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【特集】すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 今亀庵さんの場合-第2回

40億円達成の銘柄選択、そのツボは「ざっくり&シンプル」
登場する銘柄
Jトラスト<8508>、BEENOS<3328>、デジタルガレージ<4819>、宮越ホールディングス<6620>、ネクシィーズグループ<4346>など
筆者:福島由恵
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。

今亀庵今亀庵さん(ハンドルネーム・60代・男性)のプロフィール:
リーマン・ショック直後の2009年に、退職金から2000万円をREITに投入してわずか1年で億り人に。その後、割安日本株に集中投資、アベノミクス相場の追い風もあり保有資産を最大40億円(不動産を含む)にまで膨らませた「すご過ぎる」腕の持ち主。運用資産を200倍に膨張させたのは退職後だが、投資は大学生時代から経験を積み重ねてきた超ベテランの投資家だ。株で稼いだ利益で10億円の不動産を購入後も日本株投資を続け、足元の運用資産は20億円になる。

第1回目の記事を読む
 今亀庵さん(ハンドルネーム)の第2回目は、REIT(不動産投資信託)投資で億り人になった後に、資産を20億円そして40億円に膨らますことになった日本株投資での成功のツボを紹介する。
 ターゲットにしたのは、多くのすご腕投資家さん同様に割安な中小型の成長株になる。だが割安や成長力の判断が、他のすご腕投資家さんとは異なっているのが注目点だ。その中身についてこれから見ていこう。
オフ会は積極参加、足を使った情報収集も熱心に
 今亀庵さんが日本株投資に軸足を移したのは、2010年頃になる。当時の株式市場はリーマン・ショックの暴落から回復が進んでいたが、今亀庵さんにとっては業績成長の期待が大きい割安放置株がまだ多く残されていると判断した。
 ただし10年1月時点のTOPIX(東証株価指数)の状況を振り返ると、予想PER(株価収益率)は35.4倍、PBR(株価純資産倍率)は1.20倍になる。市場平均ベースでは必ずしも割安とは言えない水準だった。そうした中で、上値が十分に追えるお宝銘柄を今亀庵さんはどのように発掘したのだろうか。
 その答えについて触れていく前に、今亀庵さんが40億円の資産を手にした今でも、アグレッシブに情報収集に励む姿勢について紹介しよう。そこには第1回目の記事で指摘したように、今亀庵さんの成功が、偶然ではなく必然といえる根拠が示されている。
■TOPIXと予想PERとPBRの推移(月足・終値ベース)
TOPIXと予想PERとPBRの推移(月足・終値ベース)
注:2007年1月から19年6月までの値
 『株探』プレミアム取材班の記者が初めて今亀庵さんに会ったのは、投資家が『会社四季報』(東洋経済新報社)の読み方を学ぶ勉強会の場だった。投資初心者と机を並べ真剣に話を聞く姿が印象的に映った。なぜ、今でも勉強会に出席しているのか尋ねると、投資家の中で話題に挙がる銘柄は参考になるし、その着眼点や分析の内容を聞くのもよいヒントになるという。
 それだけに留まらず、注目する会社のトップに会ったり、経営の現場に足を運んだりして生の情報を得る姿勢も前向きだ。足元では、今年7月に中国で不動産賃貸を主力とする宮越ホールディングス<6620>が深センで都市開発を進めている現場を投資家仲間と訪問した。
 その翌週には、フィリピンで国際通信データ回線を提供するアイ・ピー・エス<4390>が株主優待で実施したフィリピンの拠点視察に出掛けた。この視察の参加者は抽選及び一定以上の株数を保有する株主などが対象になると聞き、今亀庵さんは保有株数を増やして参加することにしたという。
 一般的な投資家から見れば、既にうらやまし過ぎるほどの資産を手にした今でも、こうして熱心に生の情報収集に向かう姿勢は見習いたい点だ。
■海外視察の風景
海外視察の風景
左上はアイ・ピー・エスのフィリピン拠点の訪問時に参加したイベントの一コマ。左下と右は宮越HDが開発を行う中国・深センの訪問場所
株価が40倍になったJトラスト株は、動意づく前にゲット
 話を本題に戻そう。日本株で大きく利益を伸ばす稼ぎ頭の1つとなったのが、10年頃に投資を始めた総合金融グループのJトラスト<8508>だ。今亀庵さんは同銘柄の株価が100円程度の水準のうちから買い出動。その後、アベノミクスの大相場に乗り、13年5月に付けた4000円台の高値圏での売り抜けに成功。ここでは約40倍の上昇分をさらった。
 この時着目したのは、とにもかくにも同社の売上高の大幅な伸びだ。当時、同社は業績が悪化した消費者金融会社を積極的に傘下に入れていた。対象にしたのは、払いすぎた利息を顧客に返す過払い金返還などによって収益が悪化した同業だ。
 M&A(合併・買収)によってJトラストの売り上げは年30%以上の成長が見込める一方で、今亀庵さんによるとPERは5倍程度と割安のまま放置されていた。その状況に絶好のチャンスと見て、買い出動に至った。
 過払い金の支払い義務が生じた消費者金融業は、先行きが厳しいと判断するのが常識的な線だ。だが安易に常識に流されない「反常識の思考法」で銘柄を選ぶ今亀庵さんにとっては、消費者金融業界が総悲観的に見られる中で、成長する企業はないかを探し、そこにM&Aで業績を伸ばす同社に巡り合った。前回紹介したREITの旧・日本レジデンシャルのケースでも、不動産ビジネスに対する悲観的な見方が支配的な中で、超割安の銘柄に注目したのと同様の投資行動だ。
■Jトラスト<8508>の月足チャート
Jトラストの月足チャート
■『株探』プレミアムで提供しているJトラストの長期業績の推移
『株探』プレミアムで提供しているJトラストの長期業績の推移
とにかく「業績の伸び」を重視で銘柄を選択
 『株探』プレミアム取材班は当取材にあたり、「40億円にまで資産拡大させたなんて、いったいどんな神業を駆使しているのか」という点に興味津々だったが、話を聞いてわかったことは、銘柄選択は意外にアナログ的なやり方でシンブルな考えに基づいて取り組んでいることだ。
 その特徴を端的に言うとすれば、とにかく「業績の伸び」にこだわること。1回目で紹介したように、今亀庵さんは半世紀近くの投資経験や蓄えてきた知識から、「長期的に見れば、業績が良ければそれに連動して株価も上がる」という前提を基に行動したものだ。株価の反応を考えれば、時価総額が低い小型株により注目しているが、何億円以下という数値基準は設けていないという。
 これまで登場したすご腕投資家の中では、銘柄選びを効率的に進めるために「PER(株価収益率)10倍以下」「配当利回り3%以上」など各人が定めた投資指標を用いてスクリーニングをし、投資の段取りをルール化して進めるケースが多く見られた。だが、今亀庵さんは明確な数値やルールを用いてのスクリーニング作業はしない。
「脳内スクリーニング」を駆使し、「好業績=十分なカタリスト」と割り切る
 行うのはあくまでも頭の中でざっくり善し悪しを見極めていく「脳内スクリーニング」。主には『会社四季報』の業績欄をチェックしながら売上高の伸びに着目し、自分なりのカタリストを組み立てて有望銘柄を探していく。
 ただしカタリストといっても、ここで考えすぎて立ち止まることもしない。「好業績=十分なカタリスト」という考えをベースに、あくまでも業績至上主義を貫くのが今亀庵式だ。
 こだわる内容こそ違いはあるが、具体的数値を用いたスクリーニング作業はせず、自身の考える重要ポイントを基に頭の中で甲乙を見極め、経験から培った相場観を頼りに有望銘柄を絞っていく点は前回に登場したろくすけさん(ハンドルネーム)と似ている。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

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