐いた。M&Aキャピタルパートナーズ<6080>なども一時8月8日以来の7000円大台を回復する場面があった。
この流れに乗る銘柄で株価が中低位に位置するGCA<2174>にも目を向けておきたい。同社は独立系のM&A助言会社で、米国企業と経営統合を行いクロスボーダー案件に注力している。日米欧で好調に実績を伸ばしており、19年12月期上期(1~6月)は営業利益段階で前年同期比14%増。通期計画では減益を見込むものの、成約件数自体は増勢にあり20年12月期は2ケタの利益成長が視野に入る。現在の株価位置はここ10年間でみてもほぼ底値圏に位置しているため、中期視野に立っても上値余地は大きいと判断される。
また、目先押し目を形成しているシンクレイヤ<1724>は上向きの25日移動平均線との上方カイ離をほぼ解消、再浮上のタイミングが近づいている感触だ。中部エリアを中心にケーブルテレビ事業者向けネットワーク構築を手掛けるが、4K・8Kの普及本番を前に事業者のオール光ファイバー化投資の恩恵を享受、収益環境に吹く追い風は強い。19年12月期は前期変則決算に伴い単純比較はできないものの、実質増益を確保。更に会社側計画の営業利益6億円は保守的で上振れる可能性がある。
日程面では、あすは朝方に対外・対内証券売買契約(週間)が財務省から発表。海外では8月の米製造業受注、9月の米ISM非製造業景況感指数が焦点となる。8月のユーロ圏小売売上高、8月の豪貿易収支なども注目される。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS