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【特集】すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 uki5496さんの場合-第1回
「負けにくい投資」で対指数で13勝1敗、連勝投資家の極意
登場する銘柄
燦ホールディングス<9628>、寺岡製作所<4987>
今回登場するすご腕さんは、普段は会社で働き、土日や平日の空き時間に投資を行うuki5496さん(ハンドルネーム・以下、ukiさん)だ。投資を始めたのは社会人2年目の2005年。200万円の元手で始めた資産は、1億円に迫る水準まで拡大している(入出金換算ベース)。11年に購入した自宅も、株の運用益で購入した。
ukiさんの特徴が「負けにくい投資」。実際、過去14年の戦績を見ると、対TOPIXに13勝1敗と、プロ顔負けのパフォーマンスを上げている。運用資産の増減で見る絶対リターンでみると9勝5敗となるが、それでも勝率は6割4分と好成績を上げる。
高リターンではなく「負けにくい」という慎重な投資手法が、結果として高いリターンを獲得できたのはなぜか。またサラリーマンで仕事と家族に時間を割きながらも、効率を上げてきた秘訣とは。その勘所を、4回にわたって紹介していく。
負けない投資を実現する3つの特徴
まずukiさんの投資スタイルの特徴を端的に説明しよう。それは以下の
1徹底したバリュー投資
2数字にこだわる
3銘柄選択作業のルーティン化
――という3点だ。
バリュー投資は、「収益の見通しや資産面で、実際の企業価値よりも低い評価で放置されている割安銘柄に先回り投資して、しかるべき評価に修正される過程を拾う」こと。前回登場したDAIBOUCHOUさん(仮名)も、バリュー派の投資家だ。
だが、一口にバリュー投資といっても銘柄選びは、投資家それぞれのスタイルがある。ukiさんのバリュー投資の特徴を説明するために、最近注目した2つの銘柄を例に紹介しよう。その銘柄の1つは葬儀サービスを提供する燦ホールディングス<9628>(以下、燦HD)で、もう一つは粘着テープメーカーの老舗、寺岡製作所<4987>だ。
4つの基準で割安の罠にはまらない
燦HDに注目したのは2018年の8月頃、同社(3月期決算)の第1四半期の決算発表の後、業績の上方修正を公表したこと。これを好感して買い出動し、現在も保有している。世界景気の先行きが懸念され、景気変動の影響を受けにくい銘柄を探している中で、冠婚葬祭業を手掛ける同社の業種は魅力があった。
もちろん上方修正の発表という材料と景気の影響を受けにくい業種のみで選んだのでは、バリュー投資の説明にならない。燦HDがなぜバリュー銘柄と判断したのかを説明するために、ここでukiさんが銘柄選びの根幹に据える4つの基準を紹介しよう。それはA「割安」、B「業績進捗率」、C「高配当」、D「カタリスト(株価を動かすきっかけ)」――の4つだ。
バリューというと上の4つのうちAとCが鉄板だが、単にこの値だけで選ぶと万年割安銘柄を掴むというバリュートラップ(割安の罠)にハマってしまうリスクがある。この罠にかからないためにukiさんは、Bで業績の勢い(モメンタム)を確認し、Dの事業構造や経営体制の革新といった前向きなカタリストを探す。業績モメンタムやカタリストは「株式投資は美人投票」という特性を意識して、多くの投資家の注目を集める要素を取り込んだものだ。
また高配当かを注目するのは、配当水準がある程度あると、下値抵抗力を期待でき、負けにくい投資には有効性があるため。その点で株主優待の有無も注目できるとukiさんは言う。
4つとも「そこそこ」の銘柄よりは、抜きん出るものを優先
Aの割安については、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が一般的に使われる。ukiさんはこれらを掛け合わせた「ミックス係数」で判定する。この値が低いほど割安と判断するもので、同係数は「バリュー投資の父」と呼ばれる米国の経済学者で著名投資家でもあったベンジャミン・グレアムが提唱した考え方だ。
A については、ukiさんの場合は、係数が10以下を目安とする。Cの高配当かは、利回りが3~4%を基準にする。
ただし、A~Dの全項目を満たすことには、こだわってはいない。4つのうち3つ、もしくは2つを満たす場合でも対象とする。全項目を満たすものを探すと、各項目が「そこそこのレベル」になることが多いからだ。
それよりある項目の水準が抜きん出ているものを選ぶ方が、結果として成功しやすいという。そのため、A~Dまでの項目のどれかをより高いレベルでクリアし、その数がより多いものを優先する方法をとっている。
IR担当者に積極的に疑問をぶつける
燦HDについては、この4項目のうち、A(割安)、B(業績進捗率)、D(カタリスト)の3項目が基準を満たしていると判断した。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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登場する銘柄
燦ホールディングス<9628>、寺岡製作所<4987>
筆者:福島 由恵
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
uki5496さん(ハンドルネーム・30代・男性)のプロフィール:
サラリーマン投資家で2005年から投資を開始。日本株を中心にバリュー株狙いの「負けにくい」堅実派投資を行う。(1)割安(2)業績進捗が良好(3)高配当利回り(4)この先の変化が期待できる、――の4項目を重視。対TOPIXでは平均プラス10%の勝ちを続け(06年の1年だけ負け)、順調に資産を拡大。現在の金融資産は9000万円台。
サラリーマン投資家で2005年から投資を開始。日本株を中心にバリュー株狙いの「負けにくい」堅実派投資を行う。(1)割安(2)業績進捗が良好(3)高配当利回り(4)この先の変化が期待できる、――の4項目を重視。対TOPIXでは平均プラス10%の勝ちを続け(06年の1年だけ負け)、順調に資産を拡大。現在の金融資産は9000万円台。
今回登場するすご腕さんは、普段は会社で働き、土日や平日の空き時間に投資を行うuki5496さん(ハンドルネーム・以下、ukiさん)だ。投資を始めたのは社会人2年目の2005年。200万円の元手で始めた資産は、1億円に迫る水準まで拡大している(入出金換算ベース)。11年に購入した自宅も、株の運用益で購入した。
ukiさんの特徴が「負けにくい投資」。実際、過去14年の戦績を見ると、対TOPIXに13勝1敗と、プロ顔負けのパフォーマンスを上げている。運用資産の増減で見る絶対リターンでみると9勝5敗となるが、それでも勝率は6割4分と好成績を上げる。
高リターンではなく「負けにくい」という慎重な投資手法が、結果として高いリターンを獲得できたのはなぜか。またサラリーマンで仕事と家族に時間を割きながらも、効率を上げてきた秘訣とは。その勘所を、4回にわたって紹介していく。
負けない投資を実現する3つの特徴
まずukiさんの投資スタイルの特徴を端的に説明しよう。それは以下の
1徹底したバリュー投資
2数字にこだわる
3銘柄選択作業のルーティン化
――という3点だ。
バリュー投資は、「収益の見通しや資産面で、実際の企業価値よりも低い評価で放置されている割安銘柄に先回り投資して、しかるべき評価に修正される過程を拾う」こと。前回登場したDAIBOUCHOUさん(仮名)も、バリュー派の投資家だ。
だが、一口にバリュー投資といっても銘柄選びは、投資家それぞれのスタイルがある。ukiさんのバリュー投資の特徴を説明するために、最近注目した2つの銘柄を例に紹介しよう。その銘柄の1つは葬儀サービスを提供する燦ホールディングス<9628>(以下、燦HD)で、もう一つは粘着テープメーカーの老舗、寺岡製作所<4987>だ。
4つの基準で割安の罠にはまらない
燦HDに注目したのは2018年の8月頃、同社(3月期決算)の第1四半期の決算発表の後、業績の上方修正を公表したこと。これを好感して買い出動し、現在も保有している。世界景気の先行きが懸念され、景気変動の影響を受けにくい銘柄を探している中で、冠婚葬祭業を手掛ける同社の業種は魅力があった。
もちろん上方修正の発表という材料と景気の影響を受けにくい業種のみで選んだのでは、バリュー投資の説明にならない。燦HDがなぜバリュー銘柄と判断したのかを説明するために、ここでukiさんが銘柄選びの根幹に据える4つの基準を紹介しよう。それはA「割安」、B「業績進捗率」、C「高配当」、D「カタリスト(株価を動かすきっかけ)」――の4つだ。
バリューというと上の4つのうちAとCが鉄板だが、単にこの値だけで選ぶと万年割安銘柄を掴むというバリュートラップ(割安の罠)にハマってしまうリスクがある。この罠にかからないためにukiさんは、Bで業績の勢い(モメンタム)を確認し、Dの事業構造や経営体制の革新といった前向きなカタリストを探す。業績モメンタムやカタリストは「株式投資は美人投票」という特性を意識して、多くの投資家の注目を集める要素を取り込んだものだ。
また高配当かを注目するのは、配当水準がある程度あると、下値抵抗力を期待でき、負けにくい投資には有効性があるため。その点で株主優待の有無も注目できるとukiさんは言う。
4つとも「そこそこ」の銘柄よりは、抜きん出るものを優先
Aの割安については、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が一般的に使われる。ukiさんはこれらを掛け合わせた「ミックス係数」で判定する。この値が低いほど割安と判断するもので、同係数は「バリュー投資の父」と呼ばれる米国の経済学者で著名投資家でもあったベンジャミン・グレアムが提唱した考え方だ。
A については、ukiさんの場合は、係数が10以下を目安とする。Cの高配当かは、利回りが3~4%を基準にする。
ただし、A~Dの全項目を満たすことには、こだわってはいない。4つのうち3つ、もしくは2つを満たす場合でも対象とする。全項目を満たすものを探すと、各項目が「そこそこのレベル」になることが多いからだ。
それよりある項目の水準が抜きん出ているものを選ぶ方が、結果として成功しやすいという。そのため、A~Dまでの項目のどれかをより高いレベルでクリアし、その数がより多いものを優先する方法をとっている。
IR担当者に積極的に疑問をぶつける
燦HDについては、この4項目のうち、A(割安)、B(業績進捗率)、D(カタリスト)の3項目が基準を満たしていると判断した。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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