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【特集】すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 DAIBOUCHOUさんの場合-1
200万円→10億円→5億円、大膨張と大収縮の経験が生んだ「守りながら攻める」投資法
登場する銘柄
ライフネット生命保険<7157> [東証M]、ICDAホールディングス<3184>
すご腕投資家さんシリーズの5人目は、先月掲載した「フルインベスター3人衆 座談会」でも登場したDAIBOUCHOUさん(ハンドルネーム・以下、DAIさん)をクローズアップする。
足元の株式相場はFRB(米連邦準備理事会)が利上げ路線を転換したことなどから緩やかな上昇基調を保っている。だが、米中貿易摩擦に伴う中国景気の下振れリスクなどは払拭されておらず、再び大幅調整を強いられる可能性は残る。
見通しが晴れず、投資を手控えたくなる環境で参考になるすご腕投資家さんが、今回登場するDAIさんだ。
ハンドルネームが「大膨張」をもじっているように、DAIさんは2000年代に、信用取引を利用し不動産流動化株など勢いのあるテーマ株にのって200万円を10億円までに大膨張させた。
だが現在の投資手法はかつてのイケイケ戦略とは一線を画し、会社の事業や財務構造をじっくり分析し、さらに銘柄分散でリスクを軽減して長期的視野で手堅く利益を狙っている。
こういうと、守り一辺倒の退屈な投資法に見えがちだが、DAIさんの真骨頂は投資環境がどんなに悲観的になろうが、常に全額投資を貫くという攻めの姿勢を併せ持つことだ。
先行き不安が残る中で、少しでもリターンを積み上げたいと考えている投資家さんには参考になる点は多々ある。複数回にわたる記事で、そのすご技を紹介していく。
資産半減、株式投資から一時撤退から学んだ教訓
DAIさんの投資戦略を一言で表せばバリュー狙い。「実際の企業価値よりも低い評価で放置されている割安銘柄に先回り投資して、しかるべき評価に修正される過程を拾う」ことに徹している。
バリュー投資を軸とし、フルインベストメントで向かう姿勢は、200万円の資金を10億円までに「大膨張」させた時から変わらない。ただ、リーマン・ショック時に10億円を半減させる「大収縮」に見舞われ、酸いも甘いも味わった経験を、現在の投資法に加えている。
それは、資産を「大収縮」させてしまうリスクを徹底的に排除する銘柄選びとポートフォリオの構築で、その基本方針は、
――という3点だ。
DAIさんのように100を超える銘柄に分散投資するにはそれなりの資金量が必要になる。そのため多くの銘柄に資金を振り分ける手法をそのまま採用するのではなく、根底にある考え方を参考にしてほしい。少ない資金で分散効果を狙う場合は、ミニ株投資や業種別ETF(上場投資信託)などの活用で代替する方法もある。
ではここから、「俺225」を構成する具体的な銘柄についてみていこう。
銘柄選択のポリシーは、
――方法だ。
収益と資産、2つのバリューを使い分け
収益面からの割安(バリュー)判断とは、主に今後の売上高や利益の成長が期待できる成長株を割安なうちに仕込む考え方だ。収益バリューを判断する代表的な指標は予想PER(株価収益率)で、さらに増収率や増益率の実績と見通しなどから水準を評価していく。
一方の資産バリューは保有する実質のキャッシュ(現金相当額)と現在の株価水準を比べるもので、判断の代表的な指標にはPBR(株価純資産倍率)がある。現金相当額をどう見積もるかが鍵で、先に触れた「座談会」記事では、倉庫株について、保有する土地の含み益を計算に入れた実質のキャッシュと、時価総額を比べて、計算する方法がある。
収益バリューは将来の業績予想が鍵になるので難易度は高い。一方、資産バリューは実績のバランスシートから計算できる点で難易度は下がる。ただし、資産バリュー銘柄では、割安放置されている状態から適正水準に評価されるきっかけ(カタリスト)を考える必要がある。
そのきっかけがM&A(合併・買収)なのか、経営者の交代なのか、新製品や新技術の発表が期待できるのか、IR(投資家向け広報)資料など各種の情報を収集して判断しなくてはならない点では、難易度は上がる。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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登場する銘柄
ライフネット生命保険<7157> [東証M]、ICDAホールディングス<3184>
筆者:福島 由恵
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
DAIBOUCHOUさん(ハンドルネーム・40代・男性)のプロフィール:
投資歴約19年で、現在は専業投資家。2005年前後には不動産株への集中投資を行い、200万円を一時10億円にまで、まさに「大膨張」させた実績のあるすご腕。その後のリーマン・ショックで資産は半減してしまったが、割安な成長株に着目した投資に方向転換して再スタート。100銘柄以上に分散投資を行い、極力資産を守りながら増やす投資を心掛けている。
投資歴約19年で、現在は専業投資家。2005年前後には不動産株への集中投資を行い、200万円を一時10億円にまで、まさに「大膨張」させた実績のあるすご腕。その後のリーマン・ショックで資産は半減してしまったが、割安な成長株に着目した投資に方向転換して再スタート。100銘柄以上に分散投資を行い、極力資産を守りながら増やす投資を心掛けている。
すご腕投資家さんシリーズの5人目は、先月掲載した「フルインベスター3人衆 座談会」でも登場したDAIBOUCHOUさん(ハンドルネーム・以下、DAIさん)をクローズアップする。
足元の株式相場はFRB(米連邦準備理事会)が利上げ路線を転換したことなどから緩やかな上昇基調を保っている。だが、米中貿易摩擦に伴う中国景気の下振れリスクなどは払拭されておらず、再び大幅調整を強いられる可能性は残る。
見通しが晴れず、投資を手控えたくなる環境で参考になるすご腕投資家さんが、今回登場するDAIさんだ。
ハンドルネームが「大膨張」をもじっているように、DAIさんは2000年代に、信用取引を利用し不動産流動化株など勢いのあるテーマ株にのって200万円を10億円までに大膨張させた。
だが現在の投資手法はかつてのイケイケ戦略とは一線を画し、会社の事業や財務構造をじっくり分析し、さらに銘柄分散でリスクを軽減して長期的視野で手堅く利益を狙っている。
こういうと、守り一辺倒の退屈な投資法に見えがちだが、DAIさんの真骨頂は投資環境がどんなに悲観的になろうが、常に全額投資を貫くという攻めの姿勢を併せ持つことだ。
先行き不安が残る中で、少しでもリターンを積み上げたいと考えている投資家さんには参考になる点は多々ある。複数回にわたる記事で、そのすご技を紹介していく。
資産半減、株式投資から一時撤退から学んだ教訓
DAIさんの投資戦略を一言で表せばバリュー狙い。「実際の企業価値よりも低い評価で放置されている割安銘柄に先回り投資して、しかるべき評価に修正される過程を拾う」ことに徹している。
バリュー投資を軸とし、フルインベストメントで向かう姿勢は、200万円の資金を10億円までに「大膨張」させた時から変わらない。ただ、リーマン・ショック時に10億円を半減させる「大収縮」に見舞われ、酸いも甘いも味わった経験を、現在の投資法に加えている。
それは、資産を「大収縮」させてしまうリスクを徹底的に排除する銘柄選びとポートフォリオの構築で、その基本方針は、
(1) | 自称「俺225」と呼び、投資銘柄数を120程度に分散する |
(2) | これまで以上に「割安なうちに仕込む」にこだわり、株価の下落幅を抑えつつ株価上昇を狙う |
(3) | 大きな運用益を狙うより、市場平均を上回ることを主な目的にして、結果として前年より利益を積み上げられれば合格とする |
――という3点だ。
DAIさんのように100を超える銘柄に分散投資するにはそれなりの資金量が必要になる。そのため多くの銘柄に資金を振り分ける手法をそのまま採用するのではなく、根底にある考え方を参考にしてほしい。少ない資金で分散効果を狙う場合は、ミニ株投資や業種別ETF(上場投資信託)などの活用で代替する方法もある。
ではここから、「俺225」を構成する具体的な銘柄についてみていこう。
銘柄選択のポリシーは、
(1) | まず優待株など、下げ相場でも比較的買い支えが入りやすい守りの銘柄を多く保有し土台を固めること。 |
(2) | これと並行して市場平均以上の成果を出すために、割安銘柄を収益面と資産面の2つの基準から選別して、随時追加・入れ替えをしていく |
――方法だ。
収益と資産、2つのバリューを使い分け
収益面からの割安(バリュー)判断とは、主に今後の売上高や利益の成長が期待できる成長株を割安なうちに仕込む考え方だ。収益バリューを判断する代表的な指標は予想PER(株価収益率)で、さらに増収率や増益率の実績と見通しなどから水準を評価していく。
一方の資産バリューは保有する実質のキャッシュ(現金相当額)と現在の株価水準を比べるもので、判断の代表的な指標にはPBR(株価純資産倍率)がある。現金相当額をどう見積もるかが鍵で、先に触れた「座談会」記事では、倉庫株について、保有する土地の含み益を計算に入れた実質のキャッシュと、時価総額を比べて、計算する方法がある。
収益バリューは将来の業績予想が鍵になるので難易度は高い。一方、資産バリューは実績のバランスシートから計算できる点で難易度は下がる。ただし、資産バリュー銘柄では、割安放置されている状態から適正水準に評価されるきっかけ(カタリスト)を考える必要がある。
そのきっかけがM&A(合併・買収)なのか、経営者の交代なのか、新製品や新技術の発表が期待できるのか、IR(投資家向け広報)資料など各種の情報を収集して判断しなくてはならない点では、難易度は上がる。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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